2章 新たなスキルと出会い

第31話 蓮斗の悩み。そして、解決? ー1

 宿屋の食堂のテーブルの一つにて。

「はあ……」

 蓮斗は重々とした溜め息をついていた。蓮斗の現状を考えればそれも仕方ないと言えよう。何せ|レベルが20からずっと上がらないのだから。《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》

因みに現在のステータスがこれ。


柏沢蓮斗 Lv.20 職業:生成魔術師


生命力     53070

魔力      55690

魔法展開速度  56570

魔法耐性    60040

想像力     60040

スピード    52030

攻撃力     56060

防御力     52700


スキル

魔法生成(+魔法式省略)(+威力維持)、無詠唱、全属性耐性(+反射)、気配遮断、気配察知、変幻自在(+能力値底上げ1.2倍)、身体強化、炎透眼、成長促進


 


 宿に帰ってステータスを確認して以来全く能力に変化も見られなかった。訓練をしても、外で魔物を倒しても一向に変化がなかった。"成長促進"とか言うスキルもまるで役に立っていない。このままではいずれ強力な魔物を相手にしたときに手も足も出なくなってしまう。もしかしてレベル20がMAXなんじゃ……。いやいや! これでMAXだったら俺はこの先どうなるんだよ……。どうにかなんないもんかなぁ……。

 俺が色々と悩んでいると、

「どうしたの? 蓮斗くん、そんなに溜め息をついて」

と川崎が心配そうな顔で尋ねてくる。くっ……。その顔は反則だ!

「あ、いや。ちょっとレベルが上がんなくてな……」

「そ、そっか……。それはまた災難だね」

「ああ……」

 蓮斗は川崎の言葉に力なく頷き返事をする。実際、俺は他の人たちよりもステータスは最初から高かったがレベルがどんどん上がればその内追い越されるだろう。俺の成長期はもう終わったのだろうか?

 俺はそんなことを考えているとふと気になることが頭に浮かんできた。

「川崎。ステータスって見せてもらえるか?」

蓮斗の言葉に川崎は、

「…………蓮斗くんのエッチ」

と顔を少し赤らめながらそんなことを言った。

「何でそうなる!?」

俺は思わず立ち上がって大声を出してしまい、食堂にいる人たちが一斉にこちらを向いてしまった。俺は小さくすいません、と言って頭を下げて座った。

「ったくもう……。要らぬところで恥を欠いちゃったじゃん……」

「ごめんごめん。ちょっとからかいたい衝動が押さえられなかったんだよ」

 川崎はそう言いながら楽しそうに微笑む。

「蓮斗くん。私のステータスを見たいなら私の部屋に行こうよ。ほ、他の人に見られたくないし……。あ、あと蓮斗くんのステータスも見せてもらうからね!」

川崎は顔を赤らめながら、最後の方は少し早口気味になりながらそんな事を提案する。

「あ、ああ……。そうするか、俺も見られたくないしな!」

蓮斗も少し顔を赤くしながらやはり早口気味に言う。二人はそそくさと席を立ち、川崎の部屋がある場所へと向かった。




「は、入るぞ……」

「ど、どうぞ……」

 俺は少し緊張しながら川崎の部屋へ足を踏み入れる。そして、川崎は俺が部屋へ入ったのを確認すると前回同様、ガチャリと鍵を閉めた。うん、たぶんこれ癖だな。確信したよ。逃げないようにとかじゃなかったんだなあ……。

 俺はそんなどうでもいいことを考えながら川崎が腰をおろしたソファの隣に同じく腰を下ろす。当然ながら距離も近いわけで。

「「…………………………」」

 お互い見つめあったまま暫く沈黙の状態が続く。二人とも顔が真っ赤であり、緊張しているのがよくわかる。この沈黙を破ったのは蓮斗の方であった。

「……か、川崎。改めてステータスを見せてもらっていいか?」

蓮斗は緊張で言葉を詰まらせながらも先程食堂で川崎に言ったことをもう一度言う。

「う、うん……。いいよ……」

川崎は小声で恥ずかしそうに言いながら心の中でステータスオープンと唱え、ステータスを表示する。蓮斗も横からそれを覗き込む。


川崎春香Lv46  職業:治癒師

 

 生命力    34070

 魔力     35990

 魔法展開速度 35270

 魔法耐性   36950

 想像力    38960

 スピード   34980

 攻撃力    33590

 防御力    35940


スキル 

オートヒール(一定時間内に10ずつ回復)、聖なる光(全体回復、単体回復)、状態異常回復(オート)、支援魔法




「…………レベル46……!?」

 蓮斗は予想以上に川崎が成長していたことに驚いた。ステータスもまだ差はあるもののいずれは蓮斗を追い抜けるくらいだ。蓮斗は己のレベルの低さを痛感し、どうにかレベルを上げられる方法があればなあ……と思うのであった。





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