駅弁の日
拝啓、猫先生。
春なのに寒気が降りて昼夜の寒暖差は激しく、農作物の被害が懸念されるこの頃いかがお過ごしでしょうか。それにもまして、新型コロナウイルスは世界二百十二カ国の国と地域に蔓延し、わたしが住んでいる地域はもとより、友人たちの暮らす都道府県でも感染者が出ています。
わたしは臆病者なので、いつも何かあれば最大限の備えと行動をとります。
だから、警戒心もなく何事もない顔をしていままでと変わらず日々を過ごす人たちの気がしれませんでした。
もちろん、未だに信じられません。
為政者たちは、お金の算段で揉めています。
治療も保証も、なにをするにもお金は必要です。
無い袖は振れないのです。
お金を預かっている者としての行動なのはわからなくもないのですが、今回のことで掛かっているのは、お金ではなく人の命です。
優先すべき守るものは、命なのです。
自分の大切な人たちを死なせたくない、守りたい、そのために真っ先にすべき行動は、外出しないことです。
自分が感染しないことはもちろんですが、誰かに感染させないための行動をすることこそ、一番大事なのです。
ウイルスは、老若男女問わず、職業も国籍も関係なく、感染します。
テレビや新聞、ネットが流す情報をみていると、どこか他人事に思えるように語っています。
まるで自分たちは感染しないとでもいわんばかりに。
なぜ誰も、自分の大切な人を感染させないために外に出るな、と言わないのでしょう。
なぜに、人混みを避けろと言いながら、寄り集まって報道しているのでしょう。
そんな危機意識のない人間の言うことなぞ、だれが聞くのでしょう。
彼らが言っているから、従っているのではないのです。
心ある臆病者は、怖いから、警戒して自ら行動しているだけなのです。
むしろ声高に自粛要請している彼らの言動や行動は、欺瞞にしか映らないのです。
つながりは、時に足枷となって行動を鈍らせる。
優秀な人は、群れると途端に馬鹿になる。
時間がかかるのが議会制民主主義の欠点なのは自明の理なのに、平時に非常時の備えを怠った報いを、わたしたち自身が身を持って受けているに過ぎません。
わたしは選挙には常に一票を投じてきた。
義務を果たした者だけが、権利を主張できる。
非常時は、日頃の行いが現れるときなのです。
困窮しているのなら、ただ一人、解決してくれる人がいます。
それは自分自身です。
これまで我儘な日々を生き、甘やかしてきたツケが回ってきたのです。
いついかなる時も備えよとは、先生の教えです。
非常時のただ中にあれば、なおのことです。
久しくお目にかかっていませんが、どうか猫先生も息災で過ごされますよう願っています。
敬具
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