カルマの坂

ゆらゆら共和国

プロローグ

 先代の王が病で倒れてから十年になる。

 息子である現国王が冠を戴いて以来、王都は変わってしまった。

 彼の居城を大きく華美なものにするために税は重くなり、通貨の価値は暴落した。耐えかねた民衆が起こした暴動が鎮圧され、多くの人々が死んだのが五年前。

 その中に少年の父親もいた。母は彼を産み落とす時に亡くなっているので、九歳で少年は一人になった。

 そこから先も、そこより前も、思い返せばいつも腹が減っていた。

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