第47話 蓮斗・秀治 VS ザティック盗賊団 ー3
「こんのおおおぉぉぉぉぉ!!」
蓮斗は大声で短剣を右手に持って向かってくる男に対して、今日何度目かわからない溜め息をつく。
「…………!? がああああぁぁぁ!!」
蓮斗は、男のがら空きだったの脇に入り込み、脇腹を短剣の柄で強く打ち付ける。男は、痛々しい悲鳴をあげその場に倒れ伏した。
今、俺達はグライシアス鉱山に入り、大体中間ぐらいの位置にいると思う。さすがザティック盗賊団の本拠地だけあってたくさんの盗賊が待ち伏せしては一斉に襲いかかって来るわけだが……。
「……とりあえず、ここら辺は全部片付いたな……」
蓮斗は"
「う~ん……。それにしても……いないな。秀治はどう思う?」
「……多分だが、奥の方に固まってるんじゃないのか?」
「……現状は取り敢えず進むしかないのか……」
蓮斗達がグライシアス鉱山に入ってから優に一時間は経過している。そろそろ捕らわれている人の一人や二人が見つかってもおかしくはないのだが、一向に見つかる様子がない。正直、グライシアス鉱山の広さを少しなめていた。まあ、でもよくよく考えてみれば盗賊団に所属している奴等が相当な人数いるということなのだろう。
蓮斗と秀治は更に奥へ進む。すると、二手に道が別れている所に着く。
「……秀治。どうする?」
「……ここは二人同じ道に進んだ方がいいと思う。二手に別れて行動しても危ないだけだ」
「問題は右か、左か……」
蓮斗の"
「蓮斗。それならいい方法があるぞ」
秀治はそう言うと、詠唱し始めた。
「……光の精霊よ……我の魔力を代価とし、おのが視覚を共有せよ……"
そう言うと、秀治の手元にちょうちょのような形をした光が出現する。
「よし、行け」
秀治がそう言うと、それは秀治の手元から飛び立ち、左の道へ入っていった。
「……秀治、今のは……?」
蓮斗は今のがなんだかわからなかったようで、首を傾げながら秀治にそう尋ねる。
「ああ、今のはいわゆる視覚共有魔法の一種で、さっき飛んでった妖精の目を通して遠くの対象を見ることが出来る。あのサイズなら気づかれないし、丁度いいだろう」
ただ、この魔法にも欠点がいくつかある。それは、魔力を多く消費してしまうことと、その持続時間だ。
"
暫くすると、秀治の手元に妖精が戻ってくる。そして、そのまま妖精は光の粒子となって消えていった。
「……秀治。どうだった?」
「……左の道に捕まっている人達がいた。勿論盗賊達も。……だが妙に人数が少ない。もしかしたら右の方の道にもいるのかもしれない」
秀治は難しい顔でそう答える。
「まあ、取り敢えず左の道に行こうぜ」
「……そうだな、考えるより行動だな」
秀治は自分に言い聞かせるようにそう言った。
「じゃあ、行くか」
蓮斗はそう言いながら立ち上がり、左の道へ進んでいく。秀治も蓮斗に続いて、左の道へ進む。
蓮斗は、この救出作戦が無事に終わることを祈りながら先を急いだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます