第11話
一方、三人は迷彩色ドーム校舎の外に出た。
「自習だなんて、先生に褒められちゃったおかげだね。」
「あのフレーズのどこに褒め言葉が存在していた?箱子はホント、K点超えの天然ぢゃん!」
「キューリー夫人博士にも褒められた~。ぽっ。」
「顔を赤くするなぢゃん!」
「そうではありまちぇんわ!桁またずれの天然でちゅわ。」
「あ~あ。結局追い出されちゃったぢゃん。でもこれで、パコの血液、もらいもらい放題、飲み放題ぢゃん。」
「いえいえ。ワタクチの方こそ、箱子さんのオトメのニオイを堪能して差し上げまちゅわ。」
「Qが先に楽しむんだよ。二番目にはニオイが残らないほど、血を吸ってしまうけど。」
「なんでちゅって。ならばワタクチが先にニオイを吸いまくって、ついでに血液も飲み尽くして差し上げまちゅわ。それに今朝の箱子さんあさイチパンツ見競争は、ワタクチが先で勝利を獲得してまちゅわ!」
「あのセクハラ、そんな意図があったの!知らなかったよ!」
「今朝のパンツは、ナタを持ったクマサン柄のピンクでちたわ!」
「違うぢゃん。ドリルを手にしたトラ柄の白だったぢゃん!」
「ふたりとも違うよ!オモテがピンク生地にクマサンで、ウラが白生地にトラだよ!」
「正解でちゅわ!」「正解ぢゃん!」
「そういう問題じゃないよ!どうしてあたしがターゲットなんだよ?」
「ピンク地のクマサンのニオイは、スゴくクサイんでちゅわ。それがたまりませんでちゅわ~。バキッ!痛いでちゅわ!」
吝奈は牙を引っこ抜いて、木憂華に見せつけた。狼族の宣戦布告のポーズである。
「白地のトラの血液は、新鮮なのにスゴく淀んでいるぢゃん。こんな血液はどこを探してもないぢゃん。レアモノとしての価値しかないぢゃん。プスリ。」
木憂華は空の注射器を腕に刺した。吸血鬼のケンカ売りを示している。
「ちょっと、ふたりとも。あたしのことを誉めまくるのは嬉しいけど、ケンカはよくないよ。」
「どこに誉め要素があるんでちゅの?クサイのは、ケガレの象徴でちゅわ。」
「血液が澱んでいるのは最低の成分で、輸血にも使えない、捨てるだけのものぢゃん。」
ふたりの非難の言葉に、箱子の顔色が青白く変わった。
「ひ、ひっどいよ~!あたしはクサくないし、血液サラサラだよ~!うわ~ん!」
箱子は泣き出して、駆け出した。
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