第13話 ガラスの靴を辿って(2)



 綺麗な歌声が聴こえる。


 女の声だ。


 あたしが王子様であれば、この歌に誘われて、塔に向かうだろう。


 そしてこう言うのだろう。この美しい歌声が誰のもの?


 そしてその人を見て、がっかりするのだろう。


「ハニー!」


 歌う機能が終わったロザリー人形がクレアに抱きついた。


「ハニー! だぁーいすき!」

「あたくしも大好きだよ。ロザリー」


 クレアの青い髪の毛が風になびかれる。


「もう一回歌って?」

「らららららら! らららら! らー! らん! ハニー! ぎゅってしてぇー!」


 ぎゅっ。


「ハニー! だぁーいすき!」

「いつまで突っ立ってるつもりだ? いくら待っても、椅子は現れないぞ」


 クレアがロザリー人形の頭をなでながら、あたしに言った。


「ご機嫌麗しゅう。テリー・ベックス」


 あたしは黙る。


「お元気?」


 あたしは黙る。


「隣、座る?」


 あたしは黙って座った。クレアの正面。


「隣じゃないのか?」


 あたしは膝を抱えて、くすっと笑ったクレアを観察する。


「やめて。そんなに見ないで。穴が空いちゃう。あたくし、恥ずかしい」


 あたしはじっと眺める。クレアがにまにまとにやける。


「なんだ? あたくしの美しさに見惚れたか? まあ、当然だろうな。あたくしのような美しい姫は早々いない。仕方ない。特別だ。好きなだけ見るがいい」

「どっち?」

「ん?」

「どっちなの?」


 クレアが微笑む。


「クレア?」


 それとも、


「キッド?」

「どちらで話したい?」


 クレアが首を傾げた。


「俺と話すことも出来るし」


 キッドが首を傾げた。


「あたくしと話すことも出来る」


 声色が違うけれど、それは同一人物。


「多重人格?」

「まさか。リオンじゃあるまいし」

「じゃあ、何なの? お前はクレア?」

「いかにも。あたくしはクレアだ」

「キッド?」

「いかにも。俺はキッドだ」

「お前は女?」

「女だよ」

「でしょうね」

「女でないと姫とは呼ばない」

「だったら訊くわ。お姫様。どうしてキッド王子の格好なんかして歩いてるの?」

「ああ、これをお前に言う時が来てしまったか……。大きくなったな。ロザリーよ」


 クレアがにやりとした。


「それでは、ポップコーンでも食べながら、見るとしよう」


 クレアとあたしが席に着き、映像を眺めた。スクリーンに広告が流れる。


「キッド殿下も大好き! イチゴのケーキ! ケーキは、エメラルド製菓店へ!」


 つまらないCMね。映画っていうものは、本編の前につまらない広告を流すのよ。意味がわかんない。無駄に長いし。


「俺はキッド! この国の第一王子さ!」


 ぱちんとウインク。


「みんなの思い浮かべる王子様が、この俺さ!」


 みんなのために働く王子様。悲鳴が起きればスーパーマンのように駆けていって、君を助けるよ!


