25-3 奮闘! 南大西洋上空!!

「……落っこちたら洒落にならないよな」

「さ、才人さん! 縁起でもない事は拙いですよ!!」

「スフィンストは洋上で動けるけど、デブリを砕くとかだと空を飛んだほうが良いパチ」


 ――南大西洋およびフォルタレザ上空。左スティックを押し込む才人の全身は微かに震え続けている。シミュレーターと異なり、実際にハードウェーザーを操縦するだけでなく、フォルタレザの空を飛ぶ事も未曽有の体験なのだから。


「デブリを砕くとかだと空を飛んだほうが良いパチ。シャルもそこまで考えてるパチ」

「だから俺も使わせてもらってるけど……あぶね!」


 コンパチが触れる通り、ヴィータストのポータル・シーカーを、スフィンストはバックパックに接続して運用していた。これも分離することなく――スフィンスト本来の戦闘能力を殺さずして、大気圏内での飛行能力を獲得する事が目的だ。上空から降り注ぐ細かいデブリに対し、フレイム・バズソーで粉々に刻み、


『才人君、君に無理を押し付けてるようで悪いんじゃが!』

『砕き損ねたデブリを出来るだけ砕いてほしい、こちらでも指示を出す!!』

「は、はい! 出来る限り何とかします!!」


 スフィンストの上空では既にドラグーン・フォートレスがデブリの破砕作業に入っており、ある時はレールガンを炸裂させ、またある時は甲板からのミサイルポッドで細かく粉砕するなり、大西洋近辺での被害を最小限に抑えようとしていた。

 しかしそれでも限度があり、砕き損ねたデブリを破砕するために、第二波としてフラッグ隊とスフィンストのような小回りの利く艦載機が備えていた。特にスフィンストに白兵戦を転用した破砕作業に適している事もあり、砕き損ねた個所へと向けて、フレイム・バズソーなり、ハリケーン・ウェーブなりで砕いていくが、


「急ぐパチ! まだ落っこちるものがあるパチ!!」

「やべぇ! あれが落ちたらフォーマッツみたいに!!」


 コンパチは別方向から落下するデブリも砕けと指示を出すが、スフィンストからの距離は少なからず離れていた。彼の脳裏にはフォーマッツからの光を直撃し、自分の家族を始めとする何万人もの死者を出した博多の一件が脳裏によぎった。

 それでもスフィンストの腕が届かないとなった途端、横切るようにして、青みのかかった機体へ両翼端からのミサイルをお見舞いして砕けば、


「ト、トムさん! すみません」

『へへ、こういう晴れ舞台で戦ってるんなら決めなきゃダメっしょ!』

『トムったら……私だけで飛び出せるなら』


 少し苦笑しつつも才人へ檄を送るトムを他所に、打って変わってルリーは自分の役回りへ少し不満ありげだ。これも砲撃戦に重点を置いたトム機に対し、ルリー機は白兵戦に重点を置いた機体となる。最も戦闘機同士のドッグファイトで効果を発揮すれども、デブリを破砕するにあたって本体を密着させる事は損傷のリスクが高い。

 その為、ルリー機はサザンクロス・バディのバックパックに連結する事で彼の大気圏内での飛行能力を向上させる一種のブースター同然の役割を果たしているが――ラディ、トムと違ってサポートに回っているようなものであり、


『しっかし、新しいハードウェーザーは大丈夫なんすかね?』

『どうも一癖も二癖もある奴ばかりらしいが……お前の所もどうだ?』


 サザンクロス・バディがリボルバーを立て続けに放って、デブリを直撃する。初の実戦への出動となるスフィンストら新たなハードウェーザーに対し懸念があったのだろう、アランは腕が如何なるものかとラディへ尋ねる。少しふてぶてしい口ぶりの彼に対し、ラディもまた彼が従えるコバルトブルーで塗装されたライトウェーザーの面々に関心が行き


