1-5 やるかやられるか! 戦場に覚悟を示せ!!

『うあぁぁぁぁぁぁ!!』


 ダーウィン機が悲鳴と共にアサルトライフルを乱射した。同僚が仕留められた様子から改めてハードウェーザーとバグロイドの性能性が歴然であり勝てない、ならばせめて生き延びなければならないと焦りながら。


「やはり俺を仕留めるつもりか……!」


 だが、脳でそれを理解していてもダーウィンにとって恐怖が伴うものであり、アサルトライフルが機体に損傷を与えられない事は分かっていた。しかし迫るブレストはジース機を弾除けとして突き出しながら前進を続ける。その行為が猶更ダーウィンに恐怖を与えていた。


『や、やめろ! ジースを盾にするとは卑怯な……!!』

「悪いが、やれる手を今やらなければ俺が無事で済まない!」


 ダーウィンが激昂しながら玲也の敵を盾にするやり方を非難する。だが彼は自分が卑劣な手段を取っているとの詰りへ動じる事はなかった。この卑劣と呼ばれる行動も、この戦いに勝つための方策の一つだと見なしていた。


「ハードウェーザーが世間でヒーローのように持て囃されていてもだな……」


 そもそもこれが初めての実戦になる玲也にとって、ハードウェーザーとバグレラの性能差はゲームでの性能差ぐらいしかまだ把握していなかった。それも実際に住む世界が違おうとも同じ人間が搭乗している敵を相手にしている現実からすれば、そのままゲームのように割り切って簡単に倒すことは流石にできないようだった。


「初めて動かす人間からしたら、これ位はやらなければ助からない!」


 最も、相手を手にかけることよりも玲也自身が生き延びる事も考えなければいけなかった。ゲームのように慣れた手つきで簡単にバグレラを倒すことよりも、彼自身我が身を守る、相手からの被害を最小限に抑えたうえで戦う事が大事と判断して動いていた。敵を盾にして威嚇する戦法もその上で取らざるを得ないと彼は判断していたのだ。


「れ、玲也さん、何か急に落ち着いたようですね」

「もう俺がやる側になって……いや、やれてしまったと捉えれば少しは冷静に動くことが出来る」

 

 腹を据えたような玲也の様子に少し戸惑うリンに対して、彼が今自分の取る行動は彼なりに考えた上で取っているものと説く。このように考えた背景として彼が相手を“仕留めてしまった“ではなく”仕留めることが出来た“と受け止めた事が大きかった。


『ダーウィン、逃げろ!』

『隊長……!?』


 後退するダーウィン機の背後からムラク機が飛び上がる。彼がブレストの頭上めがけてヒートザンバーを振るう。部下を救わんと自ら殿になる覚悟の表れではあった。


「このような手を使う事が別に好きではないが……!」


 玲也が少し自虐めいた事を述べながら、盾にしたジース機すぐさま頭上に掲げる。カウンター・バズソーでヒートザンバーを防ぐことが出来るのも関わらず、ジース機を縦の代わりにする方法を取る。


『しまった……!!』


 ムラクは一瞬動揺を現した。それは部下に手をかけたではなく、咄嗟に盾にされたバグレラを一刀両断にした事で、至近距離での爆発に巻き込まれると判断したからだ。すぐさま彼は機体のブースターを逆噴射させて、後方へとバックステップのように素早く下がる。それと同時にジースの亡骸を乗せた機体が爆散し、残骸が周囲へ飛び散る。


「キラー・シザース!!」

『ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!!』


 しかし、ムラク機の行動もまるで玲也が予想していたかのようだ。ムラク機の足元からブレストの頭が上がるように現れる。それも黒鋼の角が赤熱化して電撃を帯びつつムラク機のコクピットを突く――キラー・シザースだ。そして鋏のように相対する二枚の刃が交差するとともに、横一文字の亀裂を刻み終わると、ムラク機の反応は途絶えた。


