一年生 二月第二週目休日 その1
「ふぁあ…。まだ5時かよ…………」
土曜日の朝は早い。
社会人になると休日がいとおしくなり、どんなに遅く寝ても5時には目を覚ましてしまうのだ。
それはいくら体が若くなってもどうやら変わらないようだ。
とりあえず朝シャンを浴びにいく。
転生前は水道代がもったいないので使わなかったが、この世界は独り暮らしの高校生に優しいのか、もしくは俺をこの世界に連れてきた奴が入金してるのか、口座に俺の貯金のざっと100倍ほど……。つまり豪遊しなければ普通に暮らしていける金が入っていたのである。もちろん登録名も俺の名前。小田も同じらしい。あいつの場合神様の力何だろうが、俺は心当たりがない。
まあ、財布にも常に自動的に金が補充されるという恐怖体験もしているので「そういうものなんだ」と思って普通に生活している。
シャワーを浴び終わり、鏡の前に立つ。
転生前には毎日剃っていた髭ももちろん生えてこない。そして転生前にはダルダルだった下っ腹も引き締まっている。まあ二次元の男キャラに下腹ダルダルはいないから当たり前か。この世界に来てよかった。
そしてこの筋肉美。この世界では努力したら目に見えるリターンが必ずある。俺はひと月位ジムに行ってるが行く前より断然筋肉がついている。いわゆる細マッチョだ。
思わず鏡の前でポージングする。うん素晴らしい。惚れ惚れする。
「なんと素晴らしいんだこの世界は。」
朝飯にコンビニで買ってきたサンドイッチを食べる。
そして牛乳を飲む。転生前には朝飯なんて食わなかったが今では腹が減って仕方ない。恐らく成長期なのだろう。
8時
暇だ。
この部屋にはとにかく物がない。
ゲームも漫画も何もない。ただテレビとスマホがあるだけだ。
暇だ暇だ暇だ暇だ
「暇だー!」
「うるせえ!!」
ベッドから小田が起き上がる。
あまりに暇なので二階上にある小田の部屋に乗り込む。
鍵はお互いもしもの事があった時様に予備を渡しあっている。
「昨日夜遅くまで相模におすすめされたエロゲーやってて眠いんだよ……」
小田はもぞもぞと布団の中で暴れている。
「何時に寝たの?」
「3時」
「5時間も寝てるじゃねえか!起きろよ!」
俺も昨日の夜12時ぐらいに寝たから大体同じ時間である。
「何で休日いつも元気なんだよ……」
「逆に何でずっと寝てるんだよ……。」
本当に不思議な奴だ。
「買い物行きたいから着いてこいよー!」
「一人で行ってこい……」
その時ピローンとラインの音が小田のベッドの下から鳴った。
俺が取ろうとするとそれよりも早く小田が起き上がりベッドの下にあったスマホを取った。
そしてちらりと「甲斐セリカ」の文字が見えた。
「おうおう、朝からセリカとラインか?羨ましい限りだなぁ?もしかして昨日の夜もずっとラインしてたんじゃねえの?」
「う、うるせえ!!たまたまだよ!たまたま。」
そう言って小田はスマホをポチポチしだした。
ピローン
ポチポチ
ピローン
ポチポチ
ピローン
ポチポチ
「うぜえ!!」
思わず小田の胸ぐらを掴む。
「てめえ独り身の俺の前で他の女とラインしてんじゃねえ!!」
「お前は俺の彼女か!!」
ピローン
「しつけえ!」
「違う!相模からだよ!原にも来てる!!」
「は?」
確かに俺のスマホ画面も光っている。
そこには相模から『今日暇だから遊ぼうぜ~』と来ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます