第10話 雪の姫はワルツを踊る





「テリー」

「ん?」

「僕は幸せだよ」

「どうして?」

「だって、テリーみたいな女の子と友達になれたんだ。それは、何事にも代えられない、かけがえのないものだと思う。少なくとも、僕はね?」

「うふふ。どうしたの。突然。変なニクス」

「ふふふ。君だって笑ってて、変だ」

「ニクスだって笑ってるわ」

「なんだかおかしくなっちゃった!」

「うふふふ!」

「ふふふふ!」

「はあ」

「テリー」

「なーに?」

「ねえ、テリー」

「ふふっ。なーに? ニクス」

「僕ともっと遊んでくれる? これからも遊んでくれる?」

「んー。……いいわ。ニクスとならずっと一緒に遊んであげる」

「テリー、僕達、何があっても友達だよ」

「ええ。ずっと友達よ」

「テリー、大好き」

「あたしもニクスが大好き。ずっと大好き。あたし達、ずっと親友よ」

「うん!」

「ねえ、明日は何する?」

「明日? そうだな。明日は何して遊ぼうか」

「あ、だったら、ニクス、あたし、お城に行きたい!」

「…………」

「ねえ、雪のお城、入りたいの。ねえ、お願い。雪の王様に言って」

「………………」

「あたし、雪のお城で遊んでみたい! ね、いいでしょう? ニクス!」

「あー、そうだ!」

「え?」

「明日は、良いものを持ってきてあげる!」

「良いもの?」 

「僕の宝物だよ!」

「宝物!?」

「ふふっ! テリーが喜ぶと思うんだ」

「見たい!」

「いいよ。持ってくるから、明日もここで遊ぼう」

「うん!」

「でも、テリー、これで君は共犯だよ。王様に見つからないようにしないといけないから、お城には入っちゃいけない」

「あ、そうね。じゃあ、王様に見つからないように気を付けるわ」

「じゃあ、明日ね。約束だよ」

「うん。明日ね。約束」

「忘れないでね。テリー」

「うん!」

「指切りげんまん」

「指切りげんまん」










「ニクス、まだかな」






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