「ま、まぁ素人の分際ではまずまずといった……」

「確かにやれてしまえどもまだ素人だ。だからこそ手を抜くことはできない」

「なるほどね……」


 エクスが未だして素直になれないが、玲也は忽然と彼が今の自分のスタンスを述べる。そんな彼の様子にニアの口元から笑みが浮かんでいた。“素人だからこそ手を抜くことが出来ない“彼自身やれるとしても、至らない所があると自覚しており、その上で妥協しない意志が現れていると思えたのだ。


「だからこう、あたしがウィング・シーカーを動かしてる訳ね」

「シーカーの操縦は本体と同時に動かすとなれば……」


 ニアがキーボードで操るシーカーとは、いわば哨戒機の事を指す。そしてブレストの場合、背中のバックパックが可変戦闘機“ウィング・シーカー”として分離しての運用が可能となる。


「結局それで音声入力に頼ったのね、あんた」

「正直取るに足らないと考えていたが、俺の認識が甘かった」


先程、キラー・シザースを放つ直前にウィング・シーカーを分離させた。この同時に2つの操作を行うにあたって玲也はキラー・シザースとすかさず叫んだ。音声入力で技を発動させて、シーカーの分離とターゲットの補足をコマンドで入力した――ビギナー向けの操縦システムが実戦では有用だと認識したのならば、多少恥ずかしい事も含めてためらう理由はなかった。 


「まぁ、そう物分かりが良いとあたしからすれば……どうやら6体程来てるっぽい。逃げるあいつの方向ね」

「6体……流石にそれだけの数を相手にすることはちょっと」


 ウィング・シーカーが捉えた映像が、ニアのモニターに届く。彼女の視界に入る映像はバグレラの群れだ。この報せを受けて玲也は片手を顎に当てて思慮する――これ以上の戦闘がブレストに、そして今の自分にそれだけの力があるかと……。


「ちょっと! 狙ってくるとこいつの操作が……」

「狙われている……どっちだ」

「逃げてたあいつよ! さっきまでビビってた癖にこんなシーカー相手にお構いなしね!!」


 しかし、ウィング・シーカーがダーウィン機の標的にされているという。彼のアサルトライフルを何とかニアのおぼつかない操作で避けつつも、何発か被弾はしている。一方的に攻撃を続ける様子からは、障害になり得ると撃墜を考えているのであろう。その相手の様子から玲也の考えはまとまる。


「あの1機はどうにか仕留めて見せしめにする。ニア、シーカーの方を頼む」

「オッケー、何とかそれくらいは」


 ニアがウィング・シーカーを囮としてダーウィン機を誘導する。直ぐ急ぐブレストだが、右肩の鉄球が動いて右腕に装着される――カウンター・クラッシュだ。その鉄球が肩から外れて右手に握りしめればまるでメリケンサック、いや無数のスパイクはそれ以上の凶器だ。


『たかが哨戒機の分際で……!!』

「その囮に踊らされるお前は何だ……!!」


 ダーウィン機が追うウィング・シーカーとすれ違うようにして、下方からブレストがアッパーカットのように、カウンター・クラッシュの右手を相手の顎にぶちかます。その質量が機体の首を引きちぎるには十分であった。


『や、やめろ! まだ、まだ俺は』

「電次元フレアー!!」


 ブレストが左手で相手の首を手にする頃、ウィング・シーカーが背中へと戻る。続いて、玲也が聞く耳を持たないまま、密着した状態で腹部のシャッターが開閉された。今、放たれる真紅の熱線――電次元フレアーがブレストの誇る最大の武器だ。


『よ、よせ……!!』

 

至近距離での熱がダーウィン機、バグレラの装甲をまるで氷のように溶解させていく。溶解が進むにつれ人の形からかけ離れていき、やがて千切れ雲のように散り散りの状態に化していった。


