ガラドルの鎧

こけもも

序章

【始まりのうた】

気が付いた時には一面焼けていた。

自分の手も足も体についているのに

まるで動くことが出来ない。


燃え上がる火の粉

灰が舞い 建物だったものはぱちぱちと

その成果を褒めるように

音を立て

世界に何もないかのように語り方ける


少し目線を上げると

アクアマリンの瞳が炎の反射で輝き

亡骸の上に立っていた。


一瞬目があった気もするが

笑うことも怒ることも

脅えることも泣くことも

喜ぶこともなく目線を戻す


その手には

血に塗れた僕の父の亡骸が

無作為に掴まれていた


何もできず、何も言えず

ただこの一瞬が

今までの人生で一番長い一瞬になった。


この復讐を果たさずに僕は死ねない。

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