属性は何を選択すればお嫁さんにしてくれますか?
@pipiminto
#1
「えー!お前の彼女中学生かよ!?」
「やぁ、なんつぅの?妹系っつーか…甘えん坊で可愛いんだよなぁ」
「カーッ、羨ましー!」
「お前はさ、彼女作んなら何系の子がいい?」
「そうだなあぁ…、あっ、女子大生って良くね?」
「年上かー。だったら俺は人妻が良いなぁ…」
「人妻は駄目だろ!」
「やっぱ無難に同級生じゃねーの?現実的には」
「同級生も現実的じゃないっつぅの!」
「あーあ、俺にも可愛い幼馴染とかいたらなぁ!」
「いいなそれ!毎朝家に迎えに来てくれる幼馴染!」
「幼馴染は今から作れねぇけどな…」
下らない会話が繰り広げられる昼休み。俺はそんな下らない会話に混ざることなく腕を枕に寝る体勢に入った。5限目に寝ない為にはここで睡眠を取っておく必要がある。決して会話をする相手がいないわけでは無い。
「おーい。隆久は?どういう子がタイプ?どんな子なら彼女にしたい?属性は何にしたらお嫁さんにしてくれる?」
せっかく寝ようとした俺のつむじをつつきながらそんなことを聞いてきた奴がいた。ほらな、会話する相手がいないわけじゃなかっただろ?ただその相手が会話したくない相手というだけで。
「ねぇ、なんで無視すんの?あたしのコト嫌いなの?今朝だって起こしに行ったらもう出ちゃってるしさぁ…。嫌いなら好きなキャラになるよ?あたし。ね、だからどんな子が好きか教えて??」
寝たふりを続ける俺のつむじを指先からげんこつに変えてきた暴力系幼馴染が畳み掛けるように聞いてくる。出来ることならチャイムがなるまで寝たふりを続けたいが頭は痛いしクラスメイトからの視線も痛い。
仕方なく顔を上げると、突っ伏した俺と目線を合わせるように屈んでいたそいつの顔が嫌でも視界に入った。長い睫毛に灰色の瞳、綺麗な鼻筋、ぷるんとした唇を持つ絶対的な美少女がそこにはいた。
本来ならつり目ともたれ目とも言い難い丸くて大きい瞳と目が合うはずだが今日はつり目の化粧をしているらしかった。そして今年の春先、いきなり伸びた髪の毛はツインテールに結ばれている。
幼馴染のこいつは高校入学と同時に別人のようになって俺に猛烈なアピールを始めた。人好きのする俺とは正反対のタイプのくせに何故か俺に構ってきて、他のやつには見せない顔まで見せてくれていることは知っていたが告白をされるなんて想定外にも程があった。
そしてその猛攻撃の結果、俺は高校で友達を作りそびれて休み時間の度に寝たふりをするはめになっている。なのに俺をこんな目に合わせている張本人は持ち前のコミュ力で友達がたくさんいるから妬ましい。
俺のそんな気持ちは見抜いているに決まっているのに素知らぬ顔で俺に笑いかけてくるこいつに呆れつつもう何回目かわからない返事を告げる。
「とりあえず、女がいい」
そう、俺に求愛している幼馴染は正真正銘の男なのだ。
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