「俺はキッド! みんなの人気者さ!」

「きゃーーー! キッドーーー!」

「素敵ーーー!」

「こっち向いてー!!」

「とまあ、こんな感じで、俺はとてもモテモテさ。みんなが俺のことを好きだからね」


 またウインク。こいつは何度ウインクするのかしら。


「きゃー!」

「おっとまた悲鳴が聞こえた! むむっ! この声は、ああ、愛しのテリー姫の悲鳴だ!」

「きゃー! 助けてー!」

「テリー姫! 俺が今助けに行くよ!」


 キッド殿下は華麗に参上して、悪を倒す。


「ああ、キッド様……、なんて素敵な方なのかしら」

「君のほうこそ、テリー、なんて素敵な姫君なのだろう」


 キッドが指輪を差し出した。


「どうか、この俺と結婚してください」

「嬉しい! 喜んで!」


 ハッピーエンド。みんなが拍手をする。その中をあたしは黙って見つめる。茶番劇は以上だ。ようやく広告が終わったらしい。隣でクレアが足を組んだ。


「男と女ってさ、何かが違うよな」

「男のアイドルってどう思う?」

「年を取っても長く愛されるよな」

「女のアイドルってどう思う?」

「年を取ったらアイドルではなく、歌手と呼ばれるようになる」

「そう。このように、男と女には、何か違いがある」

「差別ではない」

「差別ではないけれど、何かが違う」

「それが、王家でも起きている」

「王子様」

「王女様」

「王冠を持たせたいのは、みんな、どうしてか王子様ばかりなんだ」

「歴代の王を見てごらん。男が多いだろう?」

「みんな昔のしきたりに従って、国王は男であるべきだと声をあげる」

「リオンが産まれた時、まさにそれは起きた。みんなリオンが王になると思った」

「全員の愛があたくしではなく、リオンに向けられた」

「あたくしは魔力を持ったお姫様。塔に閉じ込められて、忘れられた」

「だから、あたくしは手を挙げた」

「ははうえ、あたくし、おうさまになりたい! そしたら、みんな、あたくしを見てくれるでしょう?」

「大反対だ」

「女だから」

「いやいや、そうじゃないだろう?」

「魔力を持ってるから怖かったんだ」

「そこで爺様は、こんな物語を作ってくれた」



 ――昔々、あるところに、一人のお姫様がいました。お姫様は生まれた時からみんなに愛されていたお姫様でした。ですので彼女にとって、無償の愛が存在し、愛されて、大切にされるということは、当たり前のことだったのです。


 しかし、数年後、彼女に弟が出来ました。

 弟が生まれた途端、お姫様に向けられていた愛のほぼ全てが、弟に向けられるようになりました。愛だけではなく、個人の扱いも、弟が優先になりました。

 お姫様は不思議でした。そしてわかりました。

 彼は王子様だから、男だから、将来の自分達の国を背負う王として、大人達は弟を愛し始めたのだと。


 無償の愛など、存在しなかった。


 その事実に、お姫様はショックを受けました。

 その事実に、お姫様は怒ってしまいました。

 その瞬間、彼女のお姫様としてのねじはどこかへ飛んでいってしまいました。


 お姫様は、自分が再び愛されるようになるために、どうしたらいいのか考えました。すると、魔法使いが現れて、お姫様が愛される魔法をかけてくれたのです。

 魔法にかかったお姫様は、王子様になりました。


 王子様になったお姫様は、今までにない以上、愛されるようになりました。

 そして、運命の人と巡り会えたのです。

 やがて二人は結婚し、王子様は王となり、運命の人は妃となり、地位も、愛も、好きな人も、全て自分のものになりました。


 めでたしめでたし。



「大好きな物語さ」

「だから、実現した」

「爺様の死が近づいていた時に、ぴんとひらめいた」

「この物語の舞台を、自分の人生にしてしまえばいい」

「キッドは主人公」

「誰にも存在を公表されていない王子様」

「彼はクレアが大好きだったビリーを連れて城下町へ下りた」

「そして、爺様が残した中毒者の研究を続けた」

「追いかければ国が本当に平和になった」

「誰よりも強く」

「誰よりもたくましい」

「遠目で見れば女にも見える」

「なんて中性的な顔つきの美しい王子だろう」

「彼はキッド殿下」


「素敵で、完璧な王子様さ」














 クレアは、ただ愛されたかった。

 クレアは、ただ認められたかった。

 クレアは、ただ気付いて欲しかった。

 クレアは、ただ見てて欲しかった。

 クレアは、壊れてしまった。

 クレアは、愛に飢えた。

 クレアは、主張した。もっとあたくしを見て!

 クレアは、声を張り上げた。誰かあたくしを見て!

