この瞬間を・・・

勝利だギューちゃん

第1話

スマホが鳴った・・・

いつものように・・・


「もしもし」

「あっ、たっくん、今日ひま?」

「いや・・・忙しい」

「何か用事でもあるの?」

「うん」

「珍しい・・・どんな」

「うだうだしたり、だらだらしたり、ごろごろしたりで忙しい」

「アホなこと行ってないで、すぐ駅前に来なさい」

スマホが切れた・・・


「どうする?行くか?無視するか?」

頭の中で、選択の→が上下する。


「行く」が、選ばれた・・・


仕方なく腰を上げて、駅へと向かう・・・


電話の主は、来ていた・・・

「たっくん、遅い」

「お前が早いんだよ、のぞみ」

「じゃ、行こう」

「どこへ」

「海」

「この時期に?」

「うん」

「寒い」

「寒いからいいんじゃない」

こいつは、言いだすときかない・・・


「切符は買っておいたからね。はい」

「ああ、サンキュー」

「後で、返してね」

「何を」

「切符代」

「おケチ」

でも、たかられるんだろう・・・


・・・で、海に着いた・・・

車内での会話などは、割愛する・・・


「本当に静かだね、たっくん」

「ああ」

「私、この時期の海が好きなんだ」

「ああ、同意だ」

「でしょ」


秋・・・だれもいない海・・・

俺とのぞみの2人・・・

思春期の男なら、同世代の女の子と一緒なら、ときめくが・・・

ちっとも、ときめかない・・・


ひいきめ抜きにして、のぞみは美人だと思う。

100人いたら全員が、美人と答えるだろう・・・


でも俺は、のぞみといるのが当たり前になっているので、

気付かないだけかもしれないが、俺は果報者かもしれない・・・


「たっくん」

「なに?」

「ありがとね」


だが、何事も終りがある・・・

でも今は考えない・・・

この時間を、楽しもう・・・

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この瞬間を・・・ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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