第14話 10月9日(2)
12時。噴水前。
「……なんか、顔青い……?」
お弁当を持ってきたメニーが不思議そうにあたしを見つめる。あたしは顔をしかめて、うなだれた。
「……生理になったのよ……」
「え、大丈夫? 薬は?」
「……宿泊先に忘れたから、アリスが持ってたやつを貰ったわ」
「…それ、効くやつ?」
「飲まないよりマシでしょ」
「薬はあるんだよね?」
「ある」
「そっか。じゃあ、大丈夫だね」
噴水前の花壇の縁に座りながら、パンを買いに行ってるリトルルビィとアリスを二人で待つ。メニーがバスケットの蓋を開けながら口を動かした。
「寒くない? 上着貸すよ?」
「平気」
「なんか必要なものがあったら教えて。持ってくるから」
「メニー、ママに伝言をお願い出来ない?」
「伝言?」
「モースト先生の病院に友達を紹介したいから、紹介状ちょうだいって」
「誰?」
「アリス」
「分かった。伝えておく」
「ん」
「……下着はある?」
「大丈夫」
「食欲は?」
「……あまり無い」
「これ飲んで」
水筒を渡される。蓋を開けて飲んでみれば、ペパーミントティー。
「作ってきて良かった。ペパーミントは生理痛に効くって言うし」
(メニーにしては気が利くわね……)
じっと水筒を見て、本日何度目かのため息を漏らす。
「あー……。……生理なんて嫌い」
「お姉ちゃん重いもんね」
なでなでと背中をメニーに撫でられる。
「無理しないでね」
「ええ。ありがとう、メニー」
にっこりと、お姉ちゃんの素敵な笑顔。心の内では、大砲構えて大戦争。
(お前のせいだろ!! ふざけやがってふざけやがってふざけやがって! 無理しないといけない状況に追い込んだ張本人が、無理しないでね、ですって!? 大砲用意! 撃てーー! どーーん!)
「……そういえば、昨日あまり話せなかったけど」
これ以上メニーの同情の声を聞きたくなくて、あたしから話題を変える。
「ピアノはどうなの? 楽しい?」
なかなか愛情深い姉らしい言葉だと我ながら思う。優しく微笑んで、この内の声を気づかれないようにと訊けば、メニーがえへへ、と笑って頷いた。
「うん! まだ全然弾けないけど、ゆっくり練習してるの!」
「へえ、そうなの」
「お姉様もいっぱい練習してるよ!」
「……あいつ歌えてるの?」
「頑張ってるよ!」
メニーが真剣な眼差しで、全力で頷く。
「頑張ってるの!」
(歌えてるとは言わないのね)
その言葉で、なんとなくアメリの現状を察して頷く。
「楽しそうね。良かったわ」
「それでね、お姉ちゃん」
「ん?」
「ピアノの先生がね、どうせだったら沢山練習して、屋敷でパーティーを開いた時に、お客様に見せしましょうって提案されたの。お母様も賛成してて、じゃあ、それ専用の課題曲を見つけましょうって話になったんだけど……」
課題曲。
その単語に嫌悪感を抱く。
(……嫌な単語)
「私がピアノでお姉様が歌。お姉ちゃんはいないから、とりあえず二人だけでやってみることになったの」
「そう」
「でも、課題曲って言われても、私、あまりピンと来なくて。どういうものがいいのかな?」
「アメリはなんて言ってるの?」
「貴族令嬢らしい美しい曲を探しましょう、って言ってる」
「またあいつは……」
ため息交じりに呟いて、足を組み、膝に肘をついて、手に顎を乗せる。
「……まだ始めたばかりなんでしょう? 簡単な曲を選んでやれば?」
「簡単な曲って?」
「子供でも分かりそうな童謡とか」
「うーん。でも、人に聴かせるんだし」
「いいじゃない。まだ子供だって主張できる年齢なんだから、簡単な曲だって誰も笑わないわよ」
変に難しい曲なんて選んでみなさい。練習がつまらなくなるわよ。
(……ま、あたしには関係ないから別にどうでもいいけど。……。……アリスとリトルルビィはまだかしら?)