 クレアは、台本を元に舞台を作った。

 クレアは、キッドという王子様の役。

 キッドは、舞台で笑顔を浮かべる。

 キッドは、喜んだ。

 キッドは、こんなに簡単に人に愛されることに絶望した。

 キッドは、クレアでは出来なったことを為せた。

 キッドは、みんなに愛された。

 クレアは、みんなに嫌われた。

 キッドは、優しい王子様。

 クレアは、非道なお姫様。


 誰か気付いて。

 誰か気付いて。


 あたくしはクレアなの。


 誰か気付いて。



 誰か、



 クレアを見て。


 キッドではなくて、


 その役を演じているクレアを、


 外ではなく、中身を、


 あたくしを、見て。





「お前」


 あたしはポップコーンをつまむ。


「よくあたしにプロポーズなんかできたわね」


 キッドを演じるクレアがジュースを飲んだ。


「言わないつもりだったの?」

「ううん。OKの返事をもらったら、正直に言うつもりだった」

「本当に?」

「言うよ。演じてるままじゃ、家族になれない」

「子供はどうするのよ」

「お前、見ただろ? スペード博士とクラブが女同士でも赤ん坊を作れる方法を研究していたの。どちらかの細胞を精子細胞に変えて、それを体内に入れるらしい」

「それ、大丈夫なの?」

「あれでも、スペード博士はすごかったんだ。呪いを浄化する薬を唯一開発できた人物だからな。いやあ、惜しい人を失った」

「あんた、それでよくあたしを口説いてたわね」

「口説くさ」

「女のくせに」

「口説くよ」

「女のくせに、あたしを好きになったの?」

「うん」

「男じゃなくて? ……」


 あたしはそこではっとした。全ての謎が一致した。


「キッド、男が好きだって言ってた」

「うん」

「ホモじゃなかったのね?」

「うん」

「レズビアン?」

「……うーん。でも、俺は男が好きなんだよなあ。テリー以外に好きになった女の子はいないし」

「体を重ねたって言ってた」

「ああ、うん。求められたからね」

「あんた、よくばれなかったわね」

「脱がなかったからね」

「……ちょっと待って」


 あたしはキッドに近づいて覗き込んだ。あ!!


「喉仏がない!」

「今?」

「ちょっと待って!」


 あたしはクレアの下半身に触れた。クレアがぎょっとする。


「ない!!」

「今!?」

「お退き!」

「きゃあ!」


 胸をわし掴む。あ!!


「トリプルA!」

「それを言うな!!」

「だから胸にベルトやらサラシやら巻いてたのね!?」


 ……。


「巻かなくても、大丈夫だったと思うけど……」


 クレアがあたしを蹴飛ばした。元の位置に戻る。


「ちょっと! 愛しのテリーに何するのよ!」

「胸はやめろ。いいか、胸だけはやめろ。もう一度言う。胸 は や め ろ」


 あたしは腕を組み、むすっとした。


「でも、一つわからないわ」

「何が?」

「去年よ。去年、ハロウィンが終わった後のパーティーで、アリスを部屋に連れて行ったでしょう?」

「ああ」

「でも、クレアとしてあたしを撃ってきた」

「ああ」

「その後、アリスとキッドが歩いてきたわ」

「ああ」

「あれは、何? どういうこと?」

「だから」


 アリスを塔の下に呼ぶ。実はクレアでしたー。で見せる。アリスが大興奮する。お人形みたいだと感動される。帽子のインスピレーションが浮かぶ。絵を描きたいというから塔に入れる。お前が来るのが見えた。裏に回る。マントを被せる。驚いたお前を追いかける。お前が逃げる。塔に戻る。着替える。アリスと会場に戻る。長く話すために遠回りの道を歩く。まだお前がいた。ご挨拶。


