第2話
あの出会いから、1週間が過ぎ僕は桜ノ上高校に初めての登校をした。しかし、それは1人ではなかった。もちろん親が来てたわけではない。側から見ればカップルに見えるだろう。俺はあの夏木さんと通っていた。
「あの、学校の場所はわかるので僕に気を使わず1人で行ってていいのですけれど。」
僕はただ単純に恥ずかしかった。目立ってもいたし。そりゃあ金髪美少女が男1人連れてたら周りからは目立って当たり前だろう。
「草汰、緊張してるの?」
「こんなに目立ってるものだから。」
やっと名前がでたところで僕の自己紹介だけしておこう。もう2人にはしているが。
僕の名前は、秋原草汰。昨年までは東京の高校に通っていた。人に優しくできることが自己アピールかな。自己紹介はそれくらいにしておいて、この1週間でわかったことを紹介しよう。
・お互いの名前。
夏木さんは、沙耶(さや)
桜井さんは、春音(はるね)
2人ともいい名前をもらったものだ。
・沙耶が僕と同じ高校であるということ。
春音はまだ謎である。
・3人とも同い年であること。
1週間でわかったというより、あの出会った時に教えてもらったのだが。あの日から2人は僕の家が自分の家かのように居座るようになり、沙耶とはよく話をするのだが、春音はいつも寝ていてまだあまり話せていないのだ。ファミレスで抱いた沙耶への感情は薄れ、気軽に話しかけれるようになった。
「なんでこんなに目立ってるんだろうね。」
「沙耶がこんな俺といるから。」とは言えるはずもなかった。代わりに出た言葉は、
「なんでだろうね。」
今まで彼女がいなかった僕は女子と2人で歩くなんてことをしたことがなかったから、今この瞬間が恥ずかしい。悪いけど逃げ出したい。
あれ、でもこれってこの高校はリア充スタートってことになる?
「学校ついたよ。」
金髪美少女とリア充って何処かで聞いたことのあるような出来事だけれど。僕は神に選ばれた存在??
「草汰??」
神よ僕があなたに選ばれた存在でいいのでしょうか。もっと助ける人はいるのではないでしょうか。
「おーい。草汰!!」
「あぅ、どうした沙耶?」
「もう学校に着いたよ。って言ってたんだけど。」
「あー、ごめん。考え事してた。」
「いいけど、ここからはちょっと別行動にしたいのだけれど。」
「わかった…」
神よ僕のリア充は続いているのだよな?続いていると言ってくれ。
「今日からこの学校に通うことになりました。秋原草汰です。こちらのクラスは後期からお世話になる感じですが、半年後からはよろしくお願いします。」
僕のクラスには、男子15人女子25人の40人クラスとは聞かされていたが、数人の席が空いていた。
「秋原君は、もう皆さんが勉強した2年生の範囲と今年から勉強に入る3年生の範囲を半年で勉強するので別教室で勉強することになります。皆さんは、彼を助ける意味でも仲良くしてあげてください。」
クラスの反応は悪いと言ってもいい。まぁ転校初日から半年も教室に居ないんだ、名前すら覚えてくれないかもな。
「申し訳ないけど、秋原君。隣の補習室に移動してください。」
「わかりました。」
隣の補習室には、僕のように転校してきた人、勉強を疎かにしていた人が行くようだ。そんな生徒が数人いるのだが、その中に見覚えのある人がいた。
「え?なんで…」
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