『俺も鍛えあげましたからな。こいつらに情けねぇ姿は見せられねぇ!』


 アラン機に続く “ブレイヴ・バディ”――ポプラバンブー社によってセカンド・バディにとって代わる後継機のバリエーションであり、PARのオーストラリア基地へ優先的に配備されていた。スパイ・シーズを飛行用としてバックパックに連結させ、右手にしたガーディ・ライフルでデブリを打ち砕いていくと、


『実はもう少しスペックをあげてほしいもんですけど、そう悠長に待ってられませんからね』

『……そこまで考える事は俺達でも出来なかったからな』

『だからといって、お手上げって言えないでしょ』

『全くだ……仮にアンドリューがくたばったとしても、俺がそこで折れる訳には』


 最も、ブレイヴ・バディの量産体制も始まったばかりとの事で、大気圏内での制空権はバグロイドに分がある状況を崩すまでには至らない。PAR側が現状を何とか打破しようと見切り発車を強いられている事をラディにも理解できていた。自分たちがハードウェーザーのようなスペックを持たない機体だろうとバグロイヤーへ抗っている事に変わりはないからだ――例え生涯のライバルとなるアンドリューの生死が不明だろうと、彼を脳裏に思い描いていた中、


『上空にエネルギー反応……?』

『お、おい待て! いきなり現れる訳がないだろ!!』

『これで何とかなるはずです!』


 ブレイヴ・バディの1機が上空にデブリらしき巨大な質量を感知した為、上空へと飛び立っていった。無抵抗のデブリを破砕するには十分と彼は判断したのだろう、アランからの制止を振り切ってカルチャライ・クローの刃を展開させて砕こうとした時、


「な、7、8機も一気に現れるのでしたら……もしかして!?」

「気をつけるパチ! 俺の予想だとバグロイドの可能性があるパチ!!」


 同じような反応をスフィンストもまた捉えていた。イチの懸念する通り、バグロイドの群れが電次元ジャンプで南大西洋へと飛来しようとしているのだとコンパチは分析結果を出しており、


「お、おい! ちょっと待って、待ちなさいって……」


 才人が慌ててブレイヴ・バディへと呼びかけようとした瞬間、目の前で何かの見えない力に打ち付けられるように、海原へ叩き落とされ、着水する寸前に四股がはじけ飛ぶように爆散する。胴体の部分は既に形を残しておらず、


「……ちょっと! まさかと思うんだけど!」

「 一旦離れるパチ! ハードウェーザーなら叩けって言いたいパチが!!」


 目の前で仲間が爆散した事は、やり直しが効かない現実の死を意味する。呆気にとられる彼に代わってコンパチが代わりにスフィンストを速やかに離脱させる。その最中でモニターにはバグソルジャー、バグファイター計8機の姿が映し出されるも、彼らに守られるバグロイドは彼らの倍近くの巨体を誇る鎧武者であり、


『ハードウェーザーの方はみみっちぃけどな……ドラグーンを墜としたらなぁ!』

『こ、こっちに来るぞい!!』

『……全員、ショックに備えるんだ!!』


 戦鬼軍団のトップこと戦鬼将軍アルバトーレは、バグジャンバラーをドラグーンへと向かわせる。既にスフィンストへは眼中にない様子で素通りし、スカートに収納された2本の腕を突き出すと、拳からの衝撃波“タウプレッシャー”を炸裂させた――電装マシン戦隊の象徴ともなるドラグーンを墜とせば、彼らの士気に綻びが生じると見なした為だ。


『左舷の損傷30%! 一部の発射管制システムの機能停止!』

『左舷レールキャノン、ポッドNO.1~6まで使えないじゃん! セイル・ランチャーを使うしか術はないじゃん!!』

『もう一発喰らったらただ事では済まないか……』


 タウホーン・プレッシャーを左舷底部に受け、ドラグーンの戦闘能力にも少なからずの影響はあった。エルとロメロの報告を受けて、エスニックへ微かに苦みが走った顔つきを見せていた。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


『隊長! いくら何でも無茶ではないのですか!?』

『無茶かもしれないって分かっててもなぁ! 一発畳みかけねぇといけねぇんだよ!!』


 南大西洋上空に手、フラッグ隊とブレイヴ・バディ部隊がバグロイドの群れを相手に抗い続けていた。バグソルジャーを相手に、サザンクロス・バディはスナイプで狙いを定めており、