「ニコラ、聞いて! あのね! キッドのお部屋を見せてもらったの!」

「アリーチェが見たいって言うから」

「すっごく広かったのよ!!」

「レディに頼まれたら断れないだろ? それにお前の親友だし、俺の友達でもあるし」

「ごめんね、ニコラ! 勝手に離れたりして! でも、どうしてもキッドのお部屋、見たかったのよ!」

「アリーチェだけ特別だ」

「私だけだって!」

「どうだ! テリー、羨ましいだろ!」

「ニコラ、羨ましいでしょ!」

「でも駄目だよ。浮気したお前に俺の部屋は見せないからな! やーい! ばーか! ざまあみろ!」

「ニコラ、ごめんね! お言葉に甘えて、私だけ楽しませてもらったわ!」


 あたしは眉間にしわを寄せた。


「ねえ、あたしの反応見て楽しかった?」

「あのさ、あの時のことを言うなら、お前こそ思い出してほしいもんだな」


 キッドがじっとあたしを睨んだ。


「俺、口パクで言った」


 リオンと踊るな。


「破ったのはお前。俺、本気で怒ってたんだよ」

「演技のくせに、本気ですって? 冗談じゃないわ」

「ここが三流の役者と違うところだ。俺は、本気でキッドになり、クレアになるんだ。気持ちだって偽物であり、本物なのさ」

「面倒くさい奴ね……。じゃあ、それを前提にして、ね、怒ってるからって、引き金を引くわけ? 相手は婚約者よ?」

「撃ったのはクレアだからなあ」

「一緒でしょ!」

「言ってるだろ。根元が一緒でも、気持ちが違うんだ。頭の中にスイッチがあるとするだろ? キッドのスイッチを押せば、俺はテリーのことを愛おしいと思うし、何がなんでも手に入れたいと思う。クレアのスイッチを押せば、……あたくしはお前を仲良しのお友達だと思うし、キッドとの結婚なんか本気でやめたほうがいいと言うだろう。なにせ、キッドなんてものは存在しない。あたくしが演じているだけの存在であるからな」

「でも、キッドに切り変われば?」

「何が何でもテリーを俺と結婚させる」

「いかれてるわ」

「そうだね。いかれてる。我ながら、ねじが外れてると思ってるよ。でも、これがあたくしであり、俺だ」


 キッドがロザリー人形をなでる。


「キッド殿下を演じ続けた結果の姿だ」


(……だから)


 一度目の世界でクレアはいなかったのね。キッド殿下を演じている時に、刺されて死んでしまったから。スノウ様は責任を感じて心を病ませてしまった。自殺した。


(リオンの言ってた話の筋が通ったわ)


 クレアがキッドを演じていることを、スノウ様も、リオンも、ビリーも、誰もが黙っていた。双子という設定をつけて、クレアの正体をばれないようにした。


 そこまでしてもらって、何が愛されてないよ。とても愛されてるじゃない。


(愛されると言えば)


