PHASE-594【女性の年齢をネタにしてはいけない】
しっかりと鋼鉄製の鎧で身を包んだ存在達がこれまた大多数、俺の背後に立っている。
対面しているのと同様のグレートソードタイプもいるけど、他にも鍔部分や護拳に装飾の入ったショートソードやロングソード。
紋章のようなデザインが掘られた鉄製のカイトシールドにバックラーと、革、木製、若干の鉄による装備がメインのソルジャークラスとはかなり異なったスケルトン達。
新米冒険者だけでなく、中堅の冒険者達も欲する装備だろうな。
特にパーティーで行動していると、クエスト報酬はマタギ勘定が当たり前だから、装備を調達するのだって手間だろうからな。
そんな面子からしたらこのスケルトン達はお宝の山だぜ。
「シャルナ。こいつらは」
「グレータースケルトン。これよりも上質で魔法付与がされた装備と会話が出来るのがエルダー。更にエルダークラスが力を付けてピリアや中位以上の魔法が使えるスケルトン系戦士職の最上位が、スケルトンルイン。こいつらは真ん中に位置する実力」
「流石はエルフのおばさま。知識は豊富で」
「はぁぁぁぁぁ!?」
おばさまってのは言ってはいけない。
俺も時折、心の中でBBAなんて単語が思い浮かんだりもするが、決して声には出さない紳士。
「あんたも似たようなもんでしょうが! リッチ!!」
「私、まだおばさまみたいに長い年月を過ごしていないから」
「私はまだ1904歳よ!」
「あ、ごめんなさい。おばさまじゃなくて、既に棺桶に入ってるって言うのが正しかったかも」
「アンデッドのくせに! 棺桶に今すぐ叩き込んであげるわよ!」
「ヴァンパイアじゃないから棺桶では寝ないのよね~。夜更かしはお肌に悪いわよおばさま――いえ、おばあさま」
「イィィィィィィィィィィィィ! バーストフレアァァァァァ!」
耳を劈くような奇声にも近い叫びと一緒に、怒りの上位魔法がアルトラリッチに放たれる。
怒り成分でも含まれているのか、ゼノが使用するものより大きく感じる。
アルトラリッチの前で障壁へとぶつかれば、ど派手な爆発が数回発生。
その直下には俺がいるっていうのにさ……。
「はいどいて」
相対するグレートソード持ちではなく、反転して背後に立つカイトシールドを装備したグレータースケルトンに蹴りを入れてから場所移動。
しっかりと腰を落としてシールドで防いでくる辺り、ソルジャークラスとは確かに違う。
結構な重装備であっても苦ではないといった追従で背後から俺に並べば、グレートソードを力任せに横に振る。
「ホームランバッターじゃないんだからさ! 当たるわけがないだろ!」
身をかがめて足を狙う。
――――流石はグレータークラス。
俺がしゃがんだと同時に、グレートソードを振った反動を活かしてのミドルキックでコンボを狙ってくるけども、俺の方が先に足を断ち切る事が出来ると悟ったのか、俺の斬撃よりも速く、バックラー持ちがグレートソード持ちを押しのけてスライディングで間に入ってくると、火を纏っていない残火の一太刀をバックラーで防ぐ。
もちろん魔法付与されていない盾だから、盾を持つ左手ごと断ち切る。
「ふぅ!」
無痛だからこそ左腕を失っても気にも留めず、しっかりと右手に持ったショートソードで刺突を繰り出し牽制してくる。
「――なるほどね」
「素晴らしい」
俺とグレーター達のやり取りを見ていたベルは褒めている。
もちろん相手側を。
足を奪ってトドメをさすという俺の攻撃を封じて、味方の為に自身の左腕を犠牲とする動き。
欠損したスケルトンを守るように、俺が蹴りを入れたカイトシールド持ちが前に立てば、更にその前にグレートソード持ちが立つ。
リッチがいなくても独自にコンビネーションを考えてくるのがグレーターってことか。
ただ装備がいいだけじゃなくて、頭もいいわけだ。
明らかにあの髑髏には脳みそなんて入っていないだろうけども。
「いやはや……」
参ったね。立派な鎧に利器。歴戦の風格を備えるグレータースケルトンは格好いいとすら思えてしまう。
……これが集団じゃないならな……。
多いと驚異でしかない。
フィンガースナップを一度鳴らすだけで、百を超える数がお手軽に現れるってのはどうよ……。
手強い系を攻略したら、次はエルダーが百体って事にはならないよな。
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