第7話 付与99
「あ、アンディー……?」
「どうしたのエイミー?」
「さっきから何話しているの?」
僕は言語を99にしているからダンフが何を話しているのかが分かる。
だけどエイミーたちは上げているわけではないから、何を話しているのかが分からない。
エイミーたちから見れば、僕は熊にひたすら話しかける変な人に見えたんだろう。
何せお姉ちゃんとルーシュがポカーンとしているからね。
「ちょっと待ってね。スキルオープン」
僕だけが聞こえていても、みんなが聞こえないならダンフがかわいそうだ。
せっかくならみんなと話せるようにしてあげたい。
と言ってもどうしたらいいんだろう?
ダンフがこの言語っていうのを上げられればいいんだけど。
そもそも熊って魔法やスキルを上げたりできるのかな?
ちょっと考え方を変えてみよう。
ダンフがどうするかではなく、僕がどうすればいいのか。
そのどうかにいいのを見つけられればいいんだけど……。
うーん、
何かを渡せそうな気がするけど。
とりあえずやってみようか。
『
あ、勝手にダンフになってくれてる。
99まで上げると制限がなくなるのか。
制限がなくなるってことはいけるってことでいいのかな?
「言語って贈ることができるの?」
『可能です。言語でよろしいですか?』
「ちょっと待って、これって贈ったら僕のほうから言語は無くなったりするの?」
『無くなりはしませんが、スキルは1から再スタートになります』
一般的にスキルが1から再スタートになるということは、今までのスキルポイントが無駄になってしまう。
僕にとってスキルポイントは無限にあって、そんなことは関係ない。
ようするに、僕は
……やばいのを見つけてしまったなあ。
『付与しますか?』
「うん、お願い」
『かしこまりました。ではダンフへ言語99を贈ります』
これで贈れたかな?
確認するために一旦言語を解除――いや、別にいいか。
今は1まで戻っちゃったんだし。
「ダンフ、ちょっと何か話してみて」
「美味しい魚、美味しい木の実…あれ?」
「「「熊がしゃべった!?!?」」」
よかった!成功だ!
って美味しい魚と美味しい木の実ってなんだよ。
お腹でも空いているのかな?
「アンディアンディ!熊がしゃべったよ!!」
「僕だけが聞こえていても不便でしょ?だからこうして聞こえるようにしたんだ」
「そんなことできるんだねー」
「うぬ、やっぱりこうして話せるほうがいいな」
「よろしくね!えーっと……」
「ダンフだ」
「よろしくダンフ!私はエイミー!」
「私はカラリア。アンディのお姉ちゃんよ!」
「ルーシュと言います。
ダンフは一気に名前を言われて、少しこんがらがっているみたいだ。
今までそんなことが無かったからテンパっているな。
「そうだ。よかったらお礼を兼ねて、俺の住んでいるところまで来るか?」
「「行ってみたい!!」」
「私も気になります」
「じゃあそうさせてもらうよ」
すっかり緊張の糸がほぐれた3人。
僕たちは仲良くダンフの住んでいるところへと向かった。
森の奥へ進んでいくと、周りは幻想的だった。
特に川があったところは良かった。
まるで絵の中に潜り込んだみたいだった。
「住処はこの近くにある」
「へぇー!なんで川の近くを選んだの?」
「水はすぐ飲めるし魚がたくさんいるからだ。そして木の実も近くにある」
なんて食欲に忠実なんだこの熊は。
でもこんないいところに住むなんて羨ましい。
僕たちは川の近くの住処に着いた。
「見てみて!ふかふかのベッド!」
「俺の自慢のベッドだ!葉の種類をこだわって――」
「本当だ!わーい!!」
「こらこら!ぴょんぴょん跳ねるな!葉が飛んで行ってしまう!!」
そりゃあ怒るよね。
頑張ってつくったのに壊されたらたまらないもの。
「――ったく」
ダンフは飛び散った葉っぱを集め、ベッドに横たわった。
ん?これってもしかして……。
いいことを考えたぞ!
「ん?」
「やっぱりこのモフモフはいいなあ」
僕はダンフにくっつくように横たわった。
ダンフの毛はモフモフですごく気持ちい。
あぁ、これは段々眠くなってくる……。
「あっ、アンディ寝ちゃった」
「本当だ!じゃあ私も!」
「エイミー様!ここで寝ては――」
「じゃあ私も!」
「お嬢様まで!」
アンディが寝ると続いてエイミー、カラリアもダンフにくっついた。
「……もう」
「ルーシュだっけか?お前も来るか?」
「うーん……」
実はルーシュは大の動物好き。
モフモフ求めてたまに仕事を抜けることがあるぐらいだ。
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」
ルーシュもダンフにくっついた。
みんなダンフにくっつきながらかたまっている。
やがて3人は寝息を立て始めた。
ダンフもいつもと違い、みんなとかたまって暖かったせいでいつの間にか寝てしまった。
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