第34話 探偵部side



「る、瑠奈達が監視されてる!?」

「ちょっと。声が大きい」


瑠奈と琳から休み時間中、真宮先生から探偵部のみんなへ話がある。と知らされた勇羅達は昼休みの予定を変え、探偵部の部室で昼食を取る事になった。茉莉は部室に部員全員が集まったのを確認すると、勇羅達にも瑠奈達に起きた一連の件を順序良く説明した。案の定集まった面々は、昨日までの出来事を聞いて目を丸くしていた。


「そういや勇羅君に送られた、怪しげな脅迫メール。あれから送り主共の動きが全く見られない。先生達に送られてきた、ストーカーメールと意味深な関係をしてるとか」


食事をしながら茉莉達の話を聞いていた万里も、訝しげな表情で考え込む。その時泪が口を開いた。


「あの後、京香さんやクラスの人達からも色々と話を聞いたんですが…。宇都宮夕妬が一年の女子生徒に干渉してる件、三間坂さんは完全にシロでした。宇都宮夕妬と噂が立っている女子生徒が一緒に居た時間帯。三間坂さんが友人達と、神在ショッピングモールで買い物していたのを、偶然目撃していた同級生が複数いて、どう考えても例の女子生徒と居た時間とがかみ合わないんです」


どうやら三間坂翠恋はこの事件とは無関係。更に翠恋の目撃者も複数いるならば、間違いないだろう。後は事の事情を一切知らない翠恋本人が、自ら首を突っ込まないでくれれば良いだけだが。


「そして宇都宮夕妬の隣にいた女子生徒、三年生の制服何だそうです。京香さんの話だと彼、ユウ君と体格がほとんど変わらないとか…」

「うっ」


宇都宮夕妬とほぼ体格が変わらないと言われ、勇羅は思わず口元が引きつる。しかしその夕妬と言う人物、自分の体格を気にしないのだろうか。年齢にしては小柄な身長が大きなコンプレックスとなっている勇羅は、異性と背丈が並んでいるとなると相手には申し訳ないが、まず間違いなく気にしてしまう。


「そうだ、東皇寺で思い出した。逢前先輩が館花って後輩の娘から、宇都宮の事で相談受けてるって」

「館花? それ、もしかして二羽の事?」

「瑠奈。知ってるの」


「うん、芽衣子の幼稚園の時からの幼なじみで、今は東皇寺学園に通ってるって。芽衣子の家に行った時に、遊びに来てた二羽とも何回か一緒に遊んだよ。芽衣子が最近二羽から、色々学校の事で相談受けてるとも言ってた」


芽衣子の知人で瑠奈とも面識があるなら、彼女は信用出来るだろう。学校が違えど頻繁に離れた友人に相談してる当たり、東皇寺の方針に染まって居ないのも大きい。


「泪君。放課後、瑠奈と琳を連れてその娘と会って東皇寺周りの話を聞いてきて。勇羅君達は逢前君にもう一度コンタクト取って」

「分かりました」


瑠奈と琳の同行者に泪を指定したのは、勇羅に次いで和真と繋がりが大きい為だろう。そして騒動に芽衣子までも巻き込む訳に行かない為、泪も承諾する。


「それから泪君、放課後和真君にもこの事件の事で連絡取って欲しい。……最悪下手をしたら東皇寺学園だけじゃなく、東皇寺管轄の委員会ごと潰して貰うかも知れない」

「……はい」


茉莉の声に部員達の表情が一気に張り詰めていく。自分達が巻き込まれた事態は、部員や顧問達が思っていた以上に深刻なのだと。


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