第20話 恋は障害があるほど燃え上がる?

目の前のフレイムを見下ろし、一つ思う。


こいつらどうやって子供作るんだ?

フレイムのサイズはフリーザーの倍はあるだろう。

加えてフリーザーのあそこは粗末だ。

この体格差で果たして交尾できるのだろうか?


仮に交尾できたとして。

生まれてくるのは炎と氷どっちだ?


そんな疑問が頭に過ったので、ド直球で質問する。

色々してやってるんだから、これぐらい聞いても罰は当たらんだろう。


「なあ、お前らって子供出来んの?」

「ちょ!勇者様!いきなり何聞いてんですか!?」

「いや気になって」

「気になってじゃありませんよ!そんなナーバスな問題を!失礼にも程があります!」


別にやる時どういう体位でやってるのか聞いたわけじゃあるまいし、大げさな奴だ。


「私とフリーザー様の間に子孫は残せません」


フレイムが悲しそうな声で答えてくる。

心なしか表情も悲しげに見える。

というか、さっきから眼もとでジュッジュジュッジュ何かが蒸発する音が聞こえるんだが、ひょっとして泣いてんのか?


「私と彼は決して触れ合う事が出来ないのです」

「そんな……」

「ふーん」

「ちょ!何ですか勇者様。そのうっすい反応は!勇者様は、彼女たちの事をなんとも思わないのですか!」

「うん、まあ特には」

「な!?」

「その反応は、流石に私も引くわね」


女2人が俺を攻め立ててくる。

俺が気になったのはどういった風にやってるのか、生まれて来るのはどっちかだけだ。

両方の疑問に答えが無い以上、もうこの蜥蜴と話す事などない。

だがこのままでは完全に悪者になってしまう。


後々いわれなき誹謗中傷を避けるべく、俺は手を打つ。


「愛のカタチなんてそれぞれだ。体に触れあえない事なんて、気持ちのつながりに比べれば大した問題じゃないだろう。それともお前らは、体の繋がりの方が大事だとでも言うのか?」

「そういうわけでは…」

「けどあんたにとっちゃ、体の繋がりの方が重要なんだよね?」

「あったりまえだ!心のつながりとかそんなもんどうでも良いわ!!」

「勇者様、最低ですね」


ああ、しまった。

せっかくリカバリーを入れたのに、本音が出てしまったせいで完全に無駄足だ。

純粋で素直な自分が憎らしいぜ。


「その方の言う通りです」


え!?こいつも肉欲優先するタイプだったのか?

蜥蜴の癖にエロイ雌だぜ。


「触れ合えない事等、些細な事です。私があの方を愛し、あの方は私の愛に答えてくれている。それ以上は只の贅沢でしかありません。この先、たとえあの方が別の雌を選んだとしても、私は彼を愛し続けます!!」


ああ、そっちか。

俺がその状況なら即別の相手探すけどな。

まあ所詮他人事だ、勝手にしてくれ。


「勇者様。何とかしてあげられませんか?このままじゃ彼女が可哀そうすぎます」

「お前、それをさっき最低呼ばわりした俺に相談するのか?」

「う……その件については謝ります。だからどうか力を貸してあげられませんか?」

「いや、無理だろ」


無茶振りにも程がある。

まあ、何とか出来ない事も無いんだが。

めんどくさいので、無理って事にしておこう。


「あー、ポエリに抱き着くのって疲れるのよねぇ。ここはモンスターが居ないみたいだし、勇者の方に運んでもらおうかしら?でもポエリとはフレイムの事で色々と相談しなくっちゃならないしねー」


アルビダが挑発的な流し目をこちらに向けて、魅力的な発言をを口にする。


くっ!この女俺の弱点を熟知してやがる!!

どうやら、俺が嘘を言ってる事を女の勘で見抜いたようだ。

恐るべし、アルビダ。


「そうですね。私もアルビダを抱えるのは少し辛いと思ってたんです。でも、フレイムさんの為に出来る事がないか、アルビダとよく話し合わないといけないしなー」


少年もアルビダの意図に気づいたのだろう。こちらをチラチラ見ながら言ってくる。

みすみす敵の手に落ちるのは不本意だ。

だが据え膳食わぬは男の恥よ!!


「考えてみたんだが。ひょっとしたら何とかなるかもしれないな」

「ほんとうなの!?!?!?!?」


俺の言葉を聞いたとたんフレイムがこちらに顔を突き出し大声で叫ぶ。

その余りの声量に思わず吹き飛ばされそうになる。

というか少年たちは軽く吹き飛ばされて、危うく落っこちそうになっていた。


こいつ、危ねぇ事しやがる。


「うっせぇな、大声出すなよ」

「ご、ごめんさい。つい興奮しちゃって」

「あ、あの、ほんとに気を付けてくださいね。今のは冗談抜きで危なかったんで」

「ごめんなさい。気を付けます」


少年がよろよろと戻ってきて、俺の後ろに付く。

どうやら俺を盾にする腹積もりらしい。

よっぽど怖い思いをしたのだろう。


「それで、どうすればよろしいのですか?」

「俺と契約しろ。それだけでいい」

「え?それだけでいいんですか!?」

「要はお互いの力が強すぎて近づけないんだろ?だったら力を封印すればいいだけだ」


とは言え、この2体の力は相当な物だ。

これを封印するとなれば、相当に骨が折れるだろう。

だが契約さえしてしまえば、力の封印は比較的簡単に行える。


それでも厳しい様なら、それにプラスして呪いで一時的に種族を変えてしまえばいい。

そこまでやれば、きっとエロい事し放題だろう。


「わかりました。貴方と契約します」


フレイムの額に魔法陣が浮かんだので、俺はそれを手に触れ、力の共有を行う。

こうして俺とフレイムの契約は成された。



「さてアルビダ。問題も解決した事だし、こっちにカモン!!」

「しょうがないねぇ」

「く!今回だけですからね!勇者様!!」


こうして俺は、夢の中で夢のような時間を送るのだった。


「アルビダ暑いだろう?服を脱いでもいいんだぞ?」

「遠慮しとくよ」


本当に連れない女だ。

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