夕闇倶楽部のほのぼの怪異譚

勿忘草

第1章 呪いのゲーム

プロローグ 未知と科学の怪異論

 人類の文明の歴史とは、恐怖の克服の歴史とも言い換えられる。

 始まりは炎を使い、外敵から襲われる恐怖と暗闇の恐怖を克服したことだ。

 人々は言葉を習得し、集団を築き上げ、集団を礎にして文明を進化させた。

 その発展形たる近代社会においては、科学によって人間はあらゆる恐怖を克服したと断定して、人知を超えた神秘なんて過去の物だと思うようになった。

 しかし、それでも人々の中に未知な物への恐怖や関心は未だに残っている。

 未だに心霊スポットのような非科学的な空間へ向かう者は後を絶たないし、夏になれば涼しくなるために怪談話が到る所で盛り上がるようになったのだ。

 更には、UMAや宇宙人といった科学の発展で新たな怪異も誕生してきている。


 ――つまり、人は未知や神秘を意識から捨て去ることはできていない。



                 『夕闇倶楽部部誌 第三十七巻 冒頭より』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る