浮遊感

 気温が低くなるにつれて、感覚が鋭敏になっていく気がする。過去の記憶も呼び起こされて、より感傷的な気分に浸ってしまう。綺麗な思い出はいつも寒さと共にあった。今の私にそんな心持ちは辛いだけである。酒を飲んで孤独に暮らす毎日の中に有っては、鋭敏な感覚など痛々しいだけだ。理想と乖離した現実に気付いてしまうだけなのだから。

 

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