「キッド」

「ん」

「ロアンは?」

「いい友達だよ。……俺にとってはな」

「他に好きになってしまった人はいなかったの?」

「好きになりかけた人はたくさんいた。だけど、ブレーキをかければ、大丈夫。ほんの半年くらい、顔を合わせなければいいんだ」

「……女の子は?」

「前にも言ったけど、女の子に恋は出来なかった」

「触ったのに?」

「うん」

「よく触ったわね」

「クレアが一人でしてたから、気持ち良い所は何となくわかってた。で、それを元に、なんとなくで触るんだ。ここら辺かなって」

「……ふーん」

「俺、上手いらしいよ。入れるものを入れてないのにすごく気持ちよさそうだった。気絶する子もいた」

「聞いてない」

「前戯に時間かけるからかな」

「聞いてない」

「我ながら自分の才能に驚いてしまう。ああ、恐ろしい」

「……それでも、好きになる子はいなかったの?」

「うん」

「とっかえひっかえだったんだっけ?」

「うん」

「キスもした?」

「うん」

「お触りもした」

「うん」

「でも?」

「誰一人恋は出来なかった。……なんか、自分の体を見て、触ってるみたいな感覚。近いのは、……母さんの体を見てる気分?」

「……あー……」

「お前は女家族だろ? 風呂とかさ、アメリアヌと一緒になったりしない?」

「する」

「それに触ってる感覚」

「あー」

「で、相手が喘いでる」

「ああー……」

「うん。まあ、興奮はするけど……」


 キッドが首を傾げる。


「さほど?」

「友達の体をマッサージしてる感覚ね」

「そうそう。そういう感じ」

「で、間違えて絶頂させてしまった感じ」

「そうそう。でも、付き合ってるから後ろめたさはないというか」

「はあー……14歳までの話よね……?」

「そうだよ。お前と婚約者になる前の話」

「よくやってたわね……」

「楽しかったからね」

「それ、なんていうか知ってる? 自暴自棄って言うのよ」

「……だな」


 クレアでは見向きもされず、キッドでは愛される。


「自暴自棄だったんだろうな」


 認めてもらうために、必死だった。


「でも、テリーを見つけちゃったから」


 キッドがくすっと笑って、あたしを見る。久しぶりに、クレアではなく、キッドの顔を見た気がした。


「……キッド」

「赤いドレス」

「……」

「お前が喜んでくれると思った。ただそれだけ。別に、結婚の道具にしようなんて、そんなことは思ってなかった」


 好きな人がさ、送ったものを身につけてるって、その場でサンバを踊りたくなるくらい嬉しいことなんだよ。


「赤いドレスを着ているお前を見て、俺がどれだけ嬉しかったか」


 リオンの誕生日パーティーで、挨拶に来た時、その赤いドレスを着てお辞儀するお前を見て、俺の胸がどれほど高鳴ったことか。


「そこで確信したんだ。やっぱり、お前といたいって」


 俺も女だけど、お前も女だけど。


「男じゃないけど」


 胸の高鳴りは偽者。だけど、本物でもある。

 その唇にキスをしたい。手を握っていたい。その体を抱きしめていたい。くっついて、寄り添って、離れることはない。


「そのためなら」


 お前が拒むなら、


「ドレスをネタにしたって結婚したかった」


 お前が欲しい。ずっと、側にいて欲しい。


「……ドレス、着るの怖いんだって?」


 キッドが微笑んだ。


「嫌なら捨てていいぞ。どうせ、俺のただの贈り物だ。ドレスなんて、また買えばいい」


 でも、


「テリーは買えないだろ?」


 キッドがあたしを見つめる。


「テリー」


 キッドがロザリー人形を置き、あたしの目の前に座った。手を握り締められる。


「こんな気持ち、初めてなんだ。だから」


 隠すものがなくなったキッドに、おそれるものはない。


「俺と結婚して?」


 あたしは手を見つめた。


「テリー、愛してる」


 あたしは俯いた。


「テリー」


 あたしは瞼を閉じた。


「テリー」


 あたしは――考える。

 リトルルビィの気持ちも、ソフィアの気持ちも、あたしは断った。

 それは、あたしの気持ちが違うと感じたから。

 キッドはどうだろうか?

 あたしは考える。あたしは、キッドといたいのだろうか? キッドに、心を寄せたいと思うのだろうか?



 ……何か、違う気がした。



(……ええ。そうよね)


 キッドじゃない。


(そうよね)


 頭に映るのは、出会った時から、たった一人だけ。


 それはリオンじゃない。

 それはキッドじゃない。

 それはソフィアじゃない。

 それはルビィじゃない。


 わかってる。そんなこと。

 でも、わかったところで、会えるはずもない。

 瞼を上げる。顔を上げて、目の前の王子様を見る。


「キッド、あのね」

「うん」

「本当はね」

「ん?」

「いるのよ。好きな人」


 キッドが黙った。


「だから別れて?」


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