感心と感動
勝利だギューちゃん
第1話
テレビを観ていた・・・
特に意味はない・・・
無音が耐えられない・・・
なので、テレビを付けている・・・
リモコンでチャンネルを変える・・・
「面白い番組ないかな・・・」
ふとある番組で、手が止まった・・・
テレビ画面に、知っている子がいた・・・
クラスメイトの女の子だ・・・
番組名は、よくある「素人参加番組」だ・・・
彼女はそこで唄っていた・・・
よく、「歌手になりたい」と、女友達と話していたのを思い出す。
「まっ、俺には関係ないか・・・」
しばらくして、ベルが鳴った。
「誰もいないのか・・・」
そういって、玄関を開けた瞬間、驚いた・・・
「やっ、元気?」
「あれ・・どうして・・・」
今まさに、テレビで唄っていた女の子がそこにいた。
「驚いた?」
「うん・・・今テレビで・・・」
「あれ、収録よ。生じゃないわ」
「あっ、そう・・・」
考えなくてもわかるな・・・
「入っていい?」
「うん」
彼女を応接間に案内した・・・
先程のテレビはつけたままだ。
お茶を用意しようとしたら、
「おかまいなく」
そう言われたので、止めた・・・
「どうだった?私の歌?」
「うまかったよ・・・でも・・・」
「でも?」
「いいや、何でもない・・・」
彼女は、こっちを向いて言った。
「いいよ。遠慮しないで、正直に言って」
「上手い。感心はした。でも、感動はしなかった」
「えっ?」
「ただ、真似てるだけにすぎない・・・あっ、ごめん。えらそうに・・・」
だが、彼女は怒らずに、むしろ喜んでいた。
「ありがとう。正直に言ってくれたのは、君だけ。
私も気にしてた・・・」
「えっ」
「わたし、がんばるね。」
「うん」
何も言えない・・・言葉が見つからない・・・
「みんな、お世辞を言う・・・でも、正直な意見が聞きたかった。
だから、君のところにきたの・・・」
「どうして僕に・・・」
「だって・・・」
「だって・・・?」
「私たち、幼馴染でしょ。遠慮する仲じゃないもん。
これからも、応援してね。」
感心と感動 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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