異世界旅行 Different wold travel
@PamPom
第1話プロローグ
今までゲームの世界に行ってみたいと思った事は無いだろうか…。
医療技術、科学技術などが急激に発達し、この国は世界でもトップを行く国となった。
その国で人気のゲーム会社が新しいゲームを開発していた。
「…クソ…ダメか」
開発チームのリーダー・安原守が肩を落として言った。
「またですか…」
助手の亜山誠も同じように肩を落とした。
「惜しい所まで来たんだけど、とても大事な事が出来ない。」
「元に戻って来れない…ですか?」
「そうだ。」
2人は更に肩を落とした。
毎度毎度同じ理由でやり直している。
実験として送った猿は転送する事はできるのだ。
しかし戻って来れなくなってしまうのだ。
今まで100匹近くは送って来た。
全てあちら側へのプレゼントとなってしまっている。
「何がいけないんでしょうかね。守先生。何度も失敗していますが。」
ずっと肩を落として机の上に顔だけを乗せている守先生は助手を見て一言
「このチームの人数…」
2人は目を合わせながらしばらく黙り込んだ。
「-ダァァァァァァァァァッ」
守先生はいきなり起き上がり怒りをあらわにした。
「なんじゃこのブラック企業は。何が『2人で新作ゲーム作って〜』じゃボケ!出来るかそんなもん!」
暴れ回る守先生。
その拍子にいくつかの書類が落ちる。
助手がそれを拾い上げる。
「確かに、これは2人では難しいですね。」
助手が拾い上げた書類には大きく…
“ゲームの世界に行って遊ぼう!”
(愉快か!)ビリッ
「あぁぁ、なに破っちゃってんのぉ」
今にも泣き出しそうな声で守先生が言ってきた。
「すいません。あまりにも愉快な題名でつい…」
守先生の泣き出しそうな声と助手の深いため息が作業場に響いていた。
****
その後何度も失敗を重ね、遂に転送した猿を戻す事に成功した。
「おージョージ!お前は戻って来ると信じてたよー。」
涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら猿を転送するガラス張りの部屋へ飛び込み、ジョージに抱きついた。
「先生遂に成功ですね!」
助手も嬉しさのあまり涙を流しながら手を叩いた。
「あと何回か同じ事を繰り返して問題ないかチェックしなければならない。」
涙と鼻水を服の袖で拭って先生が言った。
「体に異常など無いかもチェックしなければなりませんね。」
助手はこう言ってジョージ(猿)に近寄り一通りの健康診断を行った。
「異常ありません。」
助手は親指をグッと立てて言った。
先生も同じ様に返した。
****
その後何度もジョージ(猿)はゲームの世界と現実を行き来し、健康診断を行った。
結果…
「完璧だ…。」
「遂に出来ましたね…」
先生と助手は思いっきり抱き合った。
「「ヤッターーーーー」」
こうして作られた新作ゲームの名は
“異世界旅行 Different world travel”
と名ずけられた。
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