「お姉ちゃんは楽器何やるの?」
「何もしないって言ってるでしょ」
「やろうよ。お姉ちゃんも」
「やらない」
「一緒に演奏しようよ」
「しない」
「やってみたい楽器とかないの?」
「興味ない」
「やろうよ」
「やらない」
「……もしも、お姉ちゃんがやるなら……」
メニーがバスケットを握りながら考える。
「そうだなあ。……フルート……」
ううん、と首を振る。
「ヴァイオリン」
メニーが、ぱちんと指を鳴らして、微笑んだ。
「ヴァイオリン! お姉ちゃん、ヴァイオリン似合いそう!」
「ちょっと? それ、昨日のアリスの影響でしょ」
うんざりと、メニーを横目で見る。
「あんなくそつまんない楽器なんか、二度とやらないわよ」
「……やったことあるの?」
きょとんとするメニーから目を逸らした。
「……ん……。……。……ほんのちょっとだけ」
たったの六、七年ぽっちだけ。
「ちょっとだけ触ったことはあるけど、やっぱり、あたし楽器なんて合わないわ。音楽の才能なんてないのよ。だったらあんた達が頑張ってる間、リーゼと植物を育てて、人が感動するような植物園でも作るわ」
「庭の一部が、もうそれに近い状態になってるけど……」
メニーが顔を引きつらせた。
「だからリーゼったら、今張り切ってお姉ちゃんの植物達の面倒見てるよ」
――昔と比べて植物を育てる仕事が増えて嬉しいですの。ラララ。ああ、テリーお嬢様、リーゼは頑張っております! ラララン。
「って歌ってるの」
「カカシはどう?」
「リーゼが新しい服を着せてた」
「ああ、そう」
「ちょっと喜んでるようにも見えたよ」
へ へ
の の
も
し
「リーゼね、お姉ちゃんが植物に夢中になるまでは、雑草取りとかお庭のお掃除中心だったんだって。それで、とうとう辞めようと思った時に、お姉ちゃんが植物育て始めたって」
「何その話。そんなの聞いてないわよ」
あたしは、ただリーゼにハーブを育てたいって言っただけよ。彼女は笑顔で教えてくれたわ。
「屋敷に戻った時に、訊いてみたら?」
「そうね」
記憶の戻った10歳の時、ドロシーからストレス解消として提案された方法。植物を育ててみればと言われて、リーゼの元へと行ったのだ。でも彼女は優しく一から百までしっかり教えてくれたし、辞める気配も無かった。
(そういえば、リーゼも裁判で見かけなかったわね……)
一度目の世界でメニーが使用人となった時、リーゼは既にいなかった気がする。解雇にされたと思ったけれど、自分から辞めたのかしら。
(サリアがいて、リーゼもいる)
辞めるはずだった使用人が、屋敷に残って仕事している。
(やっぱり)
この世界は、一度目の世界とはどこか違う。
(ということは)
別に楽器をしなくても、何の影響もない。むしろ、しない方がいいのかもしれない。
(してもしなくても意味なんてないのなら)
あたしは何もしない。何も変わりはしないのだから。一度目だってそうよ。あたしがヴァイオリンを弾いていた意味は何もなかった。人前で弾くことはなかったのだから。すなわちそれは、弾いてないのと一緒だ。屋敷にいる人以外、聴かれることはなかったのだから。
(意味のないことはしないに限るわ)
「ドリーも意気込んでるよ。私がお弁当作るの見て、レシピを教えてくれるの。こんな味付けもありますよって。ふふっ」
メニーがくすくす笑って、
「というわけで、お弁当」
あたしの膝の上にバスケットを置いた。あたしも組んだ足を元に戻し、お弁当を受け取って、見下ろす。
(……何持ってきたのかしらね)
覗いてみると、大きなパン。
「何これ」
「食べてみて」
「ただのパンじゃない。あのね、大きくすればいいってものじゃないのよ」
「いいから食べて」
メニーに促され、パンを食べる。口の中でもぐもぐすれば、
「ん?」
(これは……)
「何入ってるの?」
「ゆでた煮卵」
メニーがくすっと笑った。
「美味しいでしょ」
「……パンに煮卵が入ってるの……?」
ぱくりと食べる。
「お肉?」
「お肉と煮卵サンド!」
(……)
意外と美味。
(だが、言うのは悔しい)
メニーのくせに料理が上手くなるなんて、なんかそれはそれでむかつくじゃない!
