第7話

「それではこちらの世界で暮らすためのカスタマイズをしますよ。」

「性別とか、容姿も変えれますがどうしますか?」

ブラフマーは問いかけた。


「親から貰った身体なので、性別と容姿はそのままでお願いします。」

侑は自分の身体を親の形見だと思っている事を伝えた。


「分かりました、ではステータスをカスタマイズしましょう。」

「貴方の知識はこの世界ではすでに賢者レベルなので、体力等をいじりますね。」

10年間動く事を制限され、本とタブレットから得た膨大な知識は賢者並だと教えた。


「戦闘職は選ばないみたいですが、戦士並の体力にあと魔法使い並の魔力に設定しますね。

あと、各状態異常耐性と即死耐性を付けましょう。」

今までベッドから動けなかった分、身体は丈夫にしてあげたいと思うブラフマーの優しさだった。


「ステータスは鏡を見て鑑定眼を発動させると見れますよ。」

敢えて数値などを教えなかったのはスキルには熟練度があり、使う事でレベルがあがるので使わせたかったのと他と比べて欲しくなかったから。


「最後に、貴方にはこのカバンを差し上げます。

カバンの中にはこれから生活に必要になりそうな物と、この世界で流通しているお金を入れてあります。」

「Tのカバンは返してあげてくださいね。」

ブラフマーは寂しそうに笑った。


俺はインベントリのカバンを貰って、無意識に笑顔になる。

俺は標本をTのカバンから出し、貰ったカバンに入れ替えた。



「これで、私からの祝福はすべて渡す事が出来ましたね。」

…これで全て終わり…


「これから貴方は地の神ティーターンの処に向かってもらいます。

入ってきた扉を出れば、回廊の途中にTが貴方を待っているはずです。

あとはTがティーターンの部屋の扉を開けてくれます。」

…侑から会いに来てくれなければ、もう会うことはない…


俺は標本の中から、ローズクォーツを出してイメージした。

指輪にローズクォーツをかざすと中に吸い込まれた。

魔法陣が発動して手を入れて出したものは枯れることの無い薔薇の活けてある花瓶だ。


俺はテーブルの上に花瓶を置き、ブラフマー様に御礼を言った。


「色々ありがとうございました。」


ブラフマーはうっとりと薔薇と花瓶を見ている。


「貴方の使った石は標本に入っていた大切なものでしょう?

良かったの?」

「あと、使った石の意味を教えてくれる?」

ブラフマーは視線を動かさず、侑に聞いた。


「俺はブラフマー様に沢山のいただき物をしました。

でも、俺がブラフマー様に差し上げられる物は何も浮かびません。」

「なので、せめてこの部屋にブラフマー様にいただいたスキルで作った物を置いて貰いたくて。」


「石はローズクォーツで、意味は愛と美の象徴です。」

侑は名残惜しさをひた隠しながら答えた。


ブラフマーは侑を優しく抱きしめ、

「貴方に神々の寵愛を」

侑との別れを惜しんだ。


侑が部屋を出る時、ミチルはブラフマーに「ありがとうございます」と念話で言った。

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