江辻とポノモ

@Kanoooo

第1話

 江辻は歩道を歩いていた。景色を見ていると電柱に当たって倒れ後ろの自転車に轢かれて意識を失った。目が覚めると他人に囲まれていた。その中に黄色い生物が居た。

 「だいしょうぶです」起き上がり徒歩で家まで帰る。黄色い生物が後ろをついてくるので立ち止まり振り替える。「なんなんですか?」

 「ヒょーヒょールド」

 江辻は怖くなって走って帰った。ついてくる生物を見て玄関扉を急いで開けて家に入る。ドアスコープから外を見ると生物はついてきていた。生物はスライムのように柔らかくなって玄関に付いているポストから中に入ってきた。

 「うわああ!」

 「ひょるどー」

 黄色い生物は元の形に戻る。

 「なんなんだお前は!」

 「ルドーひょ」

 「ルどーひョってなんだよ?」

 「ドヒョーる」

 「日本語が喋れないのか?」

 「ルードひょ」

 現実なのか幻覚なのか。江辻は家を出て道を歩いている他人に近付く。「この生物が見えませんか?」

 「この生物とはどれのことかな?」

 「黄色くてウネウネしてて下半身は人で上半身が紋所みたいな形のこの生物です」

 「・・・・・・」

 「・・・・・・」

 「すまん。急いでるんだ」

 「あ。すいません」

 江辻は家に帰った。

 「黄色い生物よ。名前は何て言うんだ。答えられるなら教えてくれ」

 「ポ。ポ。ポノモ」

 「ポノモって言うのかそうか」江辻は病院に行った。健康だった。家に帰り彼とポノモの共同生活が始まった。ポノモに料理を出すと彼は断固として遠慮した。

 「気を使ってるのか?」江辻は自分で食べて外に出るとポノモもついてくる。

 本当に他人には見えないのか。

 ポノモは人を避けるが当たってもポノモの形が変わるので他人の行く手を阻まない。百貨店のエレベーターで満員になった時のポノモはすごかった。ポノモと生活して10日が経った。

 ポノモは何も食べなくても平気みたいだ。

 江辻はポノモに音楽を聴かせた。ポノモはヘッドホンを被れるくらい上部がへこんでいた。ノリノリでタップダンスを踊った。

 「音楽が好きなのか?」

 「う」

 「う? うんって言おうとしたのか?」

 頷くポノモ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

江辻とポノモ @Kanoooo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る