(ここは無難な感想を言っておきましょう)
あたしは涼しい顔で言った。
「悪くないわね」
メニーが微笑んだ。
「お姉ちゃん、私知ってるよ。お姉ちゃんの悪くないわねは、美味しいってことなんだよ」
「深読みは良くないわよ。メニー。悪くないだけよ」
「ふーん?」
メニーがにやにやしながらあたしの顔を見た。
「本当にそうかな?」
「お黙り」
「お待たせー!」
アリスとリトルルビィが戻ってきた。あたしはニコラに戻り、メニーも大人しく、貴族だということを黙る時間がやってくる。
この後の昼も、四人でどこか穏やかな時間を過ごしたのだった。
(*'ω'*)
13時20分。
午後は一人でレジ係を担当する。ぽつぽつと客がいて、いつもの顔に炭がついたホレおばさんが珍しくこの時間帯に来て、他の客のレジも打ち、どんどん多くなってきて、少しだけ行列が出来る。
(落ち着いて落ち着いて落ち着きなさい! あたしはニコラ可愛いニコラ美しいニコラ良い子のニコラちゃんニコラニコラニコラ!)
冷静な顔でレジを打っていく。商品を紙袋に入れて、客に渡していく。
(レジって普段混まないのに、なんで混む時は集中して混むのかしら。やめてほしい)
客が一人並び始めた途端に、一斉に数人が並びだす。
(変な現象)
「これ下さい」
行列最後の客に小さなチョコレートを三つ置かれる。
「イラッシャイマ……」
見上げると、
「やあ、ニコラ」
「あ」
銀の髪をなびかせるヘンゼがいた。
「ふっ。店の中を歩きながらウインクしても、全然気づいてくれないんだから。やっと気づいてくれた」
ぱちんとウインク。イラっとして、ヘンゼに微笑む。
「列出来てたの見えませんでしたか? あたし新人なんです。……ウインクなんて気づくはずないでしょう……」
「忙しそうにしてる君は一段と魅力的だったよ」
けっ。
「……袋は?」
「このままでいいかな。マドモワゼルからの愛のある手渡しで」
「30ワドル」
「はい。30ワドル」
30ワドルを手渡され、レジのレバーを回す。ちゃりんと音が出て、レシートを出し、それを渡す。
「アリガトウゴザイマス」
「確かに」
ヘンゼが微笑む。
「本当に働いてるんだ? 君、若いのにやるねえ」
「アリガトウゴザイマス。……出口はあちらです」
「今日は『レオお兄さん』と出かけるの?」
にこにこするその顔を見て、視線を逸らす。
「……さあ? 本人が出かけたいって言うなら、ついていくけど」
「お陰で今あの人はやる気に満ち溢れているよ。そんなわけで、良いことを教えてあげよう。マドモワゼル」
「ん?」
「17時からミックスマックスの店で限定商品の販売が行われるらしい」
ヘンゼが微笑む。
「これ、実は口コミの噂で、知る人ぞ知る情報なんだ。教えてあげたら?」
くすくす笑いながら、ヘンゼが小さなチョコレートを手に持つ。
「お菓子ありがとう。また来るよ。もちろん、素敵な姿で働く君に会いにね」
ヘンゼがまたぱちんとウインクして、ハートの影を目から飛ばす。あたしはそれを避ける。見てたヘンゼが、
「ふっ、照れ屋さんなんだから。可愛いリンゴの蕾ちゃんめ」
とわけのわからないことを呟いて店から出ていった。あたしはその背中を見送り、頭を押さえる。
(あたしの周りには、キザで胡散臭い奴しかいないわけ……?)
