金色のタイムマシン
青姫そよか
第1話 タイムマシンの動力
投資家の櫻井誠也と”詐欺師”の立山一史は学生時代から、月に1度は飲む仲だった。
それは学生時代のこんな会話が発端だ。
「なぁ立山、卒業して社会人になったら、こうして馬鹿騒ぎすることもなくなるんだろうな。だから、月1でこれからは飲むって約束にしよう。なぁに、僕もお前もお金持ちになることが目的だろ?貧乏は勘弁だからな。中途半端な金を持っているやつは金の価値がわからない。お前は貧乏で僕は大金持ちのボンボンだから、金のありがたみは良くわかっているさ。人生の目的が同じである以上はずっと友達でいれるさ。途中下車するなよ?他の奴らみたいに金だけが人生じゃないみたいなことは言うなよな?」
「ボンボンのお前が貧乏は勘弁って言っても説得力ないぜ、この野郎。」
「わかってないな、僕だって周りに比べれば貧乏なのさ。」
櫻井の親戚は桁外れの金持ちだらけで、その中で櫻井の家だけ普通の金持ちだった。
貧乏の辛さとは何か?ほとんどは周りと比べることで自分の不幸を認識してしまうことではないだろうか?そう言う意味で二人の魂の種類は似ていた。
「中途半端にお金があると言うことはな、お金を僕たちに比べれば意識してないも同然なのさ。わかるだろ?」と櫻井は言う。
「そうだな。その通りかもな。」と立山も頷く。
「それなりのお金を持つと桁外れのお金持ちがいることを知る。貧乏なら周りと比べて惨めな気持ちになる。しかし、中途半端な奴らにはそれがない。」櫻井は自分の経験した惨めさと立山の気持ちを代弁したつもりで語った。
「奴らにも悩みはあるだろうさ、お金以外のな。しかし、あいにく僕たちにはお金が全てとしか思えない。」
学生時代は自分たちがお金を手放して、それより大事なもののために奔走するなんて想像もつかなかった。
まして、それがタイムマシンの動力であるとは……。
1億円で1日過去に戻れるタイムマシン。学生時代の僕たち二人が聞いたらバカにしてしまう木偶の坊だ。誰がそんなもののために1億円を払う?だが365億円払ってでも俺たちは1年前に戻りたいと願うことになる。そんなお金のあてもないのに……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます