PHASE-842【ラッシュ】
「どうだ勇者。我が力」
「大したもんだよ」
素直にここは称賛だ。
しかし、どうするよ。称賛はしたけども、攻め方が難しいな。
オーラアーマーによる攻防一体に加えて、そのオーラアーマーに攻撃を加えれば、こちら側に向かってオーラ――つまりはファースンと呼ばれるピリアを爆発させてくる。
体に留めるピリアに触れたら爆発。そこだけはアンリッシュってピリアなのだろう。
体内マナであるピリアを体に纏い留めて、放つといった行動は二つのピリアからなっているはず。
――――てことは、
「ファースンからのアンリッシュへと移行したのが爆発の原因」
「直ぐさま理解する辺り勇者だな」
なんで理解したら勇者なのかな? 勇者=賢いって考え方なのだろうか。
他人にそうやって見られるのは悪い気はしないけど、その実、偏差値は並です!
「このピリアは俺オリジナルのピリア。攻撃反応外殻・ニージュだ。お嬢ちゃんが知らないのも仕方がない」
ドヤッた感じで言うあたり、かなりの自信があるようだな。
攻撃を受ければその部分をファースンからアンリッシュへと変えて、相手に爆発によるカウンターダメージをあたえるピリアって事だろう。
まるで戦車なんかの爆発反応装甲みたいだな。
受ける箇所の部分を爆発させるって事だから、結構、扱うのは難しそうだな。
体の周囲に留めているピリアを細かなコントロールで扱えないと出来ない芸当だ。それともオート発動かな?
どちらにしてもやっかいだ。
だからこそ得意げにオリジナルと言い張るんだろう。
実際はファースンとアンリッシュを使用しているだけなんだけどな。
「我が鉄壁の防御と攻撃にどう対処する」
とりあえずは――、残火を左手で逆手に持ち、ホルスターからライノを取り出して撃つ。
ダンダンッと音を立てれば、ビシビシとガリオンのオーラアーマーが弾丸を弾く。
弾くことが出来るからニージュなる攻撃反応外殻を発動しなかったのか。
それとも捕捉がしづらかったから対応できなかったのか。
「不思議な武器を使用するとは聞いていたが、本当に不思議なクロスボウだな。一体なにを飛ばしているんだ?」
「ありがとう」
お礼を伝えれば疑問符を浮かべている。
今の発言が答えになってくれたと信じたい。
俺の予想は後者の可能性が高い。
ニージュってのはオート機能で発動するのではなく、ガリオンの意思で発動すると見ていいだろう。
確定とまでは言えないが、この可能性から攻撃の道筋を作らなければ、進展がないのも事実。
なので――、
「イグニース」
独白音量からの――、
「アクセル!」
からの――、
「そいそいそいやっ!」
「連撃か、悪くはない。だが――」
ボカンボカンと爆発する中でひたすらにブレイズを纏った残火を振っていく。
その度にニージュによる衝撃に襲われるけども、
「オラオラオラオラッ!」
「コイツ……」
狂ってるとでも言いたいのかな。
言いたきゃ言ってもいいんだぞ。
ようは爆発させるコントロールを狂わせればいいんだろ。だったら狂っていると思われてもこの攻撃方法をとるさ。
連撃を繰り返せば、その内にミスも生じるというもの。
その間に俺はダメージを受けるけども、正直、残火が衝撃を受けてくれているから大したダメージはないんだよね。
これが無手での攻撃なら結構なダメージになってるだろうけどさ。
それに――、
「こちとら火龍装備だよ」
「チィ! いい加減、離れろ! アンリッシュ・バラッジ」
そいつを待っていた。
突き出される右腕に残火を打ち込む。小手打ちは得意な方でね。
ピリアに守られた腕を斬ることは出来なくても、面制圧の軌道をそらせることで至近を維持出来る。
「なめるなよ! まだ片腕がある!」
「おおさ! 俺もあるよ」
打ち込む間にイグニースを収縮させて弱烈火を作ってたからな。
「オラッ!」
連撃によってニージュを多用させてミスを誘う中で、払いのけたいからと攻撃のためにバラッジも使用。
これらをやりつつ、ニージュが正確に発動できるかな?
発動されたら困るけど。
その不安を振り払うために、拳の一撃にだけ今は集中。
全力の左ストレートを振り抜く。
激痛は覚悟の上で――――。
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