あいつ、レオの護衛兵なんだっけ? あんな奴が? 城の兵士?
(ああ、だる……。生理でイライラする。今ので余計にイライラした。ストレスでおかしくなりそう。体重い……。だる……)
「ううん!」
唸り声をちらっと見れば、アリスが腕をぐるぐる回して、布越しから何かを引っ張って、肩の上に上げている。
「ニコラ、ブラジャーのジャーの部分が下がってくるわ! イライラする!」
「……分かる」
品出ししてたら下がってくるのよ。ブラジャーの紐が。
「腕使うものね。新しいの買えば?」
「今月はキッド様グッズのためにお金を使うからやめておくわ! ハロウィン仕様のグッズが近いうちに出るらしいのよ! ああ、キッド様をイメージした下着セット出ないかな?」
ん? キッド様をイメージした下着セットですって?
「何それ、ナイスアイデア! これはファンクラブの子に言って回るしかないわ!」
「まさか本当に出たら買う気?」
「当たり前でしょう!? 私は! キッド様をイメージした下着があれば、毎日身に着けますとも!!」
ふふっと笑い、アリスが胸元に手を置いた。
「ニコラ、私のクローゼットに入ってる下着、何色が多いと思う?」
「……さあ? 何色だろう? わっかんなぁーい」
微笑んで言えば、アリスがきりっとした顔つきで、発表した。
「青よ!」
(でしょうね)
「家に帰ったらキッド様をイメージした帽子も考えてみようかな。ああ、いいかも。それは考えたことなかった。自分で作るなら帽子だったら出来るかも」
アリスが輝く目を、あたしに向ける。
「ニコラ、完成したら見に来てね?」
「ええ。完成したらね」
頷くと、裏から社長がケーキを運んできた。
「あ、お疲れ様です!」
アリスが声を出す。あたしもつられて挨拶をした。
「お疲れ様です」
「……」
社長があたしを見て、アリスを見て、ちらっと上を見て、リトルルビィの姿がないことを確認した。
「ん」
まず、あたしにケーキを差し出す。
「え」
「ん」
社長の行動に固まっていると、アリスが手振りであたしに言った。
――食べてあげて!
「あ」
社長が持ってるケーキの端に小さなフォークが置かれていて、それを手に取って、一口ケーキを食べた。
(はっ)
生地がふっわふわ! とろけるルンルン! これがふわふわランドの入り口だったのね!
(はっ)
現実に戻ってきた。社長を見上げる。
「……ご馳走様です」
「ん」
フォークを戻せば、今度は社長がアリスに向かって歩き出す。
「ん」
ケーキを差し出して、アリスが小声を出す。
「いただきます!」
ぱくりと食べて、アリスの目が輝く。
「美味しい。新作ですか?」
「秘密だぞ」
社長が呟き、あたしにも振り向き、口元に人差し指を立てて、しっ、と息を出し、裏に戻っていく。
その背中を眺め、アリスとあたしが顔を見合わせて、アリスがぶふっと笑うと、上から不満そうな声。
「いいなあ」
「わっ!」
アリスが悲鳴をあげて上を見上げる。あたしも見上げると、リトルルビィがじーーーっと眺めてた。
「私には秘密で味見?」
「上にいる者の宿命ね」
「むう……。あとで社長に文句言ってやる……」
リトルルビィがむうっと頬を膨らませて、二階の業務に戻っていく。
「たまにあるのよね。社長が二階の人に秘密でケーキ持ってくること」
アリスがくすくす笑う。
「運が良かったわね。ニコラ」
「ええ」
(生理になってうんざりしてたけど)
「…ま、今日は変な客も来てないし」
今日は運が良い。平和な一日だわ。
(*'ω'*)
16時。ドリーム・キャンディの前にて。
「じゃ、学校行ってきます!」
「頑張ってね」
「うん! 二人とも、今日もお疲れ様!」
アリスが駆けていく。リトルルビィがあたしの手を勝手に握り、一緒に歩きだす。
「今日は平和だったね」
「そうね。比較的平和だった」
列が出来てもミスしなかった。変な客もいなかった。
(あ)
いや、一人いたわね。銀髪の不審者が。あのとんちんかんな男の顔を思い出していると、リトルルビィがあたしを見上げてきた。
「生理は大丈夫?」
「ええ。アリスのお陰でね」
(でも今日は早めに帰った方がいいかも)
そう思って、思い出す。
『17時からミックスマックスの店で限定品の販売が行われるらしい。これ、実は口コミの噂で、知る人ぞ知る情報なんだ。教えてあげたら?』
(……17時ね……)
「私、この後図書館行くから、こっち!」
噴水前でリトルルビィがあたしの手を離して足を進ませた。
「じゃあね! ニコラ!」
「ええ。気を付けていくのよ」
「はーい!」
手を振って、リトルルビィの背中を見送り、あたしはふう、と息を吐く。
(さて)
今日は、生理の血のせいで下着が汚れた。
(よし! 帰ろう!)
