第37話
「えっと、何をされているんですか?」
「おはようの挨拶をしてあげようかと」
「……」
聞いといて反応なしかよ!?
まあそう思われても仕方ないか。
もっと言い方があったかもしれない。
俺たちは今、雪山の境目まで戻ってきた。
理由は雪山で穴を掘ると勝手に埋まるからだ。
「こっちなら勝手に塞がらないからやりやすいわね」
「ああ、でも制限時間はあるがな。境目をつくるんだが、また魔法を合わせることになりそうだがいいか?」
「別に構わないよー?」
「同じく」
よし、ならここからが本番だ。
「じゃあいくぞ!」
「「「大地の歪み」」」
「うそでしょう……?」
その瞬間、森と雪山の境目が割れた。
3人で使った魔法、大地の歪み。
簡単に言うと地面と地面を切り離したりくっつけたりする大魔法。
ゲームだとこれを使って揺らし、敵陣の本拠地を壊す人たちもいた。
だが、そのせいで浮島を使う人や本拠地を別の形にする人が増えて使う人が減ってしまったが。
「グオオオオオ!!!」
「ひいっ!?」
「運がいいな、一発目で頭だ。それにしてもずいぶん深いところにいるようだな」
ようやく会えたな、まだ姿ははっきりと見えないが。
随分と時間がかかったぜ。
「早く終わらせましょう」
「早くしないと地面戻っちゃうよー」
「んじゃ、さっさと終わらせてくるわ」
俺は境目の中へと入っていった。
それにしても随分と深いところにいるな。
日の光があまり入って来ないところまで下ったとこまで潜った。
「いた。
そこには大きいカメの顔があった。
本当にでけぇなあ。
まるで家一軒を相手しているみたいだ。
「グオオオオオ!!」
「っ!?くそっ、でかい声だすなよ。耳がいてぇ」
でかいだけあって声が大きい。
そしてそのまま口を大きく開いた。
「ん?魔法か」
それにしても遅いな。
でもここまで溜めているから相当強い魔法だろう。
そしてそれはレーザーのように解き放たれた。
「残念だったな、断絶」
俺の前で魔法は消えた。
今の威力、山に当たってたらその山は消え去っているぞ。
どんだけ威力あるんだよ。
まあ、そんな魔法は消えたがな。
俺が使った魔法は断絶。
シンプルだが、魔法Lv.100のカンスト魔法。
ゲームだと試合中一回だけ使えるチート級魔法。
効果は言わずとも、魔法を無力化させる。
「…こっちだとデメリットはあるな」
使ったのはいいものの、手のしびれがひどい。
肘より下がいう事を聞かない。
だがまあ、あの魔法を防げたのだからいいだろう。
それに左腕だったのが幸いだ。
「さて、終わらせるぞ」
カメ、アイスマウンテンロックは焦ってまた同じ魔法を使おうと溜め始めた。
だがもう遅い。
「鬼刀―斬龍頭」
俺は勢いよくカメの頭を切り落とした。
斬龍頭は龍の頭を斬り落とすほど鋭い刀。
刀は小さいが、そんなの関係なしに斬れる。
俺はこの刀が好きでよく使っている。
武器あり戦闘ならまずこれを選ぶほど気に入っている。
「っと、討伐の証拠に頭を持っていくか」
俺は落ちていく頭を持つと、上へと飛んだ。
ステータスが高くても重いって感じるほど重い。
本当にでかいやつだったな。
「ただいま」
「おかえりなさい」
「おぉ!けっこう大きいね」
「けっこうどころではないですよ!!」
重いから邪魔にならないところに一旦頭を置いた。
随分あっさりと倒してしまったが、これで依頼達成だな。
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