第7章 偽欲なる自己像幻視

プロローグ 欲望と怪異

 人の欲望は、怪異を生み出す種である。


 例えば、欲求。欲しいという欲求が過ちを生み出す。

 例えば、恋情。愛するという欲求が執着や嫉妬を生み出す。

 例えば、殺意。恨めしい、殺したいという欲求が怨念を生み出す。


 誰しも欲望を抱えていて、時としてそれが制御できないものと化す。

 そして、否定してもこの世に怪異は存在し、人知を超えた何かに変貌する。

 ――ある意味、欲望が怪異に密接であるということも必然なのかもしれない。


 そして、僕たちだって。怪異を知りたいという欲求に支配されているのだから。



『夕闇倶楽部部誌 第四十二巻 11ページより』

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