第55話:強い超循環士たち2
レボアロボアによる爆音ボイスで三半規管がやられた私。
そのままサンドボア狩りをするのは難しいとルーミルに判断され強制中断。
途中撤退することを決定した。
というか、もともとサンドボアを一体狩ればクリアという条件だったので、これ以上続ける必要性もなかったのだけど。
ちなみに、ルーミルが使ってくれた漢方薬を超循環の力で煎じて飲ませてくれたおかげで、一時間もあれば鼓膜は完治するとのことらしい。
三半規管の調子が悪い状態というのは純粋に居心地が悪いので、早めに治ってくれるのは都合が良い。
歩くことも難しそうだとルーミルに伝えたところ、半ば強制的にルーミルにお姫様抱っこされてしまうという羞恥プレイを執行されることになった。
もちろん逃げようと試みたが、瞬時にロープで手足を縛られてしまい、抵抗できない上での強制運搬である。
……さすがに私、頑張ったと言ってもいいよね?
「(ぱくぱく……ぱくぱくぱく……)」
ルーミルが私に何かを話しかけてきている。
「(ぱくぱく……ぱくぱくぱく……)」
しかし、耳の完治がなされていないので、何と私に話しかけているのかは分からない。
「(ぱくぱく……ぱくぱくぱく……)」
私は何と話しかけているか分からないことを首を振って示すと、ルーミルは私の視線を誘うように、指先を左手方向へと指していく。
「………………! …………! ……!」
視線の先には、別の超循環士がサンドボアを狩っている姿がある。
若い女性超循環士のようだ。
なにやら特殊な武器を持って、サンドボアの足元を切り刻んでいる。
蛇が獲物を狩るように襲いかかる、生きた鞭のような武器。
逃げるサンドボアを逃すまいと、鞭がオートで追いかけ回してダメージを与え続けている。
時折、サンドボアが急襲で着地攻撃を、その人に仕掛けて反撃しようとしているが、クルンと空中で回転をし、難なく攻撃を避け攻撃を続けている。
あの人は多分、超循環の力を武器に注いで戦うことを得意としているのだろう。
近接での避け、身のこなしは、常人よりも確実に身体能力が高い。
見た目若そうだというのに、かなりのやり手なのは純粋に感心してしまう。
……
……
更にルーミルにお姫様抱っこプレイで運ばれている最中に、またしても別の超循環士のサンドボア狩猟に遭遇。
今度は四十代くらいの男性がサンドボアと戦っている。
中肉中背に筋肉が軽くついた程度の体格で、一見普通のおじさんのようにも思える見た目。
おじさんの周りには、全長七、八メートル程のサンドボアが三体。
大きさ的には多分小柄な部類なのだろうが、数で束ねられるのは、別の形で難易度が上がる。
野生の生物は連携が強く、注意深く攻め入らなければいけないだろう。
「…………! ……!」
おじさんが挑発したかのように、ファンガーガンでサンドボアの足元に弾丸を打ち込む。
ドッ……ドッ……ドッ……!!!!
ドッ……ドッ……ドッ……!!!!!!!!
鼓膜の外から強い振動音が響いているのが分かる。
治癒中には、ちと脳と耳に響く猛烈な轟音。
サンドボアが一斉に、おじさんに向かって走り出したのだ。
「(おじさんの得意な力は銃なのかな? でも、銃は飛距離はあるけど威力は低め。いくら従来より小さいサンドボアであったとしても、厚い皮を貫けないはず……)」
果たしてどのような結末になるのか、答えはCMを跨ぐことなく結末を迎える。
「…………! ………………! ……!」
難なく攻撃を避け攻撃を続ける。
あの人は多分、超循環の力を武器に注いで戦うことを得意としているのだろう。
さらにルーミルが歩くと、今度は四十代くらいの男性がサンドボアと戦っている。
中肉中背に筋肉が軽くついた程度の体格で、一見普通のおじさんのようにも思える見た目。
おじさんの周りには、全長七、八メートル程のサンドボアが三体。
大きさがあるものとは違い、数で束ねられるのは、別の形で難易度が上がる。
野生の生物は連携が強く、注意深く攻め入らなければいけないだろう。
「…………! ……!」
おじさんが挑発したかのように、ファンガーガンでサンドボアの足元に弾丸を打ち込む。
ドッ……ドッ……ドッ……!!!!
ドッ……ドッ……ドッ……!!!!!!!!
鼓膜の外から強い振動音が響いているのが分かる。
治癒中には、ちと脳と耳に響く猛烈な轟音。
サンドボアが一斉に、おじさんに向かって走り出したのだ。
「(おじさんの得意な力は銃なのかな? でも、銃は飛距離はあるけど威力は低め。いくら従来より小さいサンドボアであったとしても、厚い皮を貫けないはず……)」
果たしてどのような結末になるのか、答えはCMを跨ぐことなく結末を迎える。
「…………! ………………! ……!」
その答え。
ごめん、よくわからない。
ビックリするほどよく分からない。
時間でいうなら、約四秒。
私の瞬きの回数は、ゼロ。
おじさんに向かって一斉に襲いかかったサンドボアは、おじさんを通過すると同時に足をくじいて倒れ込み、そのまま身体をズザーと滑らせて倒れ込む。
それも三体同時、綺麗に三方向へと滑っていく。
まるで、ガンマンが一瞬の早撃ちで全ての敵を始末してしまったかのように。
「……………………」
おじさんは特に表情を浮かべることなく、循環ポケットに今消費した分の素材の補充を行っている。
ストイックにミッションを遂行するガンマンのような超循環士。
今の光景を見るに、私は敵側になりたくないなとは純粋に思った。
瞬時に頭を打ち抜かれて、死を確認できることなく、あの世に飛ばされてしまいそうだからだ。
……
……
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