第3話 偶然と止まない脅威
青年は
細身の青年はよく見ると可愛いらしい顔立ちをしているが目の奥は冷たい、というかとても深いようなそんな印象だった。
「いやーすいません。でも間一髪でしたね。」
「は、はぁ」
まだ事態が気山愛莉には飲み込めていないようだ。
「一昨日ネットからご依頼いただきました祓い屋です。」
そんな彼女を察してか泰人はもう一度名乗るがやはり彼女は理解できていない。
たしかに藁にも縋る思いでネットで
『怪奇現象、嫌がらせその他なんでもござれ!』
と書かれた胡散臭いサイトを見たけど依頼した覚えはなかった。
「もともと呪われたり憑かれた人しか見れないようにしてるんですよ。まぁ住所とかはどこからネット使ってるかぐらいならわかりますし。」
さすがにこう集合されてちゃ何号室かまではわからないですけどね。と呑気に笑われた。
個人情報もあったもんじゃない。
が、助かったことには違いないか。
「じゃあ、わざわざ助けに...?」
「うーん、半分あたりで半分は営業で来たつもりだったんですけどね。あなた呪われてますよーって。」
どうやら偶然救われたらしい。
「わ、私呪われてたの...?」
「はい。それもまだ終わってませんよ。」
「え?だって今あなたが消したのは...?」
「たぶんまた何度でも来ますよ。アレ」
泰人が語るにはこうだった。
この世に未練を残し留まるものを一般的に霊などと呼び、その中でも人に害なすものを悪霊などと呼ぶがアレはまた違うらしい。
憎悪を持って、悪意を持って、意図的に人を傷つけようとなんらかの手順を踏んだものは呪いと呼ばれ、元凶を払わなければ何度も牙を剥くという。
「だからここからは営業なんですけど、どうです?依頼してみませんか?」
散々脅威を説明されて断るもなにもないだろう。
人畜無害そうに見えて意外とこの青年こういうところは上手かったりするのか。
「で、でも私あの男の人のことなんにも知らないんですけど大丈夫なんですか…?」
「ええ、そこはもう。ちゃんと嗅ぎましたから。」
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