第17話 刑事さん来ちゃったよ。R15
長女が小学一年生の時でした。
当時、私は長女が小学生になったころ、なるべく一人で何でもさせるようにしていました。
街中といえる場所に住んでいたので近所にはいろいろなお店があり、私は娘に『一人でお遣い』をさせて、とにかく『褒めてやること』にハマっていました。
その日は、夏休みの夕方18時頃に「パン屋さんで食パンの6枚切りを1斤買って来てね。」と頼みました。
娘は嬉しそうに「えぇー、いいけどぉ。」と、お金も持たずに玄関へと向かいます。
「こりゃ、こりゃ、お金を持って行かなきゃよ。はい、200円。『180円の食パンをください。』って言ってね。お釣りが20円だよ。いい?わかった?」
「うん。」ってニコニコする娘。
私は娘をお遣いに行かせた後、晩ご飯の支度を始めました。
食事の支度をして15分程経った頃、娘の帰りが「遅いな。」と思いました。
だって徒歩3分のパン屋さんへ買い物に行ったのですよ。
でも長女は誰にでもペラペラとお話をする子でしたのでパン屋さんで店員さんとお話しをして楽しんでいるのかもしれないと思いました。
でも流石に30分くらい経つと心配になり様子を見に行こうと思いました。
しかしその時、玄関が開く音が聞こえました。
私は心配して迎えに行こうとしていたこと隠したくて
「お帰り〜。ありがとうねぇ、さすがAちゃん!ママ助かるわぁ!」と食事の支度途中の感じを出すためにお玉を片手に持って長女を出迎えました。
すると長女は嬉しそうに
「ママ、あのね、恥ずかしいことがあったの‥。」
と言いました。
「どんなこと?」
長女は嬉しそうに
「お兄ちゃんがオシッコ行きたいから手伝ってあげたの。」
「へ?お兄ちゃんって?だれの?」
「知らないお兄ちゃん。」
「え?どこて?どうやって?」
「どこかのお家の前でね、見ててって言うから見ててあげたらオシッコが出て少しかかってしまったの。」
と胸を指すではありませんか!
確かに濡れているので、直ぐに着替えさせました。
どうも話が飲み込めずにパニックになっていましたが、そのオシッコが精液だと思い付くまでにそう時間はかからなかったような気がします。
近所の交番へ電話しましたが誰も出ませんでした。
私は何を思ったか長女を留守番させ自転車で1分のところにあるその交番は行きました。
やはり誰も居なかったので、置いてあった連絡帳のような物に長女がオシッコを若い男に掛けられたと言っているのでどうしたらいいかということを書いて帰りました。
今でしたら即110番するのですが人生で110番したことなどないので、どの程度の事で110番していいのかわからなかったのです。
家に帰って長女からいろいろと詳しく聞きました。
「オシッコのお兄ちゃんはパパくらい?」
「ううん、パパよりもお兄ちゃんな人。」
「何処のお家か教えてくれる?」と言うと
「うん、いいよ。」と連れて行ってくれました。
近所の古いマンションの2階の角部屋の玄関前でした。
もしそのまま部屋に連れ込まれていたらと思うと恐ろしくて愕然としました。
しかし、そのお兄ちゃんはマンションの住人ではないらしく自転車に乗って我が家とは反対方向に向かって行ってしまったと教えてくれました。
家に帰ると直ぐに交番から電話がかかって来ました。
近所で事件があり出掛けていて申し訳ないと詫びられ、直ぐに県警本部に連絡をしますので刑事が行きますと言われました。
もうビックリで
「け、刑事?!」そんな大事なんだとやっと気が付いた感じです。
30分程で刑事さん2人がやって来ました。
ドラマで見るような「山さん」と呼ばれるおじさんと少しすらっとした「山崎」と呼び捨てされるお兄さんペアでした。
長女にあった出来事を詳細に説明し、現場検証もし、長女の来ていた洋服を証拠として提出しました。
被害届を出さないと犯人を捕まえることが出来ないので出して欲しいと言われ出しました。
長女に
「あのお兄ちゃんは絶対してはいけないことをしたのよ。だから警察に捕まえてもらうからね。」
と言うと長女は
「えー?お兄ちゃん優しかったよ?捕まえないであげてよ。」と言いました。
長女にとってとても興奮する面白い出来事だったようです。
それから20年経って長女にあの時の事を聞きました。
「あの時、本当はお兄ちゃんのチンチンを握った事を言わなかったんじゃない?」
「え?なんでわかるの?言えなかったなぁ、幼くてもマズイとわかっていたからね。言えないよ。」
「心の傷にはなってないの?」
「全然大丈夫。むしろ男性の仕組みがわかった感じかな。」
だそうです。
結局、犯人は捕まっていないです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます