第10話 物知り博士


 スペードは、何でも知っている。

 スペードは、物知り博士。

 スペードは、いつの間にやらそう呼ばれていた。

 スペードは、何でも知りたかった。

 スペードは、人間を知りたかった。

 スペードは、人間の研究を行っていた。

 スペードは、人間の偉大さに気付いた。

 スペードは、知れば知るほど幸せになった。

 スペードは、人間のエネルギーのすごさについて知りたかった。

 スペードは、煮詰まった。

 スペードは、研究が進まなくなった。

 スペードは、迷った。

 スペードは、不安に思い始めた。

 スペードは、声をかけられた。


 発想が欲しいなら、この飴を舐めたらいかがだろうか。


 スペードは、その飴を知っていた。

 スペードは、呪いの知識は頭にあった。

 スペードは、悪い癖が出た。

 スペードは、知りたくなった。

 スペードは、飴を舐めたくなった。

 スペードは、どうなるのかを身を持って実験した。

 スペードは、幸せに包まれた。

 スペードは、どんどん発想が生まれた。

 スペードは、嬉しくなった。

 スペードは、不思議に思った。

 スペードは、もっと知りたくなった。

 スペードは、人間のエネルギーを研究した。

 スペードは、青い薔薇を実験に使った。

 スペードは、人間のエネルギーで青い薔薇を咲かせることが出来ることを知った。

 スペードは、知りたくなった。

 スペードは、どんなことになるのか知りたくなった。

 スペードは、小宮殿の使用人を実験台に決めた。

 スペードは、政府に不満を持った老人に声をかけた。

 スペードは、人間をさらうよう指示した。

 スペードは、実験を行った。

 スペードは、青い薔薇を咲かせた。

 スペードは、喜んだ。

 スペードは、もっとひらめきがほしくなった。

 スペードは、飴を舐めた。

 スペードは、青い薔薇は人間の体によくない成分が含まれていることを知った。

 スペードは、実験台をスノウ王妃に決めた。

 スペードは、結果が出て喜んだ。大丈夫。解毒はラプンツェルを使えばいい。

 スペードは、その間、王子がいなくなることを悟っていた。

 スペードは、歓喜した。

 スペードは、好きなだけ実験を行うことにした。

 スペードは、顔を青ざめた。老人が失敗した。

 スペードは、そのせいで実験台を失った。

 スペードは、知れなくなることを恐れた。

 スペードは、ひらめいた。

 スペードは、小宮殿にいる全員のエネルギーを使って青い薔薇を咲かせることを考えた。

 スペードは、遠隔操作の出来るロザリー人形を大量に作った。

 スペードは、大量のロザリー人形を操作した。

 スペードは、種を撒いた。残ってた魔力の水を撒いた。

 スペードは、歓喜した。

 スペードは、沢山の青い薔薇を見て喜んだ。

 スペードは、実験は成功したことを知った。

 スペードは、人間の偉大さを知った。

 スペードは、物知り博士である。

 スペードは、ひらめいた。

 スペードは、まだ知らないことがある。小宮殿には魔力持ちのプリンセスがいる。


 彼女に花を咲かせたら、どれだけ美しい花が咲くのだろうか。


 知りたい。知りたい。知りたい。


 何でも知らなきゃいけないの。

 なぜなら彼は、物知り博士。

 何でも知ってる、物知り博士。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る