『絶対直撃させてやるけどなぁ……ジーロさんよ、賭けてみるぜ!!』


 ラディ機がバグロイドの戦域へ囮として潜り込んでおり、彼らが入り乱れる戦域にて、バグソルジャーの右腕を砕かんとトリガーを引く。弾丸が放たれる軌道に感づいて、タウファンガを射出するが――本体から離れたのは拳だけでなく、腕そのものだった。


『まさか関節を……うあっ!』

『前に出たら狙われやすいって事ぐらい考えてんのかよ!!』


 ライトウェーザーとの戦いで、右腕を損失した損害を被る事は想定外だったのだろう。相手はわずかな惑いも見え隠れする。一方アランはスナイプを洋上へ投棄して、真っ先に両腕のカルチャライ・クローを展開して切り込みをかける。シールドからの刃と内蔵されたビームを交えた殴打は相手に休む余裕を与えようとはせず、前かがみになるようにタックルを仕掛けており、


『おのれ! こいつなどに負ける筈は……!!』

『させるかよ!!』


 バグソルジャーは残された左手――デリトロス・ベールに勝機を賭けた。前のめりに殴り続けるサザンクロス・バディに対し、背中から串刺しにしようとうるものの、彼の奥の手に気づいたように、ブースターとしてのルリー機からリボルバーが浴びせられる。狙うのはバグソルジャーの胸部であり、一斉に銃弾を浴びせると共に、バグソルジャーの動きは一気に鈍り、そのまま微動だにしないまま海原へと叩き落とされる。


『どうだ!バグロイドやハードウェーザーに負けてねぇって分かっただろ!!』

『は、はい……見事です!』

『見事って褒める位なら、お前らも手を動かせ!!』


 サザンクロス・バディが勝利を収めた事にアランは高らかに宣言しつつ、部下の二人に檄を飛ばす。隊長に感化されるように彼らは胸部のミサイルポッドから弾丸を炸裂させ、足元をすくうようにバグファイターの動きを封じようと働きかけており、


『おぉ、1機墜としていい気になっちゃって』

『茶化すな、あいつは同じ隊長でも勝てる見込みを持って勝負に出た』


 アランの手柄を冗談交じりにトムが冷やかすのをラディは直ぐ窘めた。彼は単にハードウェーザーをライバル視して手柄を立てただけではないと事は、洋上のブレイヴ・バディ達の動きを見ればわかった。


『状況打破の為、隊長自らが血路を開く――言うだけは簡単だが、実際に挑むとなればその限りではない』


 アランがバグソルジャーへ単身で切り込みをかけたのは、隊長機の立ち位置になる彼を仕留める事で犠牲者が出た事で浮足立つ味方の士気を持ち直す意図があった。

サザンクロス・バディがジーロによって特別にカスタマイズを施した実質彼の専用機であろうとも、ライトウェーザーで新たなバグロイドだろうと撃墜できる事が証明された。唐突に表れて瞬時に僚機が撃墜された事で、委縮する彼らを奮起させることに成功したともいえた。曲がりなりにも新型のライトウェーザーとして、ブレイヴ・バディにそれ相応の性能があり、乗り手がそれ相応の実力を引き出させる事が大事だと――。


『最も、俺たちはこれからが正念場だがな……!』


 洋上のブレイヴ・バディから動きを封じられつつあった彼らに対し、ラディ機が両翼からのミサイルポッドとローカライ・クローからのビーム砲を一斉に放つ。2機のバグソルジャーを墜とすと共に、狙いはドラグーンを墜とさんと攻めかかる金色の鎧武者バグジャンバラーであり、


