第7話「斗え南十字の元!必殺カウンタージャベリン‼︎」

7-1 斗い見守る母の力

『ジーンの家デース、羽鳥クンのママさんデスネー!』

「はい、実はちょっと玲ちゃんもだけど、ニアちゃんもエクスちゃんもリンちゃんも学校お休みしないといけなくてですねー」

『ホワイ? 羽鳥クントコ、集団食中毒デモ起コシタンデスカネー、朝食もノコシタンとかデショーカ?』

「いえいえ、みんな健康ですよー」


 早朝、理央がジーンへ玲也たちの欠席の連絡を済ませた。ジーンがあらぬ方向に勘違いをしているようだが、理央は全然慌てていない様子であり、


「ちょっとお友達の今後が掛かってる瀬戸際なんですー」

『ナルホド、フレンズの話なら仕方アリマセーン。トリアエズ上手く説明シマースネ』

「ありがとうございますー、いつも玲ちゃんがお世話になっていますようで」

『羽鳥クンは型破りデスカラネー、決められたレールを歩クヨリ、自分でレール作って走ル子デスー。気になさらないでくだサーイ』


 それと別に、ジーンが前年も玲也の担任だったこともあり、理央からの話はすんなりと通った。これで母親としての務めを一つ果たした事になるが、


「いやぁ玲也、おめぇのお袋さんは大したもんだぜ、肝も据わってらぁ」

「料理はまぁ……こんなもんかだなー」

「リタ、おめぇご馳走になってる身でそれ言うのは野暮だぜ」

「そもそも、アンドリューさん達が勝手に押しかけてきてご馳走も何もないと思いますが」


 理央を称賛しながら朝食の焼き魚と煮物、みそ汁と白飯に彼らはありつく。最も玲也からすれば慣れてきたとはいえこの二人が勝手にお邪魔している事を突っ込みたい心境だったが、


「でも玲也君のママのごはんおいしいよ、正直ここの所家に帰ってもいないからね」

「私も手伝いましたが……そうですね」


 シャルもちゃっかり朝食をいただいていた。彼女にはあまりなじみのない和食だったにも関わらずおいしいと評するのは料理の腕ではなく、母親の作った料理との点に惹かれていたのだろう。料理を手伝ったリンはそれを察して静かに微笑みを浮かべた。


「あらあら、みんな美味しそうで。お母さん朝ご飯作るの久々だったけど悪くないわねー」

「あぁすみません奥さん。ちょっとニュージーランドまでですと面会時間過ぎますからね」


 時差の関係もあり、ニュージーランドまで面会に向かうとしても学校が終わってからでは間に合わない。その事情を優先させるため、玲也達に今日学校を休ませるように理央が動いたようだが、


「ふふふ、それ位問題ないですよ。それより私も一緒に行ってお役に立てますかね」

「立てますとも、玲也たちのお袋さんとしての経験は十分役に立つと思いますよ」

「アンドリューさん、私をおだてたって何もいい事ありませんからー」


“戦いに身を投じる者もいれば、戦いに舞い戻る者たちもいる。この戦いへと挑む者には大人も子供もない。そして彼らを後ろから見守る者たちもまた戦っているのかもしれない。この物語は若き獅子・羽鳥玲也が父へ追いつき追い越すとの誓いを果たさんと、抗いつつも一途に突き進む闘いの記録である”


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