「これでかたが付いた、あとは!!」

『そうはいかないんだよ』


 ブレストがダーウィン機の残骸でもある頭を、援軍に向けて投げつけようとした――彼らの援軍が間に合わず自分の手で全滅させられたと示す、一種の恫喝を玲也は狙っていた。

 しかし、ブレストの背後から何者かのショルダー・タックルがお見舞いされた。これに多少よろめくブレストがダーウィン機の頭を思わず手放してしまう。


『念には念を入れて二手に部隊を分けたのは正解だったか!』

『エリル隊長! 我々もこのまま攻撃に入るべきでしょうか!?』

『いや……』


 このオレンジ色のバグレラに搭乗する男はエリル・ハイドマン――雷のマーキングを機体に施す彼は雷鳴の射手との異名を持つ三番隊々長であった。最も彼はその通り名に反して、ヒートザンバーで素早くウィング・シーカーに備えられたクローを切断し、シーカーへメリケンショットのスパイクを突き刺して電撃を流し込むといった近接戦に持ち込んでいた。


『本当はカスタムで行きたかったが、ノーマルタイプでもこの俺ならハードウェーザーでもな!!』


 エリルがダーウィンの救援要請を受けて出撃した事に関して、愛機の用意が間に合わなかった事で若干不本意なものであった。しかし彼は射手との異名に固執しなくとも、上手くブレストの後ろを取る事が出来たともいえる。


「れ、玲也さん! 今度も大丈夫なのですか!?」

「だから素人の貴方には!!」

「……この状態から全速力で振り切れるなら」

「駄目よ玲也! そこまでエネルギーがないわよ!!」


 電次元フレアーを放った時にブレストのエネルギーに陰りが生じており、玲也の目前に見える小型モニターからはエネルギーの残量が少ないメッセージが表示されていた。電撃による苦痛を耐えながら玲也は次の手を練ろうとした時であった。


『バックパックを外せ! 俺が後ろからぶっ放す!!』

「その声は……確かアンドリューさん!?」


 コクピットに届いた通信にニアが反応した。このアンドリューの指示の意味を察して直ぐ玲也はウィング・シーカーをパージさせて前方に逃れる。


『逃げようとしたって無駄だけどなぁ!!』


この時エリル機はそのままウィング・シーカーを突き刺した右手ではなく、左手にメリケンショットを展開して追撃をしようとはした。しかし、すぐさま体をひねるようにして後方へと動いた直後、二本の太い閃光がウィング・シーカーと、彼の右手を喰らうようにして飲み込んだのだ。


『このタイミングでイーテストかよ……流石にノーマルじゃなぁ!!』


エリル機は退却を選ぶ。本来の愛機ではない上右手を喪失したことから不利と悟った他、ブレストと違いイーテストが自分の腕と技量で太刀打ちするには元々分が悪いと判断したのだ。彼自身の専用機でならまだしも、一般兵と同じ通常のバグレラでは敵わないと認めつつも、ハードウェーザーに背を向けて撤退する事へは苦々しく吐き捨てる。


『アンドリュー、あのオレンジ野郎やっちまうチャンスじゃないかー』

『確かにそうだがよ、アピールするにはちと足りねぇんだよ。それより俺はこいつを連れてかねぇと……おい!』


 一方接近しつつあるイーテストは白と黒のモノクロを基調に、両肩と両足のパーツは濃紺色で塗られ、両肩には前面に突き出た砲身が備えられていた。操縦するのはアンドリューとリタが着用する黒と橙のスーツは玲也やニア達と似たような形状をしている。ニュースでも取り上げられていた事もあるが彼もまたブレストと同じハードウェーザーだ。

 手柄を立てるチャンスがもったいないと少し拗ねる様子のリタを宥めながらアンドリューが玲也達に呼びかける。


「アンドリューさんでしたっけ……すみません、助かりました」

『その話はとりあえず後だ。おめぇ電次元ジャンプできねぇだろ』

「……確かに」

 

 礼を述べようとする玲也だが、今はその余裕がないとアンドリューは単刀直入に尋ねる。ニアがモニターのステータスを目にして、エネルギーが僅かしかないと伝えた時に、イーテストが手を差し伸べる――捕まれと言わんばかりに。