『待ってくださいよ! 俺にもあいつを叩きのめさねえといけないんですから!!』

『お前の気持ちも分かるが、勝負に出るなら覚悟はしろ!』

『いまさら何言ってるんですかい! ライトウェーザー乗りにも覚悟はあらぁ!!』


 ラディとアランが防衛を務めつつ、攻めにかかるもう一つの理由。それは味方の士気を奮い立たせる傍ら、相手側から自分たちを脅威と認識させることにあった。アルバトーレらに自分たちを真っ先に潰すべき存在、それも相手側からすれば勝てる確証があるとなれば、自分達の積極的な攻めは相手から一種の挑発と見なされるであろう。


「い、いや! ここは俺にやらせてください!」

『……今、どういう状況か貴様は分かってるのか!?』

「分かってるつもりです! ドラグーンを守るためですよね!!」


 その折、才人から先陣を切りたい趣旨の通信がラディ宛に届いた。例えハードウェーザーでも。プレイヤーの彼の腕が拙いのではと懸念するが、彼は止められる間もなく、スフィンストはそのままバグジャンバラーへ敢えて切り込みをかけようとしたが、


「あだっ!!」


 スフィンストの後方からレールガンが放たれた――コンパチも彼の作戦をラディへ手短に説明していたのもあり、操縦をフォローするのに遅れが生じて、ポータル・シーカーのブースターが損傷した事で飛行高度が堕ちるものの、


「すみません! これ以上スピードを出せそうにないです!!」

「ボタン・シーカーパチ! レールガンを潰せば怖くはないパチ!!」

「ええっ! ここで投げたらまずいんじゃないの!!」

「あいつの気を引く十分な手パチ! オレが照いをつけるからとにかく投げるパチ!」


 ポータル・シーカーが被弾し、飛行能力に支障が出ている状況で、バグファイターから狙われ続ける先はどうなるか。コンパチが起死回生としてボタン・シーカーを使う指示が出た時、一発しかない切り札の使いどころとして少し躊躇してたものの、


『ハードウェーザーでも、これで終わりだな……!!』

「急ぐパチ! 何やってるパチ!!」

「わ、わーった!!」


 コンパチに言われるがままに、すぐさま前のめりの姿勢で、頭部のボタン・シーカーを射出した――螺旋を描くようにドリルが唸りをあげ砲門を抉るように潰す。休む間もなくスフィンストがバグファイターの懐へと入り込み、


「ここでくたばっちまったら、姉ちゃんに合わせる顔がねぇ……!!」

『あ、あぁぁぁぁぁぁぁっ!!』


 半ば才人は冷静さが吹き飛んでいたかのように、至近距離でハリケーン・ウェーブを何発も放ち、バズソーで脆くなった胸部を刻み込まんとする。スフィンストが頭からバグファイターを抑え込むように畳みかけると共に、ボタン・シーカーから突き出された回転鋸付きのサブアーム“フレイム・バズソー”を一気に振り落とす。

組み付かれたバグファイターもまた腕を上げて、背中目掛けてデリトロス・セイバーを突き刺さんとしたものの、その手からセイバーの柄が滑るようにして海原へと堕とし、


「……俺が決めた事だ、玲也も最初はそうだったからな……!!」


 バグファイターから響き渡る断末魔のような叫びは、才人の耳にも否が応でも入ってしまう。それでも、玲也と同じプレイヤーの道を選んでいるなら避けて通れない、当たり前の苦しみである、今この苦しみ逃れ、逆に倒される訳にもいかないと自分へ言い聞かせる。やがて抵抗をやめたバグファイターは、静かに海原へと堕ち、トム機のレールガンの直撃により跡形もなく砕け散り、


「才人さん! 僕達の相手は違いますよ!!」

「俺達の相手……そうか!!」


 バグファイターを沈めるだけが自分の役目ではないと、イチから突っ込まれて才人は落ち着きを取り戻し始めた――既にバグジャンバラーを相手に、サザンクロス・バディが交戦状態に入っており、倍以上のサイズを誇る相手へとリボルバーでの弾幕を張る。同じバグロイドでも真っ向から攻めては分が悪いと、アランは極力相手を近づけないように慎重に攻めているが、


