迷走

 私は器用な方ではないので

 自分が決めた道を

 ただ走る走る走る

 思考は置いていく

 迷いが生まれたら立ち止まってしまうから

 技巧は求めない

 拘ったら何も出来なくなる私だから


 だというのに

 不意にそいつはやってきた

 疲れて倒れたわけではない

 ただ 少し

 ほんの少し 速度を緩めただけで

 そいつは追いつき やがて全身に廻った

 つまり「これで良いのか」という疑問だ


 私は今

 それを振り払うかのように

 乱暴に打鍵している

 思うより先に手を動かしている

 なんだかんだと偉そうなことも言うが

 これが私の偽らざる本性である

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る