『ったく、電次元ジャンプして帰るもんだからよ、それできなきゃ帰るのが面倒だって事をなぁ』

「すみません。ゲームでも有事に備えて3割はエネルギーを残す事が基本でしたね……」

『……まぁ、とりあえず今からも少ししとくが、後でも色々話しがあらぁ。おめぇの話はそれからだ』


 先輩として辛辣に指摘しようとしたアンドリューだが、オンラインゲームでの基本攻略を引用しつつも玲也が何もわかっていない訳でもないと感じた。それもあって彼に対しての苛立ちを今は抑える事にした。


『なーアンドリュー。あのがきっちょどうだと思う』

『正直最初は失格ものだったが、一応うめぇのかヘタクソなのか分かんねぇな』

『ほぉー、じゃあどうやって決めるつもりだー?』

『そりゃま、直接な……!!』


 アンドリューが玲也についてどう見るかは、左右の拳を打ち付ける様子をリタに見せつけたのが答えであった。その仕草で彼のやろうとしている事の意味を彼女は理解して確信にも近い笑みを浮かべた。


(正直、最後は冷静さを欠いていた。ただ、俺がこう今どうにか生き延びている事を考えると……。これからどうしろというのだろう)


 コントローラーの左スティックを倒しながら玲也は思い悩む。非現実のようなロボット同士の戦争に巻き込まれながらも、ゲームと同じような感覚で自分が敵を倒して、今を生き延びている。

内心この戦いに自分は求められている、それだけの力があるのかもしれない――しかし踏み越えてしまった為、やるかやられるかの世界から後戻りが出来ない理由だけで戦い続ける事が出来るのか。平静を装う彼だが、内心まだ割り切れていない状態だった。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「やはり、玲也君は無事だったようですね博士」

「いや、やはりじゃないぞいエスニック君! 実際にデータを組んでもゲームのように簡単に戦えるとは限らないんじゃぞい!!」


 その頃、ドラグーン・フォートレスの司令室にて、アンドリューの報告を受けてエスニックは頬を緩ませる。最もブレーンは内心相当冷や冷やしていたようで無事だったことに安堵しつつも、最初から自信ありげな様子の彼には突っ込みをかました。


『エスニック! これは一体どういうことだい!』

「あぁ、やはりこうなると思ったんじゃが……」


 それだけでなく、司令室のデスクに備えられた右側のモニターから自分と同じ司令服を着用した緑髪のロングヘアーの姿があり立腹した様子だ。この流れについてブレーンは頭を抑えていたが、エスニック自身は余裕を示していた。


『そもそも何で貴様の所にハードウェーザーが3機も新たに送られた! 全く私たちは聞いてないぞ!!』

「そのことについては今テッド君にも調べさせている。電次元側の方での通信が取れない状況のようだが」

『そうなると、あちらの方でトラブルが発生して送られたのでしょうか……』


 そして別のモニターからはエスニックより年輩の男が通信に入り、エスニックの肩を持つようにこの状況を推測するのだが、


『それでドラグーンへ3機とも送られたのならまぁ認めよう。しかし何故ドラグーンの元で戦わせてるのかだ。確かプレイヤーは日本人だが』

「まぁ、確かにネーラ君の言う通りアジアを管轄するのはビャッコ・フォートレスだとのことくらい私にもわかってるよ」

『そうなりますとヨーロッパ管轄のフェニックスには関係ないことですかな……』

「ガンボットさん、一応私なりに事情もあるので聴いてもらえたら有難いですね」


 電送マシン戦隊はドラグーン、ビャッコ、フェニックスという3隻のフォートレスが旗艦として運用されている。エスニックが率いるドラグーンは主にアメリカを管轄するフォートレスの為、プレイヤーの玲也が日本人との点でネーラが主張するように、彼女が率いるビャッコがアジア系でありそこに籍を置くことが妥当だというのだ。


『フェニックスは3チーム稼働しているからな……私からすれば羨ましい限りだ』

『いや、3チームも同じフォートレスに所属していますと大変ですよ。正直今でも手一杯ですよ……』

「ネーラ君のビャッコと同じで、私のドラグーンが2チームだけど、実質今はアンドリュー君が穴を埋めてるけどもしもの事があったら洒落にならないからね」


 そして各フォートレスにはそれぞれ管轄するエリアに所属する国家の代表チームが所属する。ヨーロッパからは3チーム、アジアからは2チーム、そしてアメリカからは2チームのようだが現時点ではアンドリューのチームしか存在していないとエスニックは告げる。早い話ネーラが玲也たちを自分の元へ引き込もうとする動きを牽制しているのでもある。


