初めての村
第4話
ワープ先はどこかの村。
始めてみる村だ。
「初めて見る村ね」
「本当だ!あんな建物みたことない!」
「一体ここはどこだ?」
マップには村が表示されているが、それ以上のことは描かれていない。
いつも通り、ある程度の地形しかわからない。
既存のステージの地形ならある程度覚えているが、なにせこのゲームは広すぎる。
現実世界並みに大きいと言われているため、「ここだ」とすぐには分からない。
「ステータスを見て。私たちLv.1になっているわ」
「本当だ!久しぶりに見たよ!」
「ん?Lv.1だけど他のステータスおかしくない?」
他にも攻撃や防御、魔力などが書かれている。
いつもは「これがステータス?チートでも使った?」と言われるほど桁が大きい数字が書かれていた。
わかりやすいようにいつも数字が書かれているはずが、今はハテナマークしかない。
「バグか?でもLvだけしっかりしている」
「見て!設定の項目がないわ!」
「本当だ……。これだとログアウトできないぞ」
設定の項目にはグラフィックやボリューム、他にはログアウトもあった。
この項目がないと俺たちは永遠に閉じ込められることになるぞ!
「とりあえず村へ行こうよ!クエストが終われば戻れるかもしれないよ?」
「そうだな。さっさと終わらせて戻ろうか」
俺たちは村の中へと入って行った。
いつもはクエストだとわかりやすいようにNPCや建物に印が付いている。
クエストの印を探すも見つからない。
もしかして
「おや、冒険者の方ですか?」
「えっ?まあそうだね。クエストを受けてきたんだ」
「そうですかそうです、かっ!?」
「「「ん??」」」
村人が俺に話しかけたと思ったらいきなり驚いている。
どうしたんだ?そんな尻もちをついて。
「ば、化け物だああ!!黒い羽根と角を生やした化け物がおるぞおおお!!」
「私!?」「僕!?」
どうやらファラとメルを見て驚いたみたいだ。
おかしいな、メルはまだしもファラは初期から選べる種族。
人間種族以外お断りクエストなんてできたのか?
そんな理不尽なことするか?
「村長!どうしましたか!」
「化け物だと聞こえましたが!」
ぞろぞろと人が集まってくる。
えっ、どういうこと?
それにいつもは表示されるのに、マップにNPCが表示されない。
このクエストバグだらけだな。
「おぬしたち!まさか悪魔の仲間ではないのか!」
「悪魔?」
「この村に被害を与える悪魔だ!白を切るつもりなのか!!」
悪魔から襲われている村を助けろってことか?
俺たちは今来たばかりなんだし、クエストに詳細なんてなかった。
しかも書かれていたのは新しい世界だし噛みあっていない。
それにしても元々会話する機能はあったけど、こんなに感情的なの初めて見た。
「今回のアプデは期待してください!」ってことか?
「でてけ!」「でてけでてけ!」
村人は俺たち目がけて石を投げてきた。
俺も巻き添えに。
「いたいっ!」「いたいよ!」
「いてっ!ってどういうことだ!?なんで本当の痛みがあるんだ!?」
ゲームには痛みは存在しない。
みんなが「痛い」というのは主人公がダメージを食らったときに言ってしまうあれ。
ダメージを負ったとしてもせいぜい微量の電気が流れてしびれる程度で痛みまではいかない。
決して痛みはない。
でも痛みがある。
何かおかしいぞ……。
「と、とりあえず落ち着いてください!俺たちはこの村を守るために来ましたから!」
「……本当だろうな?」
「本当ですよ。それよりクエストの内容を教えてもらえますか?」
「クエスト?まあよい、結果で示してもらおう。こっちも切羽詰まっているんだ」
俺が話している間、ファラとメルは二人して顔を見合わせていた。
二人もさっきの痛みで何かおかしいと思っているみたい。
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