誕生日パーティーを楽しみたい

てる

第0話:ここまでのあらすじ

 ハルはお母さんからお小遣いをもらうたびに貯金箱に500円ずつ貯金していました。何かあったときのために、あるいは何か買いたくなった時のために。


 ある日、ハルは雑誌でどうしても欲しい服を見つけました。お値段は高いですが、貯金箱のお金を使えば買えそうでした。

 一月後にはサヤカちゃん、ハルのお友達の誕生日です。ちょうど新しい服も欲しかったし、この服を誕生日パーティーで着ていきたいな。ハルはそう思いました。

 悩んだ挙句、ハルは思い切ってその服を通販で買ってみました。


 丁度その次の日。休み時間にハルが、友達のサヤカとリカ、それからクウカとお喋りしていたときのことです。


「そういえばもうすぐサヤカちゃんの誕生日だね!」


 リカちゃんが言いました。するとサヤカちゃんが。


「うん! 誕生日パーティー、招待したら来てくれる?」

「「「「もちろん!」」」」


 ハルたちの声がハモりました。

 それから「ふふっ」と笑いあって。ついそこで、ハルは言ってしまいました。


「誕生日パーティー、新しいお洋服着ていくね!」

「えっ! 新しい服?」

「わかった! 楽しみにしてるね!」

「えー、じゃあ私も新しい服着てこうかなー」

「あっ、ならみんないつもと違う服、着て行く?」


 そう言いあって、新しい服が無い人も、普段とは違う服を着て行こうという話になりました。


 しかし、服が届いた日。早速ハルは服を着てみましたが、なんだかにあっている気がしません。お母さんは似合っていると言ってくれますが、なんだか慰められている気がします。

 ハルは空になった貯金箱を見つめ後悔しました。


「あーあ、無駄遣いしちゃった。こういう買い物じゃなくて、もっと欲しかったものを買えばよかったんだ。こんな物のために貯金全部使うなんてバカだなぁ」


 そう思うと、なんだかもっと服が似合っていない気がしました。


 そして、もう一つ。


「誕生日パーティー、何着て行こうかなぁ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る