防災用品点検の日

拝啓 猫先生

 月も変わり、日毎に暖かさが増す日和、いかがお過ごしでしょうか。

 巷では新型コロナウイルスが忍び寄り、日常が脅かされております。それに伴い、人の判断による社会生活の混乱に戸惑いと不安をおぼえる者も少なくないと思いますけれども、猫先生におかれましては、預かり知らぬことだと鳴きながら、暖かな日だまりで丸まりながら昼寝をされているのではないでしょうか。

 いつからでしょう、身勝手な振る舞いをする輩が増えた気がします。

 偏に我執と保身のために他なりません。

 自身の行いを棚に上げて責任を押し付け、過大な誇張と揶揄で大衆を先導しようとする者共は後を絶ちません。

 大なり小なり、誰もが我儘です。

 困ったときに責任を取るのは、我儘をしてきた人自身です。

 その事を忘れた大人のなんと多いことか。

 これまで生きてきた中で、誰からも注意を受けて来なかったのか、忠告を聞き流してきたか、自身から進んで学び身に付けなかったかのいずれかでしょう。

 目の前にあるすべてのものは、自分でない誰かが用意してくれたものです。自分ひとりで何もかもできると過信し、慢心した結果、困ったから助けてくれと懇願したところで、誰も助けてくれません。

 助けてあげたくても、手が届かず、声すらかけられない状況になっているかもしれません。

 平時の行いが非常時に表れるのです。

 常日頃から自身を律せよと、いつもその身で訴えていらっしゃいましたね。

 また、猫先生はこうおっしゃっていました。

 学ぼうとすれば、どんな失敗からも教訓とできる――まさにそのとおりですね。

 暖気と寒気の乱高下のさなか、風に吹かれて花粉が吹きすさんでいますので、猫先生もご自愛ください。

                             敬具

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