放蕩男と家出少女

@yuhachi

第1話

プロローグ


大学4年生の夏、僕は『するべきこと』を失い、何者でもなくなった。


気の抜けた炭酸飲料みたいな、大事ななにかが欠けた抜け殻の存在になった。


進路が決まり輝かしい未来を歩いていく友人達を見て何も感じなかった。

何も感じないことに恐怖した。


悔しさ、嫉妬、はたまた祝福。

そういった通常抱くであろう思いすらも感じない自分が、自分じゃないようで怖くなった。


あぁ、これは多分。

あまりいいことではないのだろう。


だから、僕は、探しものの旅に出た。

人に話すにはとても恥ずかしくなってしまうような。そんな自分探しの旅というやつに。

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