デサローダ
第54話
「と、言うわけです……」
「なるほどなるほど。ディラは勝手に行く先を決めたんだねー」
「はい……」
「連絡をしてからという考えはなかったのかしら?」
「申し訳ございません……」
俺は家に帰って2人に今後のことを話したら正座をすることになった。
「お二方、そろそろ許してあげたらどうでしょうか?」
「あまり甘やかせてはいけないのよ。いつもこうなんだから」
「そうそう!こっちに来てから私たちやりたいこと全然やってないんだから!」
家を手に入れていたけど、なんて言えないよな。
これ以上何か言ったらもっと怒られそう。
「そうだった。ダン、これをみんなに分けておいてくれ」
「これは何でしょうか?」
「今回の依頼でもらったお金の一部だ。一応多くいれたつもりだけど、足りなかったら言ってくれ」
「わざわざ用意してくださりありがとうございます。配分を考えるので中を見ていいでしょうか?」
「構わないよ」
ダンはお金を入れた袋を持って別の部屋へと向かった。
何か測る道具でもあるのかな?
こっちの世界だと自動で計算してくれる機械なんてないからなあ。
「ちなみにいくらいれたのかしら?」
「メイドが少し多かったから金貨500枚ぐらい」
「随分といれたねー。そんなに報酬が高かったの?」
「今回は前回とは違う形で追加を貰ったんだ。ほら、花が咲く条件が分かったでしょ?」
「情報提供料ってことね」
「そうそう。ファラが思いついたおかげでSレベルまで下げてもいいことになったんだ。これからはたくさんとは言えないものの、ちょくちょく手に入るかもしれないってさ」
「私のおかげ?それならそのお金って――」
「あっ……」
しまった、墓穴を掘ってしまった。
「まあいいわ。勝手に知らないところで使われているよりはマシだし。それに家を任せている人達に渡すなら納得できるわ」
よかった、セーフみたいだとは言い難いけど見逃してくれた。
これからは行動と共に発言にも注意しないといけないな。
「それで話の続きなんだけど」
「なになにー?また怒られたいのー?」
「いや、そうじゃなくて……。そろそろデサローダという町で戦闘祭があるみたいなんだ」
「「戦闘祭??」」
「そう。詳しくは知らないけど、たまには思いっきり戦えそうな祭りがあったからちょうどいいかと思って」
思いっきりとは言ったものの、本気でやったら町は吹っ飛んで行ってしまいそうだけど。
でもたまにはスカッとしたいから2人にもちょうどいいかもしれない。
「確かによさそうだけど、やっぱり相談はしっかりしてほしいわ」
「はい…気を付けます……」
「僕たちのことを思ってくれたのはうれしいけど、しっかりと後先考えてね」
「分かりました……」
結局お説教の続きとなってしまった。
それでも2人ともなんだかんだ乗り気であるように見える。
「旦那様!これは一体!!」
「あ、戻ってきた」
ダンは驚きのあまり走って向かってきたのだろうか、息を切らしている。
手にはさっき渡した袋を持っていた。
「袋が小さいからチップぐらいだと思ったのですが、なんですかこの量は!それにこの袋も何なんですか!!」
「えーっと、まず先にその袋は俺が改造した袋だ。ただ単に入れるための
「いえ、私たちは国王様から援助金として渡されていますのでそれを生活費に……」
あの国王、そんなことまでしていてくれたのか。
ありがたいけど執事やメイドたちのお金も管理できなかったら主人として認められないだろう。
元々こんな大きい家に住むとは思わなかったけど。
それでもここはしっかりと主人として言わないと!
まあ、俺が主人なのかは分からない状態ではあるけど。
「生活費ということは遊ぶ金とかないだろう?」
「いえいえ、私たちはこの仕事があればいいので」
「それでもたまに遊んだり買い物に行ったりしたいだろう?休みもそっちで自由に決めていいからさ。ほら、俺たち基本家にいる時間が少ないし」
「そ、そうですが……。やはり大金過ぎます」
「じゃあみんなが住んでいる方に置いておいて、使いたくなったら取っていく形式にするか」
「それだと誰かが盗んでいく可能性がありますので危険です。分かりました、しっかりと皆に分けさせてもらいます」
「ああ、よろしく」
なんとなくだが、俺もいきなり大金を渡されたら驚く。
何かの罠なんて疑ってもおかしくはないからな。
「そういえば、スロウはどこにいるの?」
「あいつならそこら辺の宿で泊まると言っていたぞ。一応誘ったが断わられたし」
「そうなんだ。せっかく依頼達成祝いしようかなあと話し合っていたのに」
「なら俺たち3人でやっちゃおうか。準備していたんだろう?」
「そうね。スロウには申し訳ないけど、私たちでやっちゃいましょう」
その後はようやく許されたみたいで依頼達成祝いをすることに。
ダンとメイドたちは給料を貰って嬉しかったのか、みんな張り切って料理を作ってくれていた。
またこんなにも美味しい料理を食べたいなあ。
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