「最も話は厄介でね。新しいハードウェーザーが3機とも同じプレイヤーによって組まれたデータなのだよ」

『同じプレイヤーということは1人で3機のハードウェーザーを動かすことが出来るという』

「そういうことで、これは私の方で一応管轄しようと思うのだよ」

『ちょっと待て! 同じプレイヤーが3機ハードウェーザーを操縦できるからの理由で何故お前が管轄することになるんだ!』

「いや、ネーラ君。仮にそのまま公表すれば日本代表のプレイヤーだけ3機ハードウェーザーを所有している事になるぞ」


 その次の理由として、エスニックは玲也が3機ハードウェーザーを所有している点を触れた。これが厄介な事態になる事をガンボットとブレーンは理解を示したような表情をしているが、ネーラは今一つ理解しきれないような表情もしていた。


「そうじゃぞい。仮にそのまま世間に公表すれば日本だけ3機ハードウェーザーを所有しているとの事で」

『国家間のパワーバランスにも影響が間違いなく出ますね』

「二人の言う通りです。あとプレイヤーの彼がまだ13歳なのも大きいんですよ」

『13歳だと!?』


 そこからさらに玲也が弱冠13歳のプレイヤーである事実を打ち明ける。これにネーラも驚くわけで、エスニックが想定する玲也と3機のハードウェーザーの正体は極力世間には公表しない方針に話を動かしやすくなっていた。


「いくらゲームでの腕がうまくとも、子供を本当の戦争に参加させる訳にはいかんじゃろて……」

『確かあっちもその条件で承諾していた筈ですが、そうなると猶更イレギュラーな事情があったのでしょうか……』

「そう考えた方がよいでしょう。ただ実際彼がプレイヤーとしての素質はあると感じましたし、彼一人がハードウェーザー3機分の戦力を担っているようなものですからね……」

『単純に数や戦力で考えたくはないですが、その彼が今後の戦局には欠かせない存在だとエスニックさんは仰りたいのですね』


 その上で玲也の腕を考慮してこのままプレイヤーとして彼を起用したいスタンスであるとエスニックが触れる。この彼のスタンスへ一応理解を示しつつもガンボットは釘を刺すように述べ、エスニックは少し苦い笑いを浮かべつつもその方針を認めた。


「最も彼もだが、彼の保護者にも許可を得なければいけないが」

「そうなりますと、やはり……」

「彼がどう受け止めるかだが、ここまで触れてしまったのなら伝えた方が良いでしょう」


 最も、実際に戦争へ行かせるにあたって玲也だけの意志でどうにかなる問題ではないとはエスニックもブレーンも認識はしており、既にそのための行動に出ている様子だった。


『最もそれで私の所に彼をおかない理由になるとは思ないのだが』

「ネーラ君、日本代表として彼を世間に公表できないとなれば彼は実質どこのフォートレスにも置いて構わないのだよ」

『それでも私は流石にこれ以上プレイヤーが増えると大変なんですけどね……』


 その上でネーラに対して表向き正体不明のハードウェーザーとして世間に通す為、どのフォートレスにも玲也は置いてよいとの見解をエスニックが主張する。ガンボットは辞退した上でエスニックに同調している様子であり、アンドリューしか現在稼働していないドラグーンの助っ人として玲也を置く必要があると、少し強引に彼女を押し切ることにした。


「博士も彼がここにいてくれたほうが安心でしょう」

「そりゃそうじゃが……ただどこのフォートレスかはまだしもそれよりも厄介な相手もいると思うぞい」

「それはごもっともですね……少なからず彼はそう世間で取り上げられないようにガードをしておかなければね」


 最も各フォートレスの事情よりも厄介な相手が控えているということはエスニックもブレーンも既に承知の上であった。

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