第108話 息子へ母の日通信

拝啓

 この頃、暖かさを感じ、春も本格的に到来したことを感じます。日々共に過ごし、衣食住のあらゆる面を見るにつけ、〇〇くんの素直さ等を再び感じられるようになりました。お体は丈夫なようで、安心しております。少し昼食が寂しいので、昨晩は、鮭の包み焼にいたしました。「おいしかった。ごちそうさま。」との声で、疲れなどどこかへ行ってしまいました。○○くんも学校へ行けない状況で、さぞいつもと異なる環境に戸惑いもあることでしょう。これから、学校側も変わって行きます。がんばって追い越す勢いで、若い力を発揮して応じましょう。もう既に中学二年生です。少年を脱いで、一歩一歩青年に近付いていく大切な時です。今日は、母の日ですね。母に感謝したり、何かを贈ろうと特別にするお祭とは思わなくても大丈夫ですよ。私は、○○くんをずっと見ています。産まれてくれてありがとうございます。辛い時は、楽しかったこと、可愛らしかった頃を思い出しています。だから、元気でいてくれたら、それで十分ありがたいことなのです。優れない母親ですが、どうぞこれからも笑顔を見せてください。

                     敬具

 令和2年5月10日 

               いすみ 静江

○○○○様


 ◇◇◇


 息子へのお手紙です。


 はい!

 おかあさん皆へ――。


「かーねーしょん!」


 ご唱和ありがとうございます。

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