第12話
「なんでこうなった・・・」
いくら大きな寝台だからといって、6人も寝ていればすごい圧迫感がある。しかも全裸で。
「おはようございます」
きっと最初は腕枕していたと思うのだが、右腕で巻き込むように抱いていたエルベレスが
「良い夢を見られましたか?」
と恥ずかしそうに伏し目がちに言った。
「良い夢・・・あ、みんなを抱いた夢を見たよ」
前の世界では彼女いなかったから比較しようがないが、5回も頑張る体力も気力もなかったはずだ。
「それは夢じゃないです」
「え・・・じゃあ今が夢の最中なのかな。エルベレスの髪が金色だし」
エルベレスの髪の毛を指にとると、一本一本の髪が金色の発光をしている。
「あなたが『エルベレスの子宮に俺の子種を入れたら、それを媒介に全エルフの髪の色を変えられないか』と言ったんですよ」
あ、思い出した。
魔王温泉で奴隷解放の話をした時に、どうやってエルフを見分けるという話になった時にそういう話をして、湯上りにタマの振る舞い酒を飲んだら一気に盛り上がって乱行状態になったんだった・・・
「いや、すまん」
「はい?」
「メルミアとエリカは抱かずにおこうと思っていたのに、理性がぶっ飛んだ」
「それは気にしなくても、喜んでましたし」
「そうなの?」
「はい」
「痛い思いをさせたかと心配だった」
「それはまあ、私には痛かったですよ?」
「え(汗)」
「優一、あなたのは大きすぎます。巨大な杭を打ち込まれた感じで、昔の私なら吐いてました」
「わわ」
「まだ、ここに入っている感じがします」
エルベレスが上体を起こし、見えるように下腹部を摩る。
(エ、エロい・・・)
とりあえず「水」を使って擦過傷になってそうな部分を癒しにかかる。
エルベレスは顔を真っ赤にして抱きついて来た。
魔力が見えるだけに何をされているのかわかるのだろう。
「そうか、みんなには済まないことをしたな」
「何がです?」
左側でうつ伏せに寝ていたメルミアが身体を起こした。
「私は満足ですけど」
エルフ母娘の髪も光っている。
「お尻にもっとひどい入れ方されてたし」
エリカはそう言って寝台から降りた。
「好きで抱かれたんだから文句なんてない」
見た目だけだが幼女に言われると変な気分だ。
「それよりも」
ミケが寝台を一旦降りてから、メルミアとの間に割り込んで入ってくる。
「後宮で暮らしてもらういい口実ができたじゃないですか」
「口実?」
「エルフ王との子供なら後継者として遜色ないですし、500年や600年王子や王女のままでいさせても問題はないでしょう。それにエルフは血族を絶対に裏切りませんからエルフとの子は親衛隊の人材としても最適です」
「そうなんだ」
「ついでに言うと、具体的な国土を持つ帝国とエルフ王がいる場所を意味するだけのエルフ国が同化することで自由になったエルフに愛国心を持たせることを期待できそうです」
エルベレスに目を向けると、少し考えてから、囁くように
「私は帝国の王妃になるという意味で合っていますか?」
と少し照れ気味に言った。
「まあ、嫁さん公認の恋人みたいな感じ」
何より一緒に居てもらえると色々便利そうではある。
「嬉しいです。ずっと独りで寂しかったので」
「一旦後宮に戻った方がいいのかな?」
「うーん」
ミケが首を傾げながら
「それだと非効率じゃないかな?とりあえずエルフ王には後宮の住みやすそうな場所を選んでもらって、エリカに細々としたお世話をさせるのがいいと思います」
「そうだな、それと、後宮にいる奴隷をエルベレスが好きに使えるようにすればいいかな」
「はい」
「タマはどうする? 後宮に住むか?」
「オレは堅苦しいの嫌いだからここに残るよ、いつでもどこでも気が向けば会えるしな」
「確かに」
「では、後宮はエリカに任せる。エルベレスが窮屈な思いをしないように環境を整えてくれ」
「大任ですね」
「なに、ミケが見守ってるから心配せずに思い切ってやりたいようにすればいい」
「そうね、困ったことがあったら独り言言ってくれれば拾えるわ。それと、解放されたエルフは王宮に全て雇い入れて」
ミケはにやりとして
「うまくすればエルフだけでいくつか独立部隊が組めるかも」
「え、私軍事はわかりません」
「大丈夫、そっちはユーイチと私で態勢を整えるから、エリカはとにかくエルフを雇い入れて」
「わかりました」
「街へは自由に出てね。あなたの部屋にお金は置いておくから」
「はい」
「服は着なくていいわ、あなたの部屋に準備してあうから、好みを見ながら王に着せてあげて」
「あ、はい」
「じゃ、よろしく」
ミケがそういった途端、エルベレスとエリカは視界から忽然と消えた。
「ユーイチ」
「ん?」
「今何考えているか当てましょうか?」
「わかるのか?」
「『もっとおっぱい揉んどけばよかったなー』」
「おい」
「キャハ」
何か妙にミケがハイテンションだ。
「しかし、エリカあんなんで分かるのかなぁ」
「何でもかんでも示してあげるのが優しさではないと思う」
確かに自由なフィールドで好き勝手に作れるサンドボックスのようなものなのだから、必要以上の攻略情報は邪魔だというのは理解できる。
「じゃあ、私たちも移動しましょ」
「どこへ?」
「もちろん辺境伯の領地、目立たなそうな街に潜入しましょう」
「おう、わかった」
「じゃあ、タマ、落ち着いたらまた来るわ」
「うん、オレもダンジョン充実させる」
タマは裸のまま消え、ミケはあれこれ試行錯誤しながら豪商一行に見えるよう服を紡ぎ出した。
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