紅茶雑感─思う所をつらつらと─

皇 将

第1話 紅茶は何故値段が高いのか?

 まずは基本的な所を攻めて行こうかと。

 紅茶の値段ついてです。






 紅茶の専門店に行った方々ならおわかりかと思いますが、紅茶ってかなり良いお値段しますね。

 ティーポット1杯(カップで2杯半程度)の量で1000円というのはザラですし、茶葉の高級品になると30gで3000円とか普通ですし。何故こんなに高いのか、疑問に思った事はありませんか?


 理由はいくつかあります。


 まずは『機械化が出来ない事』。

 茶葉の新芽を摘み取るのも素手でひとつひとつ丁寧にですし、萎凋いちょう(摘み取った茶葉をしおれさせる)も揉捻じゅうねん(茶葉を揉み込む事)も発酵も、どの程度やれば良いかは茶園の職員さんの経験と勘が頼りです。

 栽培でも、肥料の鋤き込みや剪定・害虫駆除は、人の手で行っています。

 日本の玉露でも、『無農薬・有機栽培・茶師による手揉み製茶』したモノになると、50gが数万円になりますしね。


 もうひとつは、『値段がオークションで決まる事』。

 大体の紅茶は、コルカタなどで行われるオークションにて、競り形式で元値が決まります。その前段階で、バイヤーにサンプルを配って味見をしてもらう訳なのですが、そこで評判が高くなると、おのずと競り落とされる値段も高くなってしまう訳です。美味しい紅茶は、世界の様々な人が欲しがりますから。

 このオークションで、『世界1の値段が付いた』という紅茶なら、それも箔が付くモノになって末端価格がつり上がります。


 そして『淹れ手の技術料』。

 とかく「紅茶を美味しく淹れるのは難しい」と思われていますので、淹れる側もその技術を磨く必要があります。

 お店にある紅茶でしたら、『茶葉3g・熱湯150cc・蒸らし時間3分』の基本の淹れ方をして、テイスティングを行って茶葉の特徴を知り、「こちらは渋めだから茶葉少なめの蒸らし時間短く」とか「こちらは香りが際立つように茶葉多めの蒸らしを長めに」とか、色々と微調整をする訳です。

 そういった手間も出てくる訳です。





 また、茶園が無農薬・有機栽培の認証を得たり、フェアトレードの機運が高まっていたり、要因は様々ではあります。


 ともかく、美味しい紅茶を飲むためには手間隙を惜しまない、そういう方々の働きにより、良質な紅茶が出回っているからこそ、紅茶は嗜好品としては高い方になってしまう訳なのです。


 優雅な時間の対価と思って、紅茶にお金を使って下さい。それが、作り手・淹れ手の活力になりますから。

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