『……チマチマとしたドンパチは嫌いなんだよ!!』

『きゃあ……!!』

『こうなることは分かってたけど離れろ!!』


 自分達より弱小の筈が、果敢に挑み続けるサザンクロス・バディに対し、にアルバトーレは苛立ちの声をあげた。バグジャンバラーが両手のデリトロス・ベールを振り下ろした時。クローを楯として受け止めようとしたサザンクロス・バディの両腕はへし折られ、衝撃波に充てられたように機体そのものが後方へと吹き飛ばされる。アランは、ルリーへ直ぐ分離して散開するように促すと、


『ちょこまかと逃げるなら料理してやる! まずはてめぇからだ!!』

『ぐっ……!!』


 分離して本来の航空能力を取り戻したルリー機に対し、彼女によって底上げされていたサザンクロス・バディの方こそ絶好の的だった。バグジャンバラーの右手から繰り出されるタウプレッシャーなら、確実に仕留められるとアルバトーレは確信していたが――海面からの一筋の軌道がタウプレッシャーの衝撃波を遮っていた。


「ま、まさかと思うけど……!!」

「アランさんは下がってください! 僕たちが時間を稼ぎますから!!」

『お前らの手を借りる気はなかったけどよ……仕方ねぇな!』


 咄嗟にアランを救った相手が誰か――才人は既に確信を持ちつつ、ポータル・シーカーのミサイルポッドが空になるまで徹底的に撃ち尽くしていく。自分を逃がすために彼が奮闘していると察せば、アランのプライドが微かに邪魔をしていたものの、両腕を喪失した状態での戦闘は困難であると、一時的な退却を受け入れていた。


『この野郎……どうやら、俺を怒らせ』

『なら、俺一人で相手をしてやる! 一騎討ちにちょうど良い場所でな!!』

「その普段から聞き覚えのある声は!」


 タウプレッシャーを邪魔された事もあり、アルバトーレの怒りは逆撫でされるように増幅されていた。彼に狙いを定め、自分の足を止めようと抗い続けるスフィンストに対して、もう一度タウホーン・プレッシャーをも炸裂させようとする―海面から4基ほどのシーカーが浮上し、バグジャンバラーを取り囲んだ瞬間、


『すまない、戻るまで手間取った! ここからはもう大丈夫だ!!』

「うぅ、玲也ちゃんがそう言ってくれると凄い心強くてもう……」

『いや、ここで気を抜くな。分かっている筈だがお前にもまだ動いてもらうつもりだ!』

『勿論、パワーアップしましたクロストもでしてよ!!』

 

 才人が確信した通り、玲也は帰還を成し遂げた。クロストのゼット・フィールドを活かし、すぐさまバグジャンバラーを海原へと引きずり込んでいった。仮に少しでも抵抗するならば、フィールドに体を焼き切られると察したのだろう。彼の思惑通り最大の脅威が洋上から消え去りつつあり、


『ついでにこいつも頼む!』

「これは……トライ・クローター!」

「ちょうどよかったぱち! コンバージョンパチよ!!」

「お、おぉ……!!」


 海原に潜むクロストから、ローターのように三方へと伸びたカッターが浮きだす――コンパチが制御を進める中コンバージョンが開始され、スフィンストの踵へとそのトライ・クローターが接続されると、


「流石コンパチさんです! ぶっつけでもここまで上手く」

「パーツが増えれば、俺も手一杯パチ! 動かすのは頼むパチ!!」

「スフィンスト・ストライク……いくぜ!」


 スフィンスト・ストライクこそ、クロストとのコンバージョンによってスフィンストが強化された形態であった。このトライ・クローターが回転すると共に、プロペラ代わりとして浮力を得る事が出来る。早い話、スフィンストの空戦能力を向上させる事を目的としていた。さらにポータル・シーカーを装着していた事から既に飛行能力を得ていた事もあり、


「いけぇ! カッターフットシャークだ!!」

「ひ、ひぃぃっ!」


 その時、トライ・クローターのローターが基点へ向けて折りたたまれ、豪快な回し蹴りを浴びせる事で、踵のクローがバグソルジャーを抉っていった。

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