きりっと目を輝かせて、帰り道へ歩き出す。
(今日くらいレオに会いに行かなくても、口コミの情報を教えなくても、街を歩かなくても、死にやしないわ! 帰ろう帰ろう! 部屋でゆっくりする日も必要よ!)
あたしが歩いていると、その前を大人数用の馬車が通る。
(あら、立派な馬だこと)
馬車から学生達が下りてくる。皆、帰り道を歩き出す。
(よし! あたしも帰ろう!)
「おーい! ニコラ! 偶然だね!」
(よし! 今日は帰ろう!)
「おー……い? ニコラ?」
(下着が汚れて嫌だもの! 帰る帰る!)
「ちょ、ちょっと! どこ行くの! ニコラってば!」
「うるさい! あたしは帰るのよ! ついてこないで!」
「返事くらいしなさい!」
「はっ!」
その声に振り向くと、あたしの横にレオが肩を並んで歩いていて、ぎょっと一歩下がる。
「ぎゃっ! あ、あんた! いつからそこに!」
「人をおばけのように見ないでくれる……?」
レオが少し寂しそうな目になり、またにこっと笑う。
「ここで会ったのも何かの縁! さぁ! ニコラ! 今日こそお兄ちゃんと人助けの冒険に出発だ!」
「今日は帰る」
「そう言わずに」
ぎろっと睨むと、レオが一歩下がった。
「な、なんで睨むんだよ……」
(うるさい! あたしは下着を洗いに帰りたいのよ!)
あ、洗剤買いに行かないと。
(……ぐぞが……。こいつがいたら行けないじゃない……!!)
はっ、とひらめく。
(あ、そうだわ。口コミ情報のこと言ったら、どっか行ってくれるかも)
ちらっと時計台を見れば、16時20分。視線がレオに移る。
「そういえば、レオ」
「お兄ちゃん」
「……。レオ、口コミの噂知ってる?」
「無視された! 思いきり無視された! でも僕は諦めない! 諦めが悪い男だからな!」
ん?
「口頭でのコミュニーケーションな噂話がどうかしたの?」
「ミックスマックスのお店でなんか販売するんだって。17時から」
伝えると、レオが驚いて目を見開いた。
「な、なんだってーーーーー!?」
「噂だけど。じゃ、そういうわけで、あたし帰るわ」
そう言って一歩進むと、
「ちょっと待った!!」
手を掴まれる。その瞬間、再び、思いきり目を鋭く吊り上げてレオを睨む。しかし、レオは興奮気味に目を輝かせていた。
「ニコラにミックスマックスの魅力を伝えるきっかけにもなるぞ! ニコラ! 今日はミックスマックス本店に行くぞ!」
「結構」
「行くよ!」
「結構!」
「いっくぞーーー!」
「けっこぉおおおおおお!!」
(王族め! 家族揃ってなんでこんなに怪力なのよ!!)
あたしはレオに引っ張られ、ミックスマックス本店に向かう道に引きずられたのだった。
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