第16話 狩り99?
今日はダンフのところへ行くと事にした。
珍しく僕からの提案だ。
ダンフが
ここまで成長したドラグノールを見て、どういう反応をするのかを見るために行くことにした。
今回のメンバーは僕とエイミー、お姉ちゃんだ。
ルーシュも一緒に行くつもりだったけど、仕事が急遽入ってしまいダメになった。
3人だけだと心配と言われたが、ドラグノールがいれば安心と言われた。
まあ、ドラグノールの姿を見れば大体の動物は逃げちゃいそうだもんね。
問題は迷子にならないかだけど。
行ったことある場所だから大丈夫だろう。
そんなかんなでダンフの家に着いた。
森の中でも意外と道は覚えているもんだね。
「ダンフ久しぶり!」
「おう、よく来――そっちは誰だ?」
「ドラグノールだよ!」
「ワンッ!!」
毎日毎日、日が経つたびに大きくなるからね。
そりゃあ分からなくなるよ。
「そんだけ大きいと食べる量も多いだろうなあ」
「結構食べるよ。もしかしたらダンフより食べるんじゃないかな?」
「うーむ、それほど食べれば大きくなるわけだ」
そんなドラグノールはいつの間にか木の上へと登っていた。
ジャンプ力が高く、今では木の上程度なら楽々に登ってしまう。
呑気に欠伸をしている。
「そうだ、ドラグノールに狩りをさせたらどうだ?」
「狩りを?」
「そうだ。そうすれば食事も楽になるだろう?」
なるほど、それはいいかもしれない。
試す価値はある。
「でもいいの?森で勝手にそういうことをしても」
「弱肉強食の世界だ、別にいいだろう。だが俺を食うなよ?」
「それは大丈夫……だと思うよ」
ドラグノールはダンフのことを覚えているみたいだし。
襲うことはないだろう。
「ドラグノール!!」
「ワウ?」
「お腹空いているなら狩りをしてみないか?」
「ワンッ!!」
興味があったのか、木から降りてきた。
さっきまで眠たそうにしていたのに元気になっている。
「どういうところで狩りをさせたらいいのかなあ……」
「ドラグノールに任せてみたらー?」
「ドラグノールだったら出来ちゃいそう!」
たしかにそっちの方がよさそうだな。
俺たちがあーだこーだ言うよりも、いい結果を出しそうだし。
「じゃあ行くよ!れでぃー?」
「ゴー!!」
エイミーとお姉ちゃんの合図でドラグノールが走っていった。
僕は今までドラグノールが家にいたため、走っているところを見たと事がなかった。
いや、あるにはあるけど精々遊ぶ程度の速さ。
でも今回は違った。
本気で走ったのだ。
さっきまでそこにいたドラグノールが一瞬で消えてしまった。
流石フェンリル。
速過ぎて見えなかったよ……。
「とりあえず、僕たちも後を追ってみる?」
「「さんせー!!」」
「早くした方がいいぞ。これ以上時間が経つと見失ってしまう」
「そうだね。いこうか」
僕たちはドラグノールが走って行った方向へ走った。
20分ぐらい走っても見つからない。
一体どこまで走っていったんだ?
「あっ、いたよ!こっちこっち!」
お姉ちゃんが見つけた。
まさかこんな遠くまで来ていたとは。
「って、寝ているじゃん……」
「本当だー!」
「気持ちよさそうねー」
大きな木の下でぐっすりと寝ている。
そんなドラグノールの周りにはなにかが落ちていた。
「これってりんご?」
「本当だ。こんなところにりんごなんてできるのか」
それにしても意外だなあ。
いつもお肉ばっかり食べているからお肉しか食べないと思っていた。
りんごも好きなのね、覚えておこう。
でもなんでこんな森の中でりんごの木があるんだろう?
しかも相当木は大きい。
「こんなところにリンゴの木があったんだね」
「俺も初めて知ったよ」
「えっ、そうなの?」
「ああ。それにこの果物も初めて見た」
俺たちはよく食べるわけではないものの、たまにりんごを食べる。
あまり出回ってはいないらしく、希少の部類らしい。
でもなんでこんな森の中にあるのにダンフは知らなかったんだろう?
多少離れているだろうけど、この森に暮らしていたら知っていそうなもんだ。
もしかして全然動かない系なのかな?
「なんか…眠たくなってきちゃった……」
「お姉ちゃんも……」
「俺も…もう無理だ」
そう言うとエイミーとお姉ちゃん、ダンフが寝てしまった。
えっ、どうして?
ドラグノールと一緒にみんな寝てしまった。
そんな時、木の後ろから誰かが現れた。
「貴方達は誰?」
僕たちより少し大きくてルーシュより小さい女の子だった。
なんでこんなところに人が?
いや、なんでというと僕たちもここにいたらそう思うよね。
「僕たちはこの森に遊びに来たんだ」
「遊びに?」
「うん、そこにいるえーっと、ワンちゃんの狩りの練習をするためにね」
「ワンちゃん……?」
女の子はドラグノールへ近づいた。
「ワンちゃんじゃないわ。この子、フェンリルじゃない」
「えっ!?」
何で分かったの!?
僕が言ってもみんなは信じてくれなかったのに。
「知らなかったの?」
「いや、僕は知っていたけど。言っても信じてくれなかったからね」
「まあ、そうよね。普通に生きていたら見ない伝説の生き物だから」
今度は僕のほうへとやってきた。
「貴方の名前は?」
「アンディ・ルーク・デルクだよ。君は?」
「私はリリス・ヴァンパイア」
「ヴァンパイア?」
「ええ、吸血鬼よ」
そう言うと口を開いて牙を見せてくれた。
本当だ、上の両方に立派な牙がある。
「信じてくれた?」
「うーん、でも僕が知っているヴァンパイアは日の光に当たると灰になるんだけど」
「あぁ、普通はそうだけど長く生きているからね。弱点の耐性は付けたの」
そんなのあり!?
そんなことしたら弱点無くなっちゃうんじゃないのかな?
リリスは僕の顔をじっと見ていた。
「えっと、どうしたの?何かついている?」
「そうじゃなくて、おかしいなあと思って。この木に近づいたら眠るように魔法をつくったのに、君だけ眠らない」
みんなが寝ちゃったのはそのせいだったのか。
でもなんで僕だけ寝なかったんだろう?
「ごめん、僕にも分からない……」
「…そう、世の中まだ分からないことだらけってことね」
そういうと、今度はエイミーやお姉ちゃんのほうへと歩き出した。
「みんなに何をする気なの……?」
「ここだと風邪ひいちゃうから一旦私の家に連れて行くの」
「家?」
周りを見ても家らしき建物がない。
もしかして魔法で隠しているとか?
「
魔法を唱え、みんなに触るとみんなが浮き始めた。
すごい、あんなに重そうなダンフとドラグノールまで浮いている。
「ついて来て」
「えっ?」
「こっち」
僕はりんごの木の裏までついて行った。
付いてきたのはいいけど、特に何もない。
リリスが木に触れた瞬間、触れた木の部分が歪んだ。
はっきりと見えるようになると、そこにはドアが現れた。
「どうぞ、ここが私の家よ」
なんと大きなりんごの木はリリスの家だった。
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