11.
「まさに夢のような世界。」若い女がうっとりと呟く。
「確かに此処にあるけれど、存在し得ない。矛盾した空間なのです。狭間とも言えるでしょう。存在していて、存在できない。解けない謎かけですね。」眼鏡の男がうなっている。
・・では一体此処は何処なのか?
浮かんだ一文に僕は戦慄する。
僕は何故、これまで疑問を持たなかったのだろう。此処は一体何処か?言い換えれば僕は一体何なのか?生まれて初めて、僕は僕自身の存在に疑問を持った。
一体此処は何処なのか?
一体僕は誰なのか?
”シコウ”は何処なのか?
”シコウ”は何なのか?
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