［詳説］よくわかる日本神話

怒る伊邪那岐

　伊邪那美があの世へ旅立ってしまい、大きな衝撃を受けた伊邪那岐は「私の愛おしい伊邪那美を、子一匹などに変えようというのか」と、嘆きます。亡き伊邪那美の頭のほうへ、また足のほうへ腹ばいになって泣いていると、その涙から神が生まれます。【泣沢女神（なきさはめのかみ）生誕】

　そして伊邪那美は、出雲の国と伯伎（ははき）の国の間にある、比婆（ひば）の山に埋葬されました。

　するとここで、伊邪那岐は腰につるしつけていた十拳の剣を抜いて、迦具土（火の神）の首を切ってしまいます。そしてその剣に神の血が付くことによって計八柱の神が生まれます。

一、刃に血が付いて生まれた神々

　石析神（いはさくのかみ）

　根析神（ねさくのかみ）

　石箇之男神（いはつつのをのかみ）

二、剣の根元に血がついて生まれた神々

　甕速日神（みかはやひのかみ）

　樋速日神（ひはやひのかみ）

　建御雷之男神（たけみかづちのをのかみ）（別名：建布都神（たけふつのかみ）・豊布都神（とよふつのかみ））

三、柄（つか）に血がついて生まれた神々

　闇淤加美神（くらおかみのかみ）

　闇御津羽神（くらみつはのかみ）

　そして殺された迦具土からも、計八柱の神が生まれます。

一、頭：正鹿山津見神（まさかやまつみのかみ）

二、胸：淤縢山津見神（おどやまつみのかみ）

三、腹：奥山津見神（おくやまつみのかみ）

四、陰部：闇山津見神（くらやまつみのかみ）

五、左手：志芸山津見神（しぎやまつみのかみ）

六、右手：羽山津美神（はやまつみのかみ）

七、左足：原山津見神（はらやまつみのかみ）

八、右足：戸山津見神（とやまつみのかみ）

　その迦具土を切った剣の名前は、天之尾羽張（あめのをははり）（別名：伊都之尾羽張（いつのをははり））と言います。