走って、逃げて、走った。

@behu

第1話 本

ページをめくる。

ページをめくる。

ページをめくる。

学校では、ページをめくる。

本のページをめくる。

友達なんていらない。

部活なんてやらない。

勉強なんてしない。

好きな物は、本と家

嫌いなものは、人

高校に入って3ヶ月僕はぼっちになった。

それ自体は正直嬉しかった。

誰とも関わらずに過ごせると思ったから、だがそんのことは無かった。からかってくるやつや面白半分で話しかけてくるやつがいるからだ。

本当に嫌になる。

それを無視すると(舐めてんのか)になる。どうしたらいいのだろう、僕は、話したくない。動きたくない。考えたくない。何をするのも最初にないがつく。

そんな自分が嫌いになることは最初はあったが、今ではそれも自分だと認めてしまった。

僕は、一人になりたい。

でもこの世界では多分無理だ。一人になる事は出来ない。生きていくためには、人と関わらなければならないのだと十六年も生きてれば分かる。

そんな事を考えていた時、名前を呼ばれて前を見たら何故かみんなが僕を見ている。

それから知らない女子が俺の方に歩い来て僕の隣の席に座った。なんだろうと思って当たりを見渡したら黒板に黒川愛と書かれていてようやく分かった。多分転校生が来たのだろう。僕には、関係ないと思い本に戻ろうとしたときに横から「よろしくお願いします」と言われた。いつもなら無視をするがその女子の顔を見たとき何故か胸のあたりがとても痛くなって「ごめん」と言ってしまった。言った後で自分でも何故謝ったのか分からなかった。すると彼女が目をぱちぱちさせながら言った。

「君、小説は好き?」

何故彼女がこんな事を聞いてきたのかわからなくなって考えていると、彼女が1冊の本を取り出した。

「この本に見覚えある?」

ボロボロになった1冊の本を見せながらそう聞いてきた。題名は、掠れて読めなくなっているが作者の名前に見覚えがあった。

「この咲良文音って作者なら知ってる」

そう答えると彼女は、少し悲しい顔をしたがすぐに笑顔に戻り「そっか」と言った。

そこで学校のチャイムがなって1時間目の教室まで行かなくてはならなくなった。

歩いてる時、ふと彼女の少し見せた悲しい顔を思い出したがこれ以上彼女に関わらない方が良いと心臓が言っていた。






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