それは綺麗な、

十夜カナデ

はじまり

 こんなこともできないいのか!!


 入社して何年目なんだ?お前の同期はあんなに出世しているというのにな。


 コーヒーすら淹れられないのか、できないやつだな!





 ねぇ昨日合コンでね~!


 事務の島野さん、この間結婚したらしいよ!?


 あのイケメンとでしょ? 知ってる知ってる。





上司や取引先の鋭い言葉に、同じ課で働く自分よりも年下の女の子たちの世間話。同期の男からは早く出世しろよ~!といじられ、同期の女からは早く結婚しなよ~、とバカにされる。

…こんなにも騒がしい職場は今日でおさらばしてやる!


私、堤沙夜子つつみさよこいざ参る…!!!








と決意しかれこれ約半年…、私はいまだに机の中に潜む退職願を上司の机にたたきつけてやることができていない。チキンだ意気地なしだと罵ってくれて構わない、これには理由があるのだ。





まずは上司の体調不良から始まった。私が決意し退職願を書いた次の日、あろうことか上司は交通事故にあい入院していたのだ。


これで少なくとも私の退職が一ヶ月半のびた。


次にあったのは取引先の会社が倒産、事故にあった上司が戻ってくる一週間前で奴が戻ってきたときは既に社内は騒がしく皆走り回っている状況であった、ここで私の退職が二ヶ月のびた。


そして次にあったのは女性社員によるイケメン争奪事件、なんともおかしなことだが営業にとあるイケメンが転職してきたという情報が会社の女性たちに駆け巡った、名前は石橋さんという。石橋さん、ご飯行きませんか?ずるーい私も! 石橋さんコーヒーどうぞ、ミルク多めでしたよね?いろいろな言葉が飛び交ったものである。色ごとに現を抜かした女性の目を覚ますのは困難で、仕事は案の定滞り激怒した社長は迷惑な社員を一斉にクビにした、畜生私も現を抜かしていればやめれたというのに…!

大幅に減った社員を緊急募集し新人育成よろしくと任されたのは二ヶ月前。

私の退職はいつになったら実現するんだろうと考え始めた時期である。








そして最後、私は今男子高校生と同居をしている。

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それは綺麗な、 十夜カナデ @kanade-yuta

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