第10話

「浮かばない…」

侑は溜息をついた。


「イメージ?種類?」

ミチルは侑に助言したい。

…雛鳥でも良いのよ…


…武器かぁ…

タブレットのゲームで出てきたのは、

片手剣、両手剣、双剣、刀、ランス、ガンランス、ハンマー、銃、杖、あとは…


どれも違うな。

俺は戦う事がメインじゃないし、必要以上にモンスターを倒す事もしないつもりだし。

その時になったら、作ればよいし。


ティーターン様が言った事を思い出してみる。

…自分の身は自分で守れ…


盾?でも、守れても倒せない。

短剣なら、多少の攻撃は捌けるし邪魔にならないかも。


ただ、戦う気が無いのにいつも腰に差してるのはちょっと嫌だな。


普段の生活に使えて、いざとなれば武器に。

侑は水晶を手に取り、イメージを始める。

魔法陣から引き出した武器を見てミチルが驚く。


「ナタ?!」

侑はミチルの声に驚く。


「ミチルはナタを知ってるの?」

侑はナタを握り、バランス等を確認しながらミチルに聞く。


「知ってるわよ、使った事はないけど。」

ミチルは多くを語らない。


しばらくするとティーターンが姿を現した。


「どうだ、出来たか?」

ティーターンはテーブルを覗き込む。


テーブルの上には太刀、脇差、ナタが置いてある。


「儂は一振りと言ったのだがな、あと使った石は何だ?」

侑は後で説明しますと言いながら、太刀を手に取った。


「これから仕上げをします。」

侑は太刀をティーターンに渡すと、カスタマイズを発動した。


「ほう、カスタマイズをラーニングで覚えたか。」

ティーターンは感心している。


「所有者登録をします。あと、普段はネックレスにしておきましょう。必要な時にだけ、刀になります。」

侑はカスタマイズを進める。


「侑よ、この刀はオリジナルが存在するのか?」

「はい、太刀は正宗で守る刀と言い伝えられております。脇差は菊一文字則宗で、沖田総司という剣豪の愛刀です。」


「守る刀とな?斬れぬのか?」

「オリジナルの斬れ味は他の刀を凌駕するものです。この刀はティーターン様の力も加わり、オリジナル以上でしょう。」

説明が終わると、侑はティーターンを見る。


「こちらの脇差はTにプレゼントしたいのですが」

侑はダメ元でお願いする。


「構わぬ、ちょっと待て」

ティーターンはTを呼んだ。


「何か御用でしょうか?」

Tはティーターンと侑の顔を見る。


「Tにプレゼントを渡したかったから、呼んでもらったんだ。」

侑は脇差を手に取り、Tに渡した。


「ちょっと持って動かないでね。」

侑はカスタマイズを発動して、所有者登録を行なった。


「普段はブレスレットにしとくね、ティーターン様の権限のもと必要な時にだけ刀になるよ。」

これからも頑張ってね、侑はTに声をかけた。


「お主はTに頑張ってねと言ったが、何故だ?」

ティーターンはミチルを見ながら言った。

…ミチルは首を横に振っている…


「あくまで憶測ですが、Tは次の神様候補ではないですか?」

「TといいBといい神様のスペルの頭文字だと思いました。」

「間違っていたとしても、扉の前で頑張ってねという意味では的外れにはなりませんから」

侑はTの顔を見ながら答えた。


「ふっ、正解じゃ。Tよ、お前の目は確かだったな。これからも励み、白の試練を終わらせろ」

「儂も侑に興味が湧いた。お前に神座を譲ったら、儂も侑の旅に付いて行くとするかの。」

ティーターンは豪快に笑った。


「話を戻すが、お前の武器はナタか?」

「はい、太刀と脇差はスティブナイトインクォーツでナタは水晶で作りました。」


「お主は儂等のを希少石で、自分のは遠慮して作った。違うか?」

「その通りですが…」


「それは勘違いだぞ、この世界で一番希少な石は水晶だ。」

「この世界では水晶に魔力を込めて、魔晶石を作れる。この魔晶石は無色の透明度が高い石ほどレベルの高い物が作れるのだ。」

侑は後頭部に衝撃を受けた感じだった。


「ただ、お主のスキルを持ってすればこの世界の価値を見出だせない石たちを生まれ変わらせる事ができる。」

「地の神としては、水晶もそれ以外も同じ石である。価値が有る、無いと別けるのは偲びない。」

「お主には期待している。」

ティーターンは目を細めながら、侑に想いを伝えた。

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