第36話 ラヴィの気持ち。そして、本当はーー。 ー1
時は、ラヴィと蓮斗が出会った少し前に遡る。
(やばいやばいやばいぃぃぃ!!)
我、いや私、ラヴィは現在魔法"
暫くそうしていると、オーガの視界を通してハウンドを討伐している黒髪の青年らしき姿があった。ラヴィはその姿に見覚えがあり、まさか……と思うが自分の頭の中であるわけないか……とその可能性を否定する。幸運か不運なのか暴走したオーガはその青年を見つけると、突如止まった。その時丁度青年の顔が見えた。ラヴィはその瞬間、否定していた可能性が現実になったことを知った。
ーーお兄ちゃんだ……! ずっと会いたかった……! もう会えないと思ってたーー
私はまさかの再会に涙する。今はオーガに憑依しているためにその涙は誰にも見られていなかった。だが、喜んでいるのも束の間。今、ラヴィはオーガの制御が完全でなく、オーガは暴走している。これがラヴィ、もとい
(やめてえぇぇぇ!!)
そうオーガに叫ぶが、制御が完全じゃない影響でそれはオーガに伝わらず。
「がっ……!?」
次の瞬間には蓮斗の横腹を思い切り殴ったのだ。そのままの勢いで後ろまで吹っ飛び、木の幹に激突してしまった。
(いやあぁぁぁぁ!! お兄ちゃんが……! お兄ちゃんが……!!)
このままでは死んでしまう。怜奈はこれ以上オーガに暴走させるわけにはいかない。怜奈は制御を試みるが未だに暴走は止められていない。
(せっかく再会できたのに……! お兄ちゃんが死んだら私、私……!)
もう生きていけないよ……。怜奈の脳裏に蓮斗の死がよぎる。蓮斗はオーガに横腹を思い切り殴られ、木に勢いよく衝突した影響で、骨が複数折れていた。瞳は今にも閉じそうなくらい力がなかった。
(うぅ……。私が回復できるのは
怜奈は現状蓮斗の傷を癒す程の魔法を持ち合わせていないのだ。通常回復魔法というのは
怜奈がどうすれば蓮斗を救うことが出来るか懸命に考えていると。
突如蓮斗を謎の緑色の光が優しく包み込む。
(あれは……!?)
蓮斗の身体の傷が嘘のように治っていく光景が目の前にあった。
(エクストラリカバリー? いや、違う……! 姿が段々変わってるし……。先程までとはまるで違うようなオーラ。それにあの姿は……エルフ?)
蓮斗の耳が段々と長くなり、髪もエルフ特有の癖っ毛の多い髪に。蓮斗の姿は正にこの世界のエルフの姿だった。
(すごい……! あんな魔法見たことない……!)
怜奈が見たこともない現象に驚いていると、オーガがまたもや超スピードで蓮斗に襲いかかる。
(だめえぇぇぇぇぇぇぇ!!)
怜奈がそう叫びながらオーガの暴走を止めようとするが……止まることなく蓮斗に向かっていた。怜奈は今度こそもう駄目だと思い、咄嗟に視界を遮断してしまう。だが、次に起きたことに怜奈は驚く事になる。突如として怜奈は吹っ飛ばされたような感覚がした。怜奈はそれに驚き、遮断していた視界を遮断を解除しオーガの目を通して見えるようにする。すると、先程よりも地面が近く見える。真上には木の葉っぱ、背後には木の幹らしき感触があった。要するにオーガは蓮斗に吹き飛ばされ、木の幹に激突したのだ。だが、それぐらいでオーガの暴走は止まらない。オーガはすぐに立ち上がり蓮斗の背後に瞬時に移動する。オーガはそのまま蓮斗に襲いかかろうとするが……。
「"
蓮斗はオーガが背後にいることを察知しており、すぐさま追撃してきた。三日月形の炎の刃がオーガ目掛けて襲いかかる。オーガはそれを避けきることができず、右腕を切断されてしまう。
(……! 繋がりが弱くなった……! これなら……! "
今までオーガとの繋がりが強固で暴走を制御すること以外、オーガを止める方法が無かった。だが、繋がりが弱くなったことによって怜奈が"
怜奈は急いでオーガから抜け出す。蓮斗はいきなり魔族が現れたことで驚いたような顔をしていた。
「……お前は魔族か……!?」
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